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紙の本
母は地上にいなくなっても生きている
2018/01/24 09:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
母を介護し、看取った息子の物語の第4弾。
「ペコロスの母に会いに行く」は映画にもなりヒットした。
「母の忘れ物」は母の3回忌を迎えて、息子の日常に現れる母の介護の情景や母と過ごした日々がテーマ。
母は地上にいなくなっても生きている。母を覚えている自分がいる限り。
度々現れる母が「だけん、 生きとかんばぞ」「いきとってくんばぞ」という。
母が痴ほう症で昔の生活に生きている様子と現在、母が亡くなって思い返す家族の物語がちりばめられる。
母と父が原爆を受けた長崎の前と現在の風景を見ながら「こん国はどげんなっとるんやろ(父)」とつぶやくと母は「そげん心配よか、一日一日ば、コツコツ生きていきましょうで」と会話する幻視は、かつての父母の生き方がいまの息子に対する励ましとなっていることを想像させる。
家族の美しい物語だ。
漫画の合間にエッセーが挿入される。
それも珠玉の言葉が詰まっている。
母がぼけて粗相をした初期の時期に、「死ねばよかとに」と思う息子、しかし介護の中で気づく母の愛おしさ、少しでも長く生きてほしいと胃瘻を選択するなか、死を迎える期間が、「ゆっくりと母と向き合って死を迎える芳醇な時間であった」と振り返る。「こげんなるまでいきとかんちゃ、死ねばよかと」の気持ちの先にある世界と著者は述べる。介護をしたからこそ、今、介護をしている人の気持ちにも寄り添える言葉が綴られている。
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