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陳楸帆「鼠年」★★★
陳楸帆「麗江の魚」★★★
陳楸帆「沙嘴の花」★★★
夏笳「百鬼夜行街」★★
夏笳「童童の夏」★★★★
夏笳「龍馬夜行」★★★
馬伯庸「沈黙都市」★★★
郝景芳「見えない惑星」★★★
郝景芳「折りたたみ北京」★★★
糖匪「コールガール」★★
程婧波「蛍火の墓」★
劉慈欣「円」★★★★★
劉慈欣「神様の介護係」★★★
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ケン・リュウの本を読んだのは、紙の動物園に続き2冊目ですが、今回も綺麗な文章で、秀逸な内容の短編集でした。前よりも理系カラーに傾き踏み込んだストーリーが多いかもしれません。
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表題作はじめ、いずれの短編も面白かった。中でも女性作家の作品が楽しめました。たまに味わいの異なる中国SFを読むのは良いかも。
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ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロ』読了。中国出張に際し積んでたのを思い出し機中で読み出すや、その面白さ多様さに引き込まれる。冒頭の『鼠年』や表題作『折りたたみ北京』も良作だけど、荊軻が始皇帝暗殺の代わりに三百万の兵で円周率を計算する歴史改変ハードSF『円』が白眉。
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中国現代SFのアンソロジーである。序文や収録されているエッセイで、中国SFはどう中国なのか質問されるという話が出てくるが、今回紹介されているSFはバラエティに富んでいて、一口で中国SFを定義できない。
面白いのは、このアンソロジーが英語経由で日本語に訳されているということ。英語圏において中国現代SFが広く紹介されていることにも気づかされる。
表題作の『折りたたみ北京』を読んでファーマーの『ディワールド』とあさのあつこの『No.6』を思い出した。一週間を平等に分けるディワールドと違って、功利主義の行く末としての折りたたみ北京の怖ろしさ。これは国の差というよりは、時代の差なんだろうと思った。
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貴志祐介の「新世界より」アニメ版の絵が頭に浮かんでくる『沈黙都市』。もう少しスラップスティック色を強めれば筒井康隆の初期作品に比肩するような『折りたたみ北京』。中国古典文学の大仰さを現代に持ち込んだような『円』。そして小粒だけれど強い印象を残す『コールガール』など、宇宙ものは無いけれどバラエティに富んだSF作品を集めた一冊。これは面白い!
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郝景芳「見えない惑星」
「あなたが見てきて魅力的だった惑星の話を聞かせて」という会話ではじまる、この短編がよかった。
南半球と北半球とで大きく標高が違い、惑星一周を赤道にそって急傾斜の崖が走りそこに市街地が形成された惑星ピマチェー。
時間系が異なりお互いを知らないのけれど影響しあっている、二つの種族が住む惑星アミヤチ。
惑星のどの形態にも知的で風変わりなエピソードが込められていて、そこに住む生き物たちの関係性は幻想的。
幾つもの惑星間放浪をしたものには行き着いてみえてしまう、惑星の孤独なすがたがあり、2人の会話が効果的に挟まれてた。
次の表現が好きだった。
「建物のあいだの空間を埋める隠喩のように、解読不能の言語が断片的に残されていた。..
「僕が話した惑星は宇宙のあちこちに散らばっているけど、ときどき一ヶ所に集まる。..
