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今日(2019/02/22)、はやぶさ2が小惑星リュウグウにタッチダウンし生命の起源を探るための岩石入手に成功した。
「宇宙に生命はあるのか」というタイトルではあるが正に今日の成功に向けた宇宙開発の歴史が語られている。
月旅行を夢見てロケットを開発、軍拡によるミサイル競争が激化する中、アポロ計画やボイジャーによる探索と人類を魅了する成功で負の側面を払拭した。
地球は宇宙の中では小さな点でしかないが、人類の全ての歴史がそこで作られてきたことを世界の指導者に認識してもらいたい。そしていつの日か地球以外の場所で共存共栄の歴史を作って欲しいと思う。
はやぶさ2が地球に帰還し、その解析により生命起源に迫る発見があることに期待したい。
生命の起源が何であるにせよ、人類はひとつだ。
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宇宙に関する新書は多数出版されています。本書を読んでもそれらの他の著作と比較して、目新しい事実が紹介されているわけではありません。しかし、本書は他の自然科学系の新書とは全く異なる視点で書かれています。
人類が現代まで宇宙開発を継続してきたその動機が人間が持つ「イマジネーション」であるとし、そのイマジネーションは読者の誰でも持っていると語りかけます。宇宙を含む自然現象への理解の進展が、純粋に知的好奇心に突き動かされた数多くの研究者のリレーによって成し遂げられ、知的好奇心は誰もが持ち併せているという著者の言葉に勇気づけられる読者も多いのでは。次の一節が非常に印象的でした。
「我々はどこからきたのか?我々はひとりぼっちなのか?もちろん、その答えを知ったところで誰の暮らしも物理的に豊かにはならない。飢えた子供を救えるわけでもない。その答えを追うことは無意味だろうか?もし、無意味と断ずるならば、物質的豊かさのみを追求するのもまた、人類の生き方だと思う。でも、僕は知りたい。あなたも知りたくはないだろうか?きっとまだ人が科学を知るはるか以前から、人は星空を見上げて自らに問いて来たのだ。我々はどこからきたのか、と。そして、人はイマジネーションの中で気づいていたのだ。その答えが、星空の中にあることを」
著者の文章にはどんどん引き込まれる不思議な力があるように感じました。理系の研究者で、これほど文学的な雰囲気を持つ文章が書けるとは。本書のどの章を読んでも面白いですが、何といっても地球外文明の探査に触れた5章が著者の素晴らしさがダントツに凝縮されている印象でした。
もちろん、著者はNASAの研究所で火星探査ロボットの開発に携わる第一線の研究者なので、5章以外の部分も素敵な文章の中に科学的な事実や、分かりやすい解説もちりばめられています。
これを高校生ぐらいの時に読んだら、自然科学系の大学の学部に行きたい、と考える学生が出てきそうな気がします。
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NASAの日本人技術者である小野雅裕氏が描く、宇宙と宇宙を見つめてきた人類の話。
まず最初は、フォンブラウンの話からである。宇宙への夢を強く持った科学者は、軍事ロケットを作り、そしてアメリカに流れ、最後はロシアに先を越されつつも、自身の夢を実現する。ヒトモノカネが揃って初めて成功できるという経済学ではある種基本となる原則、それがあったとしても宇宙に行けるとは限らなかった。ライト兄弟もそうだ。アメリカで軍が行ってたのはまさに有人飛行機を作ることだったが、結局初めて空を飛んだのは、田舎でかつ大学も出ていなかったライト兄弟とその仲間たちだったのである。つまり、宇宙へ行くということは、人類の果てしない夢であり、強いパッションと「それ」が必要であるという強い源泉のようなものがあったのではないかと感じる。
続いて、ボイジャーなどのプロジェクトごとに歴史を振り返っていく。飽くなき執念で「そこに何かいるのか」そして「そこに何がいるのか」。この2つの問いが人を宇宙への興味と執念を導き、動かしてきた。特に面白いのは、ボイジャー2号にこっそり設けられた仕掛けである。ボイジャー1号、2号ともに軌道はタイタンに向けられていたが、1号がタイタン捜索に成功したので、2号はその先の海王星や冥王星に迎えるように軌道修正ができる仕掛けを用意していたのだと。科学者のボイジャーに対する愛と、官僚に対する意地と心意気だったのだと思う。
