紙の本
陰謀の真犯人探し
2021/12/30 09:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
○保元の乱
後白河の側近であった信西が崇徳の政治的抹殺を主導し、勝利に導いた
○平治の乱
藤原信頼・源義朝らのクーデターが発端だが、クーデターにより獲得した権力を維持できず、清盛の協力を得る前に京都を制圧された
○反平氏勢力
後白河法皇の第三皇子以仁王は清盛に所領を没収され、クーデターをおこした
頼朝・義仲も以仁王の死後、平家に討たれるよりは半ば自暴自棄に挙兵した
○頼朝と義経
平家滅亡後、頼朝は源行家の討伐を義経に協力を求めていたが、行家説得を試みた義経は、行家と共に頼朝追討の反乱を起こした
しかし、義経の元に集まる武士軍はおらず、各地を逃げ回り、奥州平泉に身を寄せた
○源氏将軍家断絶
吾妻鏡記載の頼家=暴君は作者北条氏の意図が強い
頼家危篤を受け比企能員が北条時政討伐を企てるが、愚管抄によると時政が能員討伐を企てた
その時政に逆らい追放したのは子の義時であった
吾妻鏡が語るのは、北条氏の執権政治を正当化するものなので全てを容認できない
○北条家得宗家
三代執権泰時は幕府機構の整備を進め、権力は順調に拡大しているかに見えたが、四代経時の時に得宗家最大の危機を迎える
安達・三浦両氏が謀叛を起こすが、安達泰時を討った平頼綱も九代貞時成長と共に権力の正統性は失われた
○打倒鎌倉幕府
後醍醐倒幕計画は、持明院統が仕掛けた大覚寺統との皇位争いである
建武の新政を始めた後醍醐に尊氏は離脱の意志はなかったが、帰京しない尊氏の討伐を義貞に命じた
義貞を破った尊氏は、ここで建武政権との対決を決意した
○観応の撹乱
南北朝時代、北朝優位であったにもかかわらず60年近く続いたのは、幕府内紛“観応の擾乱”が発生したため
足利直義と高師直の軍事面での対立である
○応仁の乱
応仁の乱の原因は日野富子が我が子義尚を将軍にすべく山名宗全に近づき、細川勝元との幕府二大実力者が介入した将軍家のお家騒動ではなく、宗全が勝元の政治力を利用し、畠山義就の軍事力を利用して勝元一派を政権から追い落としたことが発端である
日本史の転換とも評される大事件の原因がお家騒動では釈然としない
なぜ抗争が雪だるま式に膨らんでいったのか今一つしっくり来ない
最高権力者である征夷大将軍の後継者問題が大乱を生んだという構図の方が納得できる
○本能寺の変
光秀単独犯説
・怨恨説
・野望説
・勤王家説
・幕臣説
黒幕説
・朝廷黒幕説(正親町天皇)
・義昭黒幕説
・イエスズ会黒幕説
・秀吉黒幕説
光秀の謀叛は信長、信忠を同時に抹殺する必要があり、突然訪れた好機を逃さず決起した突発的単独犯行と見るべきだろ
○秀次事件
秀吉は秀次に謀叛の疑いをかけ、高野山に幽閉し、秀次は切腹した
秀次の補佐役だった山内一豊らは秀次切腹後加増されており、秀次抹殺に荷担した功績が評価されたものと考えられる
秀次は身の潔白を示すため切腹した
秀吉への抗議の切腹という評判を恐れた秀吉は、謀叛人として扱うしかなかった
○七将襲撃事件
利家逝去後、三成を討つべく挙兵した加藤清正・浅野幸長・蜂須賀家政・福島正則・藤堂高虎・黒田長政・細川忠興の七将
家康は七将と三成の間に入り、事態の収拾に動き、秀頼の傅役の地位を獲得
五大老五奉行体制は形骸化し、家康を頂点とする指導体制が成立した
○関ヶ原
家康の会津征伐で機内を空けることで三成勢力を決起させ、一網打尽にする説は、家康勝利という結果から逆算した陰謀論である
家康は反家康勢力の一斉決起を想定しておらず、七将事件で三成を失脚させ、全国大名に号令をかけ会津を討伐することが仕上げだった
投稿元:
レビューを見る
<目次>
第1章 貴族の陰謀に武力が加わり中世が生まれた
第2章 陰謀を軸に『平家物語』を読みなおす
第3章 鎌倉幕府の歴史は陰謀の連続だった
第4章 足利尊氏は陰謀家か
第5章 日野富子は悪女か
第6章 本能寺の変に黒幕はいたか
第7章 徳川家康は石田三成を嵌めたのか
終章 陰謀論はなぜ人気があるのか?
<内容>
濃い内容だが、通常の歴史書とは一線を引く内容。院政期から室町期辺りは、先輩諸氏の論を打破する内容。本能寺の変や関ヶ原は、「歴史読本」のような感じ。つまり、アマチュアの歴史家の「陰謀論」を木っ端微塵に論破してます。でも、アマチュア歴史家は、終章にあるように、”疑似科学”とおんなじで、それこそ仕組まれた、と論破されないんだけどね。本の中にも出てくる、原田実氏の著書のように、間違った歴史(観)が、文科省にまでつながってしまうと、事実が捻じ曲げられてしまう虞もあり、怖いところ。
投稿元:
レビューを見る
2018030
応仁の乱の著者の一冊。
平清盛の時代から関ヶ原にかけての時代の陰謀論を紹介。
頼朝と義経の関係は世間が思うほど悪くなかったのではないかと言う説は興味深かったです。吉川英治の平家物語では、頼朝の心理描写があまりなかったので、一方的に義経に肩入れしてましたので。
本能寺の変は朝廷黒幕説、イエズス会黒幕説など色々あがりましたが、それだけ敵が多かったということでしょうか。
1番興味深かったのが関ヶ原の合戦で家康が実は追い詰められていたと言う展開でした。何かを成し遂げるのに順風満帆なんてないと思うし、ピンチをチャンスに変えてきたからこそ、名将としての今があるのだと思います。
投稿元:
レビューを見る
読むのはなかなか骨が折れますが,歴史に対する知的興味を大いに刺激されました。
一番目からうろこだったのは,「応仁の乱」というのは,実はそういう争いだったのだということ。
室町時代は,ぱっとした印象がこれまでなかったのですが,「観応の擾乱」といい,愛憎激しく,複雑でドラマティックな時代だと認識を新たにしました。
著者のベストセラーである「応仁の乱」も手に取ってみようと思います。
投稿元:
レビューを見る
保元平治の乱から関ヶ原までの中世におけるトピックを検証し、これにまつわる誤解から珍説までを切って捨てるという、痛快にしては手を出したくない論争を挑んだ内容。
歴史を学んだ人間としては納得ですが、一市民としては容赦のなさが残念ですし、遊びはあってもいい気がします。
投稿元:
レビューを見る
本書の内容にいちいち納得♪
でも、家康だけは全てを把握した上で仕掛けた
狸親父の大陰謀者であって欲しいな、
今更このイメージだけは払拭できそうに無いw
(ちなみに私はアンチ家康ですw)
終章にもあるように、しっかりとした専門家が
トンデモ説やキワモノを黙殺しないでしっかりと
批判して欲しい。まさに『東日流外三郡誌』に
ならないように。
投稿元:
レビューを見る
なぜだろう
好きな時代の好きな陰謀歴史
読みづらい・・・体調悪いのかな
6.12 体調良し!面白い
でも、この人の考え方は少し歪んでる
コミンテルン批判は異論在り
投稿元:
レビューを見る
中世の様々な陰謀とされている事件の検証。
6章の本能寺の変と7章の家康と三成の所だけ読んだ。
後世で陰謀とされるものの多くは結果論的な解釈や著者の立証責任の転嫁などで出て来るという。
本能寺の変などは様々な陰謀論が有るが時系列、各キーマンの地理的な配置、其々のリスクとリターンを勘案すれば陰謀に与するのは無理だとわかる。
他の時代の章も読んでみたいが、また今度
投稿元:
レビューを見る
日本史の人気のある事件などの陰謀史観を
列挙して、その矛盾や成り立たないところ
を反論している内容。
まあまあ読めますが、でどうしたという感じ。
そんなことは申し訳ないがわかっているつもり
というところもあって
投稿元:
レビューを見る
「応仁の乱」より面白かった。日本史に、意外にわかっていないことが多いことを痛感。いつも思うのですが、鎌倉時代はすごく血なまぐさい時代だったんですね。室町時代もしかり。
投稿元:
レビューを見る
歴史に陰謀があったのでは、と思ってみるとオモシロイよね。本能寺の変の黒幕は秀吉だとか、関ヶ原は家康が仕組んだものだ、とか。単純明快で分かりやすい。でも、そんな訳があるはずもない。特定の個人があらかじめ仕組んだ筋書き通りに歴史が進行するなんてことはない。分かりやすいものしか信じられない「いま」を矯正してくれる一冊だ。
投稿元:
レビューを見る
短い中に入り組んだ話が詰め込まれててやや読みにくい。陰謀と言われているものを考察して陰謀があったとは言えない、とするだけではなく、陰謀とほぼ確定しているものを考察してみないと、すべての陰謀説のあるものは陰謀説を否定できる、としか言えない気もする。
投稿元:
レビューを見る
保元の乱に始まって関ヶ原まで数々の歴史の転換点となったような事件に対するざまざまな解釈,陰謀,黒幕に焦点を当て,勝手な思い込みを排除して学問として推理する.すぐに,陰謀があったのではないかと安易に想像することへの警告である.非常に面白かったが,秀吉の中国大返しなんかはやはりできすぎではないかと思うので,いくつかは陰謀説の方が正しいのではと思っている.
投稿元:
レビューを見る
「応仁の乱」で名を挙げた呉座さんが今度は歴史研究者の立場で民間に蔓延る陰謀論を批判する。素人が歴史を都合よく解釈することは危険であり、この本と別のところでは、かつて帝国陸軍に義経の鵯越に倣った奇襲攻撃を志向する人々がいたが、最近の研究では義経の軍事作戦は必ずしも奇襲志向ではないという。歴史の教訓としては、義経の作戦傾向よりも、帝国陸軍が奇襲にならない奇襲作戦を繰り返し、米軍の銃火の前に膨大な戦死者を生んだことの方が、重要性は高い。
ただ、かつては通説も平家物語や太平記を無批判になぞっていることが多く、そういった文学ベースの歴史解釈に対する批判として在野の陰謀論が生まれたという側面は否定できない。研究者が在野の議論を素通りしてしまうことの危険性は本書でも言及されている。同じく在野の一愛好家としては、正規の研究者と在野の陰謀論者が緊張感のある議論を展開してくれることを望む。
投稿元:
レビューを見る
巷に数多ある歴史上の陰謀説に対して、状況証拠を駆使して反論していく。
結果を知るものからすれば必然に思える出来事も、結局は偶然の積み重ねに過ぎないということか。