- 販売終了
ロスト・キャット 愛と絶望とGPSの物語 みんなのレビュー
- キャロライン・ポール, ウェンディ・マクノートン, グレッグ・ジェンカレッロ, 明子・ジェンカレッロ
- 税込価格:1,430円(13pt)
- 出版社:講談社
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |
電子書籍
大事なことは猫に教わった
2019/08/18 15:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あられ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者キャロラインの一人称で綴られた「ある騒動の顛末記」で、その「騒動」を通じて著者は(もう大人の女性ですが)内面的成長をとげ、癒しを得ます。読後感は明るく、猫好きさんが入院しているときにお見舞いにできそうな一冊です。
「立ち読み」で確認できますが、最初は猫とは何の関係もない、小型飛行機の墜落事故と大怪我というエピソードから始まります。著者はこの大怪我から身体的に回復していく過程で、13年間も一緒にいた猫に失踪されるという騒動に見舞われます。猫を見つけようと、重傷を負って痛みに耐えながら、わらにもすがる思いでネットをさまよっているあたりの、インチキくさいサイキックの描写などは、かなり笑えます(失笑という意味で)。実際に当事者になれば、あのインチキくささがそうは見えなくなるのかもしれませんが……。
やがて猫はひょっこり帰ってきますが、ちょっと様子が違うし、著者は13年も一緒にいた猫が黙ってどこかに行っていたという事実をどうしても受け入れることができないようで、彼がどこにいたのかを突き止めようとします。半同居のパートナーに呆れられながら支えられつつ、猫に装着できるGPS装置を探し、猫に装着して猫がどこにいて何を見ているかを撮影するキャットカメラをオンラインで購入し、好きなように出歩いている猫の行動を突き止めようとしますが……この悪戦苦闘のくだりもかなり可笑しいです。
そして、唐突に訪れる、もう1匹の猫の悲しい運命。そういったことを通じて、著者と彼女を支えるパートナーのつながりも深まっていきます。やがて、彼女の発案から自分の殻をひとつ破って外に出た著者が発見したものとは……まさに「大事なことは猫に教わった」というべき、予定調和的な成長譚です。
写実的でありながら柔らかくあたたかみのある絵は著者のパートナーによるもの。この絵だけでもかなり楽しめます。装丁・ブックデザインもよく、丁寧に作られているなあと思いました。
翻訳は、翻訳ものにつきものの不自然な女性ことば(「~だわ」、「~のよ」調)がなく、違和感なく読み進めることができました。ただ、動物について「毛深い」という表現が出てくるのは興ざめ。そこは工夫していただきたかったところです(「毛皮を着た」とか「もふもふの」が使えたはず)。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |