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派手さのある話ではないけれど、トリックや登場人物たちの心情等に全て納得できる話。アリスが助手として活躍してないと思ったけれど、最後においしいとこ持ってってくれたので良かったです。
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先生の繊細さと緻密さとがフルコンボって感じでした。狩りと言う名の通り、犯人を追い詰める場面はとても息つまる一戦でした。言葉の一つ一つ掛け合いの一つ一つが好きだなあって思う。
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話題のホラー作家との対談の席で、彼の家にはそこで眠れば確実に悪夢を見られるという部屋があるという話に、よければ泊まりに来ませんかと誘いを受ける。
ホラー作家白布施の担当である江沢鳩子とともに、その誘いを受けたアリスは、そこで奇怪な事件に遭遇する。
白布施の近所に住む矢作はアシスタントをしていた廣瀬に与えていた今は無人のはずの“獏ハウス”が何かおかしい、行って確かめてほしいと訪ねてくる。
訪問していたアリス、江沢も白布施についてそこを訪れると、そこには昨日訪ねてきたという廣瀬の知り合いだという女性が矢を首に突き刺され死んでいた。
廣瀬と死んだ沖田という女性の関係、何故矢が凶器に使われたのか。彼女の切り取られた右手。そして矢作の証言したアリスたちが来訪する前日に沖田が獏ハウスの庭の巣箱に手を突っ込み何かを探していたものは何だったのか。激しい雷雨の夜、落ちた雷が原因の倒木で奇しくも閉ざされていた一帯で起きた殺人事件。沖田を殺したと思われていたストーカーの男もまた、倒木にふさがれる手前の空き家で発見された。その左手もまた切り取られていた。
駆けつけた火村とともに、アリスは捜査を開始する。
火村曰く『とっ散らかった事件』は、そして悪夢の終わりのように決着を導く。
シリーズ最新作。表紙も美しいけれど、捲った中もまた負けずに美しいという凝った一冊。紙の本の良さが詰まっている。
火村の悪夢について、アリスが今までで一番突っ込んだ言葉を放っている。有栖川先生は火村の悪夢、殺意の理由が明らかになったときがこのシリーズの終わり、というようなことをどこかで書かれていたけれど、そう思うと知りたいような、知りたくないような。火村という特異な人物の背中に、触れるか触れないかの距離をもってアリスの存在があることはきっと途方もなく救いだと思う。ラストの車中での会話には胸を突かれた。これが今の精一杯の距離なのだなと。
とても面白かった。もちろん事件のロジックも。
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「あなたに、悪夢を」 ――火村英生シリーズ、最新長編登場!
「俺が撃つのは、人間だけだ」
彼は、犯罪を「狩る」男。
臨床犯罪学者・火村英生と、相棒のミステリ作家、アリスが、
悪夢のような事件の謎を解き明かす!
人気ホラー小説家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、
京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。
そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。
しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、
白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、
右手首のない女性の死体が発見されて……。
火村英生シリーズ、待望の長編登場!
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待望の火村&アリスシリーズである。個人的には、ドラマを観た後でも、役者のイメージにとらわれずに済む数少ない作品でもある(わたしの中の火村先生は、もっと複雑で深い)。そして相変わらず時に三枚目を演じるアリスとはいいコンビであり、謎解きに至る火村の思考に果たすアリスの役割を、火村自身がいちばんよくわかり、頼りにしていることが改めて判って嬉しくもある。火村対真犯人の構図のほかに、アリスが真犯人に投げかける言葉に内包される愛ゆえの怒りや哀しみが、やり切れなさを誘う。火村&アリスが誕生して25年だそうだが、まだまだふたりを見続けられそうなのがなにより嬉しいと思うシリーズである。
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最後までミステリの醍醐味を味わいながら面白く読めた。
ミステリ的な側面が面白かったのはもちろん、2人の関係がいつもとちょっと違っていたようにみえたのが新鮮だった。
普段アリスは火村の抱える絶叫して飛び起きるような悪夢や人を殺したいと思った過去について割と距離感をもっていたように感じていたが、今回は久しぶりの再会がその距離感を伸び縮みさせたのか、口を濁す火村に対してこちらがひやっとするくらい踏み込んでいたのではないか。
その過去が明らかになることはなかったが、アリスなりに友を心配して、今のままでいいと思っているわけではないとアピールする姿勢に嬉しくなる一冊だった。
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面白そうなんだけど、主人公と相棒が何だか私には合わなかった。生理的に無理な感じなので、ごめんなさい。
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人気ホラー作家白布施に誘われ、そこで眠ると必ず悪夢を見るという部屋のある「夢守荘」に泊まることとなったアリス。その翌日、白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」で右手首が切断された女性の死体が発見されるのだった。
作中で探偵役の火村がこの事件のことを「散らかっている」と称するように、様々な要素が次々と出てきます。突飛な凶器、壁に残された血糊の手形、被害者につきまとうストーカー、被害者と繋がりのあった今は亡きアシスタントの過去、もうひとつの死体とそこに残されたものなどなど。それらを元に組み立てられる推理の流れは、ひとつの流れが複数に分かれそれぞれがそれぞれの動きをしながらまた合流するような散らかり具合があります。
あとがきで元々この作品を倒叙もののスタイルで書こうとしていたとあるのですが、この散らかった流れは犯人側から描写されると慌てふためく様子を含めて面白そうな気もします。最後の火村の推理の流れの突飛さと着地点の美しさは叙述の形でも行かせるような気もします。一度成立させた推理をある時点で捨て、それを後からもう一度本流に戻すことで活かすというやり方はその最たるものかも知れません。推理を披露する場面ではそういう叙述ものが持つ緊張感があったような気もします。しかしそうなると犯人の動きに限定され、それ以外の部分の膨らみがなくなってしまうのでしょうか。もしかすると叙述ものの楽しみも併せて楽しむものになっているのかも知れません。
僕にとって有栖川有栖は本格ミステリの教科書のような存在なのです。「本格ミステリとはなにか?」という問いに対する答が「有栖川有栖の作品」なのです。それはトリックや動機の奇抜さではなく、推理の流れの美しさなのです。その意味で今作では本格ミステリの本流の魅力を再認識させられました。
またアリスと火村の関係性が改めて書かれているというか、火村の抱える悪夢に対してアリスが一歩踏み込むシーンに少し驚かされました。これはあの「ドラマ化」の影響なのでしょうかね。何にせよミステリ部分以外も楽しめた作品でした。
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スタンダートな本格ミステリ長編が味わえる火村シリーズの醍醐味躍如、読み応えあるお話でした。
悪夢を生むという部屋、悪夢を題材にしたホラーで人気を博した小説家、静かな田舎町で起こる、普通ではない殺人事件…。話を盛り立てる道具立てに、ロジカルな火村とアリスのやりとりで、リアリティあるフィクションにどっぷりつかれます。
悪夢というひとつのキーワードが、登場人物それぞれによって違った意味を伴って背後にあり、それが複雑な深みを物語に加えています。いつも火村シリーズには哀切さというか、生きるやるせなさみたいなものを感じ取ることがあるのですが、今回もこの「悪夢」をひとつのカギとして、それぞれの因果のなした運命が浮かび上がり、切なさを後に残します。
あと、いつも作者の本の装丁は凄く凝っていると思うんですが、今回もまたとても美しくて素敵でした…
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なぜ殺されたのか?何をしに被害者は来たのか?
