投稿元:
レビューを見る
2019.01.02.読了
買ってから、放っておいたんです。なんか面白そうだから、まだまだ読むのはやめようって。
で、せっかくの年末年始。1年の中で私が最も愛すべき季節と休暇。これはもう手を出しちゃおうって事で読みました。
おそるべしです。海外ミステリーはバズレを引くと読みにくく、言い回しやジョークが直訳だったりして、ストーリーが全く頭に入ってこない。そして挫折する。こんなことを何度も経験した私。ドラゴンタトゥーのミレニアムぐらいですかね?今までで楽しめたのは。。。
昨年、ピエールルメートルに出会って考え改めたわけです。ヴェルーヴェン刑事シリーズを読んでめっちゃくちゃ面白いじゃん!となったわけで。。。
前置きが長くて呆れた方、申し訳ありません。
ピータースワンソン、たまりません。引き込まれます。
若い作家さんなのか?作品はまだ2作目なのかな?
でも、内容はベテランの域に達してます。
どうにもこうにも主人公のリリーが切なくて、どうか捕まらないで!と肩入れしてしまいました。
デビュー作の時計仕掛けの恋人も即購入いたしました!
投稿元:
レビューを見る
第2部に入ると、全てを一変させるような展開があり、さらに、まさかそう来るか!のラスト。陳腐な不倫もの見せかけて、大どんでん返し小説だった。好み。
投稿元:
レビューを見る
裕福な実業家テッドは、空港のラウンジで、美しい女リリーに話しかけられる。
マティーニを挟み、2人は、しばし親密なひとときを過ごす。それは旅先のちょっとしたアヴァンチュールだ。スタイリッシュなバー。ほのかな恋の予感。アルコールのもたらす若干の高揚感。そんなとき、人は普段なら口にしないようなことをつい打ち明けてしまうものだ。
テッドは妻ミランダの浮気の証拠を掴んだばかりだった。「妻を殺したい」というテッド。驚くことに、リリーはそれを当然だと言い、手助けを申し出る。
原題は"The kind worth killing"。殺す価値のあるもの、つまりは殺されても仕方ないものというところだろう。
悪いやつなのだから、世の中に存在しても害となるだけだ。だから殺してしまえ、というわけだ。
浮気女と寝取り男への断罪を思わせるタイトルだが、それが後になって別の色合いを帯び始める。
物語の語り手は、章ごとに入れ替わる。
第1章はテッド、第2章はリリー。物語が進むにつれて、ミランダやその浮気相手のブラッドも語り始める。
入れ替わるモノローグの視点は、事件を別の角度から見せていく。しかも、その中には、いわゆる「信頼できない語り手」もいる。
叙述の手法も取り入れながら、狩るものはときに狩られるものとなり、サスペンスを孕んで物語は疾走する。出し抜くのは、出し抜かれるのは、誰だ。仕掛けがわかるまではノンストップだ。
中盤以降の眼目は、いかにチェックメイトに至るかだろう。事件の捜査に当たるキンボール刑事は、犯人を追い詰めることができるだろうか。
解説によれば、映像化権もすでに売れているそうで、シナリオは完成済みとのこと。
リリーやミランダのキャスティングが楽しみなところだ。
都会的な雰囲気に、ウィットの効いた描写、クリスティやナンシー・ドルー、ハイスミスなどへのオマージュ。
娯楽サスペンス映画としては、期待してよい作品だろう。
ラストは小説としては若干押しが弱いようにも感じるが、映像化の仕方によっては見事なエンディングとなりそうだ。
狩るものは、ついに狩られる。
逃げおおせたと思ったいちばん悪いものの悪事は、白日の下にさらされることになるのか。
見届けるのはあなただ。
投稿元:
レビューを見る
リリース:達也さん
テーマ:おすすめ本
ミステリー本をネタばれしない程度に上手く紹介しつつ
オススメしてくれた本。
投稿元:
レビューを見る
揺るぎない信念を持って殺人を犯すリリー.彼女の中の正義が1章,2章と凄みを増して終盤へと続く.シリアスキラーとはまた違ってとても不気味だ.
投稿元:
レビューを見る
そしてミランダを殺す、読み終わり。
すごかった、とにかく夢中で読んだ…なんだか惹きつけられる二人に、これからどうなるんだと思ったら第1章の終わりで、え、てなって、そのままノンストップ。
そしてこの終わり。
著者に手の上で気持ちよく転がされた。
彼女にはこのまま、となぜか願ってしまったのだけれど、それは、彼女が屈するのを見たくなかっただけなんだと気付かされた。この終わり、とても好き。とても面白かった!