「我々はひとりぼっちなのか?」という問いもまた、ロマンである。生命という仮説を使うのは最終手段であるとしている通り、確かに科学的には非生命的なアプローチが正であり、それを否定する事実、それがサンプルを持ち帰って分析してみるということでなされる可能性のある、特定の何かだという。イーロン・マスクが宇宙への旅を民間でと訴えて、安価で宇宙旅行ができるようにしたいというその原動力は、地球のバックアップ。しかし、筆者はそうではない。我々が何者か知りたいじゃないか、という強い湧き出るような思いからなのだと。どちらかはわからないし、経済という中でのブルーオーシャンが宇宙だったのかもしれない。
共通するのは、知らないことを知っていること、それをイマジネーションで想像し、実際に掴もうとする。それはロマンであり、無数の失敗の上に成り立つものであり、時にその時代に合わないこともある。ただ、最後の言葉が、全てを貫く。「人が想像できることは、全て実現できる。」
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宇宙に命はあるのか 小野雅裕 SN新書
南波六太が表紙になっているだけで
興味が湧いたのだけれど
平凡すぎる題名だ
しかし内容は抜群だ
主語が重なるところ以外は
科学者とは思えないほど
文体も行けている
目次は
序に始まり新創世記と言う
2ページのコメント付きプロローグ第1章
最初のフロンティア第2章
異世界の空第3章
命の賛歌第4章
Pale Blue Dot第五章
エピローグ
少し違和感があるのは
ヒットラーまで登場するのに
アルデバランやマリアオリシック
に触れることもなく
ソーラワーデンやロズウェルも素通りで
宇宙人を語っているところだけれど
その事にさえ目をつぶれば
実質縦社会の中で
ヒーローに隠されたヒーローの活躍など
ロマンがあり面白いの一言に尽きる
特に最後のホモアストロルムは
アイディア満載だ
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宇宙に命はあるのか?という題に対しての私の読書前の答えは「ないとは言い切れないからたぶんあるんだろう」くらいだったけど、読書後は「絶対にある、ただ、出会えていないだけ」に変わった。
著者の小野雅裕の本業はNASAで火星探査ロボットの開発。だけど、職業ライターになっても十分やっていける。文章がうまい。ぐいぐい引き込まれた。
まず、なにより対象(宇宙)に対する熱い情熱がある。そして先人に対する深い尊敬がある。さらに、その先人を駆り立てた「イマジネーション」に対する真摯な信頼がある。もう一つ付け加えると、かなり詩的な言葉がちりばめられている。それらを、リズムよくわかりやすいイラストとともに提示してくれるので、本を読んでいるのに良質なドキュメンタリー番組をみているような気になる(著者の言葉はナレーションとして聞こえる)。
息子も一読お気に入り。読み終わったらまた読んで読み終わったらまた読んで、なんと3回連続で読んだとのこと。わかる。20年後30年後に地球外生命体について大きな貢献をした人がインタビューで「子供の時に『宇宙に命はあるのか』を読んだのがきっかけです」と答えても驚かない。(もしかして、それが自分の息子だったりして)
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宇宙に生命があるのか、この答えは揺れ動いてきたが、最近の研究ではその可能性が高まっているように思われる。
惑星探査の進展で、太陽系に生命もしくはその痕跡が見つかることを期待したい。
ただ、宇宙開発の民間化で、地球の生命による汚染が起きかねない事態は心配だ。ましてや、既存の生命を滅ぼしてしまうなどと言うことはあってはならない。
それにしても宇宙の話を聞くと、日常の世界から離れて、壮大な気分に浸ることができる。アメリカファーストを叫んでいる米大統領には是非宇宙的視野で物事を考えて欲しいが、無理な相談だろう。宇宙についても軍事利用か、金儲けのネタくらいにしか見えないだろう。
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人文・自然科学部門ブクログ大賞受賞
人気コミック『宇宙兄弟』監修協力を務め、NASAに勤める著者による渾身の一作!