いまは君も僕も語り手であり、また聞き手なんだ。」
ほかの短編も読んでみたい。
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百鬼夜行街、円、神様の介護係が面白い。特に人間3人を使って基本的な演算回路を作り、300万人集めて人力コンピュータを作るという「円」が素晴らしい。昔の日本のsfって、こういうセンスオブワンダーがあったんだよなー、と思いました。
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中国でのSF小説には百年の歴史があるらしいが、毛政権までは共産党施政下の科学教育教材の比重が大きかったらしい。
本書が示す現代中国SF小説の質の高さは印象的だが、通読すると中国風の雰囲気をどことなく感じられる気がする。
現代が既にある意味SF的な状況にあることもあり、それほどのハードなSF感はなく、どちらかと言えば叙情的なものが多い。
本書は英語で編まれたアンソロジーの翻訳なので英訳からの日本語訳なのだが、中国語から直接翻訳されていればもっと中国色が強く感じられるのではなかったかとも思える。
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沈黙都市、折りたたみ北京、麗江の魚のディストピア感はSFならでは!百鬼夜行街の仄暗いファンタジックな雰囲気や童童の夏の温かい読後感もよかった。全体を通して、料理・食べ物の描写など中国の文化や歴史などが盛り込まれ、読みごたえのあるSF短篇集だった。映像化したら映えそうなものが多い。フルCGとかじゃなくて、クオリティの高いアニメで見てみたいな。翻訳モノは久しぶりだが、欧米ものと比べてとても読みやすかった。訳者のスキルもあるだろうが。
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中国SFのアンソロジー。
陳楸帆(チェン・チウファン)「鼠年」「麗江(リージャン)の魚」「沙嘴(シャーズイ)の花」
夏笳(シア・ジア)「百鬼夜行街」「童童(トントン)の夏」「龍馬夜行」
馬伯庸(マー・ボーヨン)「沈黙都市」
郝景芳(ハオ・ジンファン)「見えない惑星」「折りたたみ北京」
程●(女へんに靑)波(チョン・ジンボー)「蛍火の墓」
劉慈欣(リウ・ツーシン)「円」(「三体」から抜粋した章の改作)「神様の介護係」
劉慈欣の「神様の介護係」がいい。「円」も面白く「三体」が読みたくなった。
次に若手の陳楸帆。「荒潮」が出版されたら読みたい。
女性だったとはしらなかった郝景芳の「折りたたみ北京」は3番目かな。
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表題作「折りたたみ北京」「神様の介護係」「童童の夏」「沈黙都市」が個人的に好み。
イメージとしてあり得そうなディストピア感があるものや、文化的なものか、老人がいい味を出している作品が多い印象。
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現代中国の様々なSF作家の作品を集めたアンソロジー。傑作揃いで非常に読み応えがあった。
全体的にディスピアものが多く、激しく変動する中国社会に苦悩する作家達が、世界に示したある種のアレゴリーとしても受け取れる。
一方で、美しい詩的表現が目を引く作品もいつくかあり、詩歌(漢詩)の国 中国 の豊穣な蓄積が感じられた。
以下、気に入った作品を軽く紹介。
・龍馬夜行/夏笳
長い眠りから目を覚ましたロボット“龍馬”。長い年月の間に、地球から人類の姿は消えていた。“龍馬”はひとり、夜の旅をはじめる…
幻想的な情景と、海子(中国の詩人)の詩の引用が、寂しい夜の旅を美しく描き出す。
・折りたたみ北京/郝景芳
表題作にもなっている作品で、中国社会の貧富の差がSFに織り込まれている。
来る日も来る日も厳しい労働に明け暮れる主人公の現実にやるせなくなる。
胸を締つけるラストに、読んだ後もずっと切ない気持ちが続いた。
・蛍火の墓/程婧波
SFとファンタジーを織り交ぜたような幻想的な世界観が、夢のように美しい。
そのあまりに緻密な文章表現にひたすら魅了された。
・神様の介護係/劉慈欣
壮大な宇宙スケールと中国古来のヒューマニズムが合わさった傑作。
作者の想像力にただ圧倒される。
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現在の中国SFのトレンドを生み出したケン・リュウが編集したSF短編集。ケン・リュウが序文を書いており、中国SFは簡単に実態を掴めるようなものではないし、現在の中国の政治に対するカウンターに限らない。もっと広い視点(=人類)で見て作品を発表しているとのことだった。
実際に読んでみると、中国っぽいなーと読める部分もあるものの、シンプルにSFとしてオモシロい。かなりファンシーな物語もあれば、劉慈欣に代表されるハードな物語もあって飽きずに楽しめる。著者の紹介も合間に挟まれるのだけど、多くの作家が作家専業ではないところも驚いた。
favoriteだった短編は鼠年、沈黙都市、折りたたみ北京、神様の介護係。あとがきも充実していて、全部読み終えたあとに各作家がどのようにSFを捉えているのか知ることができて勉強にもなった。加速度的にテクノロジーと資本主義が発展してきた中国においては、「SFはグロバリゼーション時代のアレゴリーとして読むことができる」という夏笳の言葉が一番しっくりくる。
https://www.hayakawabooks.com/n/n95edde9ca363
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ちょっと解釈が難しいのもあったが、どの話も情景をありありと想像できた。SFの楽しさを久々に味わった。
はじめての中国SFだったが、特に読みづらさを感じることもなかった。