投稿元:
レビューを見る
リリーがぶっちぎりサイコパスだってことに最後の最後まで気づかなかった。それくらいミステリアスで知的で淡々とした人物描写。やってることは冷酷で別に大したトリックとかがあるわけでもなく普通に殺して普通に隠してるんだけど、なんだかそれが当たり前のことみたいに思えてくる。狂ってるのはリリーなのか、世界なのか、分からなくなる。
これ好きな人は『アイリーンはもういない』も好きなんじゃないかな。
投稿元:
レビューを見る
フェイスとミランダが同一人物であることが早々に明かされ、おっと交換殺人じゃあないんだ…と、予測つかない展開で、どんどん読まされる!でも、オチはこれかあ。あら、あの井戸って、自分ちのじゃなかったのねー。じゃあそもそも全然ナシじゃんか、「死体さえみつからなきゃ殺人事件にならない」ってやつは。ぶー。
投稿元:
レビューを見る
空港のバーで出会った男女が意気投合する。男はテッド。ネット・ビジネスの成功者で大金持ち。女はリリーといい、ウィンズロー大学の文書保管員。ビジネスクラスで隣り合った席に座るうち酒の酔いもあって、テッドは妻のミランダが出入り業者と浮気する現場を見てしまったことを打ち明ける。女はテッドの気持を確かめ、殺したいなら協力すると申し出る。行きずりの相手との単なるゲームと思おうとしたテッドだが、一週間後の再会を楽しみにしている自分に気がついていた。リリーに惹かれていたのだ。
どこかで見たような話だ、と思った。交換殺人を扱ったミステリの代表作で、ヒッチコック監督で映画にもなったパトリシア・ハイスミスの『見知らぬ乗客』である。本作は交換殺人ではないが、冒頭リリーの読んでいるのがハイスミスの『殺意の迷宮』であることといい、ハイスミスを意識しているのはまちがいない。自らの意志で殺人という犯罪を犯す犯人にいつの間にか肩入れしている自分を発見させられる点がハイスミスに似ているのだ。
三部構成で、第一部はテッドとリリー、第二部はリリーとミランダ、第三部はリリーとキンボールというふうに、視点人物が交代する。しかも、章が変わるたびに視点人物が入れ替わる映画でいうカット・バックの手法で進められてゆく。第一部では、テッドの視点でミランダ殺害計画を進める二人が互いに惹かれあうようになる経緯を、リリーの視点では少女時代から現在に至るまでのリリーの犯してきた罪の回想が語られる。事情があるとはいえ、リリーには人を殺した過去があった。それも計画的に、誰にも発見されることなしに。
このまま、二人の計画通りに事が進んでいくのか、と思いきや、第一部の終わりでなんとテッドが殺されてしまう。手を下したのはミランダの浮気相手ブラッドだ。一転、リリーは加害者の側から被害者の側に転落してしまう。被害者の死で利益を得るのは誰か? テッドが死んで一番喜ぶのは莫大な財産を相続することになる妻のミランダだ。帰納的に考えれば、そうなることを予め考えてミランダはブラッドに近づいたのでは、と誰でも気づく。テッドを愛しはじめていたリリーには、尚更そう思えた。
ここからリリーは探偵役となって事件を追うことになる。互いに殺人を考えていたという点で、リリーとミランダはライヴァルである。しかもそれだけではない。二人は同じ大学にいたとき、エリックという男を巡って微妙な関係にあった。大学を出てずいぶん経ってから、リリーはミランダに町でばったり出会い、婚約者のテッドを紹介されている。空港で会ったとき、リリーの方は気づいていたのに、テッドは忘れていたのだ。
宿命のライヴァルによる暗闘が始まる。どちらが相手を出し抜き、勝利を手に入れるか。ブラッドという男をどちらが味方につけ、犯罪を隠蔽、あるいは証明できるか、キンボールという刑事がその間に割り込んでくることによって、緊張が高まる。しかもキンボールはリリーに抗いがたい魅力を感じているようだ。詩人になり損ねた刑事は淫らな五行戯詩(リメリック)を書くのが習慣になっていた。これがうまく使われている。
要は二人の知恵比べだ。相手の先手を取ってどう動き、駒をどこに配置するか、チェスや将棋のような対戦型のゲームを観戦しているような気になる。三部を通して一貫して視点人物であるのはリリー一人だ。実際に人を殺しているのはリリーの方なのに、彼女の視点で語られる過去の物語を通して読者はリリーの側から事態を見るようになる。視点人物の気持ちは分かるが対象人物の気持ちは分からない。これは文芸学の基礎だ。直接的には手を下していないミランダが悪女役をふられているのだ。