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ジュールベルヌのイマジネーション。知ってはいたが、ここまで意識したことはなかった。人が想像できることは全て実現できる。ただ、自分で勝手に現実を押し付け無理だと限界を決めてしまっているのだろうなぁ。テレビ、スマホ、インターネットから多くの情報を得られているが、著者の言う通り、その分、自分で考え想像することが少なくなっているのかもしれない。否定的な想像からくる不安はいくらでも持ってしまうのに、前向きなイマジネーションが持てないでいる。無垢な子供のように、純粋な気持ちで自分に向き合い、行動していきたい。そうできるように想像力を働かせたい。
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中盤からやや問題提起が強くなってきますが、前半と後半の面白さはイマジネーションをくすぐられます。とても夢があるし、また、夢じゃないのかもしれません。技術者×イマジネーション、そこに権力(予算)が加わると大きく進歩するんですね。私は技術者ではないですが、この本を読んで、技術者と呼ばれる方々を尊敬しました。小説・ノンフィクションの他にこーゆー面白さがあるのか。。
自分の知らないところに連れて行ってくれる、このサイトと皆さんの本棚に感謝です。
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本を読んでこんなにワクワクしたのはいつ以来だろう。こんなにドキドキしたのはいつ以来だろう。「何か」が静かに確実に私の中にもいる。
超おすすめ。
★★★★☆
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子供の影響で宇宙関連の本をよく読むが、この本は最近読んだ中でピカイチの内容でした。
宇宙に関することを見事な文体で記されており内容に引き込まれてしまいました。宇宙に取り憑かれてしまう何かが『イマジネーション』という言葉が印象的でした。
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宇宙に対する考察ではなくて、宇宙を夢見た人々を数珠つなぎにした人間ドラマです。
宇宙の事を考えるなんてことが無くて、主に下を向いて歩いているような人間ではありますが、こういう本を読むと急に夜空を見上げたくなったりします。現金なものであります。
夜空を見上げて想像を膨らませてきた先人たちから、意思と知識を受け取りさらに未来へ渡す。薄皮を剥がすように一歩づつ進んできた宇宙の研究は、みんな大好き「はやぶさ」のロマンへつながり、これからの若者達がさらに宇宙の謎を究明していく事でしょう。
ロケット開発に至るまでの紆余曲折は、変人とも言うべき頑固者たちがひたすら我が道を行ったからこそ。宇宙開発なんて人々の頭の片隅に無かった頃から、宇宙開発盛んな現代、そしてこれから訪れるであろう宇宙移民時代まで、ロマンあふれる文章で描かれています。
そして宇宙に生命はいるのか?筆者は、きっと生命は存在するし、広大な宇宙には知的生命体もいるというご意見でした。地球がものすごい確率の上に成り立っている星という事は分かっていますが、僕もまたどこかに生命が誕生して、文明が有り、その生き物なりの喜怒哀楽が存在すると思っています。
所で、宇宙は広いから何やってもいいぐらいに思っていましたが、地球からの物質を持ち込んで宇宙を汚染しないなんて条約が出来ているなんて思いもしませんでした。
宇宙の無限の広がりを感じられる本でもあり、人の想像はそれをさらに超える無限の想像力があるんだなと思わせてくれる本です。
悲しいのはどんな開発も戦争とつながってしまうということ。船も飛行機もロケットも。そして宇宙開発も全て醜い争いにつながってしまう愚かしさがとにかく悲しいです。
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ジュール・ベルヌの人が想像できることは、すべて実現できる。
想像してみよう。世界は広い。未知の世界がある。
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ここまでワクワクして読めた新書は少ない。
現代の宇宙研究が到達している世界。
これまでの軌跡、その先の展望について
見事に読者を取り込みながら語られている。
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長い間、積読状態だったこの本をようやく読み切ることができました。
ロケットを初めて作る話から始まり、月面着陸のプロジェクト、そして宇宙に生命を探す旅…。
こういうテーマの場合、難しいことを難しく描写されていることが多いのですが、
著者はちゃんと素人でも理解できるようにかみ砕いて書いてくれています。
そして、文才もある!
著者の文章が詩的で、思わずのめり込むようなストーリーがあって、夢と希望のある物語になっています。
著者の宇宙に対する深い知見と底知れない好奇心が爆発したとっても素敵な本でした。