まあ、たしかに悪女ではある。力や金を持つ男に近づき、自分のものにすることに生きがいを感じている。それが自分のステータスになるからだ。そして、一度手に入れてしまえば、すぐに対象に飽きて放り出したくなる。しかし、子どもと同じで他人がそれを手に入れると奪い返したくなる。エリックをめぐる三角関係はミランダのそういう性癖に起因している。
翻ってリリーはといえば、子どもの頃自分の猫を攻撃した猫を殺して以来、相手に生きる価値がないと思えば、それを殺すことを躊躇しない。この世界に存在しない方がいい相手だから、殺しても良心は痛まない。しかも、完璧な計画を立ててから実行するので、疑われることもない。一種のサイコパスであることはまちがいない。ただし、ふだんは化粧っ気もなく、地味な文書保管の仕事をしており、自分に関わらなければ殺人のスイッチは入らない。
タイプはちがうものの頭もきれて実行力もある美女二人の戦いを描いた犯罪小説。視点人物の立場が加害者、被害者の間を二転三転する構成が効果的で一気に読ませる。バーでギタリストが弾くのがストーンズの「ムーンライト・マイル」だったり、運転中に聴いているのがマイルスの「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」や「枯葉」だったり、音楽のチョイスもいい。原題は<The Kind Worth Killing>(殺すに値する種類の人々)。邦題とちがって、原題には犯人像が仄めかされている。こちらをとるという手はなかったのだろうか。
投稿元:
レビューを見る
第一部から第二部に移行したときの驚きというのは、多くの読者が語っているとおり、やはり私も驚いた。
その感覚はあの作品を読んだときと似た感じか。
そう「アレックス」だ。
しかし、本書は本当の意味でのミステリではないだろう。
サスペンスの形式をとった犯罪小説だ。
男2人+女2人が主な登場人物だ。
彼ら4人の裏切りにつぐ裏切りにハラハラさせられっぱなしだった。
正直、ある意味どうでもいい人間関係を、ここまで引きつけさせる作者の力量を感じた。
しかし、2018年の必読書などと言われると、それはないかも!と否定したくなるのは確かだ。
もっと他にも読むべき作品はありそうな気がする。
投稿元:
レビューを見る
シニカルでブラックで意外性に富んでいる──久々に良質のサスペンスを堪能した。
物語は、テッド、リリー、ミランダ、そしてもうひとりの視点から語られていく。三部構成で、それぞれの終盤に意外な出来事を用意して、様相の異なる次章へと場面を変える。
原題は「殺されてしかるべき者」。殺人の正当性を力強く主張するリリーは曲者で反社会的人格者なのだが、その歪みっぷりが逆に魅力的。隠れた素顔が明らかになる過去を経て、追い込まれる窮地にもひるまず、独特の嗅覚を持つ刑事との一騎打ちへと流れていくストーリーは先が読めず目が離せない。
「Aと思わせて実はBだった」というお約束の展開は、ストーリーが進むほどバリエーションが少なくなるが、それでもこの作者は斜め方向から切り込み、少しずつ読者の予想を裏切ってくる。通常は「起承転結」で落ち着くが、本作品は「起承転」で「結」がない。それでもステキに着地しているのだから、見事な構成というしかない。早く次作が読みたいなー。
投稿元:
レビューを見る
サイコパスな登場人物にも不思議と嫌悪感もなく、ページを追うごとに事件がどうなるのかハラハラしてくる。
視点が変わるごとに、どこで物語が終わるのか、特に後半は結末まで一気に読んだ。
投稿元:
レビューを見る
登場人物それぞれの語りでの進行なのですが、一人称視点ならではの立場の入れ替わりや認識の盲点を突いた展開はまさに予想外でした。
投稿元:
レビューを見る
リリー、テッド、ミランダ、ブラッド、キンボール。この4人がメインの登場人物。本作は犯罪小説なので、彼、彼女らがどのように犯罪(殺人事件)を実行するかが語られる。生々しくも淡々と犯罪の一部始終が描写される。それなりにページ数がある作品であるが、優秀なページターナーであるがゆえ、引き込まれ度は高い。そういえば、所謂犯罪小説は初めて読んだような気がする。登場人物のモノローグがメインの書き方や突拍子もない伏線のはりかたといい、読者を魅了する仕掛けが満載で、まったく中弛みがないまま最後まで読みきった。そうそう、空港やバーで美人に声をかけられたら注意しよう。殺されるかもしれないから。
投稿元:
レビューを見る
評判の一冊。だけれど苦手なやつ。
丁寧に書いてあって小さなことも蔑ろにしない、という印象。
一番書きたい感想はネタバラシになるので取りやめ。