この謎を中心にじわじわと明るみになる事実、繋がっていく人間関係…という展開は、派手さはないものの、読了後は「狩人の悪夢」というタイトルを含め、良いミステリだなぁと思いました。
また、今作では改めて火村の暗い部分についても触れていて、タイトルの「狩人の悪夢」は、犯罪者を狩る側である「火村の悪夢」という意味もあるのかと思うと、火村の苦悩の深さに改めて触れたような気がしました。
ラストのサプライズ(と言っていいのか)には、悪夢の名残を払うような、爽やかさのある読了感にさせてもらいました。
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火村英生シリーズ 長編
人気ホラー作家、白布施に誘われ彼の自宅『夢守荘』を訪問したアリス。白布施の描く悪夢さながらの殺人事件が起き、駆けつけた火村と共に、事件解決に動き出す。
火村は犯人を”狩れる”のか。
やっぱりいいですね、長編。ぐいぐい引き込まれ、長さは全く感じなかったです。本書でも、アリスの迷推理を聞きつつ自身の推理を詰めていく火村のスタンスは変わりません。自分なりに推理しながら読んでましたが、どう頑張ってもアリスを超えられませんでした。
帯にもある「俺が撃つのは人間だけだ」や「水に落ちた犬」「妖精」「”狩り”」等、本書では印象的な言葉が多数あり、今も頭から離れない。犯人、被害者、それぞれの気持ちを考えつつ、ただ「石を投げる人」にはなりたくないと強く思いました。
切なく悲しい物語ですが、読後感は悪くないです。アリスを信頼し必要としてる火村。火村が悪夢を見なくなるようにと願うアリス。本当にこの人達は。
あとがきにあった『倒叙』形式、「犯人の側から見た物語」、凄く読みたいです。気長に待ちます。書いて欲しいなぁ。
後、装丁が本当に綺麗です。
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火村シリーズ長編。
対談で知り合ったホラー作家に誘われて編集者といっしょに彼の家を訪問した有栖川だが、その翌日に作家のアシスタントが住んでいた家で死体が発見され、火村とともに捜査することに…
雷の倒木による半閉鎖空間、一部を切り取られた死体などの雰囲気だけでなく、論理でガンガン攻めていくまさに本格ミステリ。途中ちょっと頭痛くなったが、謎解きの楽しさを十分に味わえた。作中にでてくる「ナイトメア・ライジング」も面白そう。
あとがきによると火村&アリスシリーズは25周年らしい。個人的にこの二人にキャラ萌えはできないがシリーズとしては昔から好きなので、これからも色々やれるという著者の言葉は心強い。
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アリス&火村シリーズ最新作。もう何作目になるのか分からない。
今回は作家の自宅隣家で起きた殺人。手首が切り取られるという残忍な行為だが、そこにおぞましさが感じられない。
火村のいう『散らかった』感じが延々と続き欲求不満が募るのだが、終盤に一気にほどける。
火村は正に狩人のように的確に犯人を追い詰めていく。その冷酷さと反比例するかのようなアリスとの温かな関係が印象的。
それにしてもこの事件、肝心の人が既に亡くなっているだけにスッキリとしない。彼の想いを余所に、勝手に周囲が暴れた感じ。
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火村英生シリーズ
題に引っ張られたかな、なんか全体暗い感じがした。
読むの疲れたな。
追記 2020.1.14
読んだの忘れてまた借りちゃった。
オーベルジュが気になったな~
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火村シリーズの最新刊である本書は、期待通り、正統派の犯人当てミステリになっている。密室もトリックも一切無いが、語り手アリスの目を通して手掛かりは全部読者に知らされ、論理的に犯人を導ける。こういう端正なフーダニットが読めると本当に幸せ。一連の火村シリーズの中でも上位の出来だと思う。
関係無い話だけど、今から28年前に出た有栖川さんのデビュー作と、本書の価格が同じなんだね。厚さは本書の方が厚い。
だから何だと言われても困るが、出版業界って不可思議だな
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これはクローズドサークルのヴァリエーションなのだろうか。本格ミステリは練りに練られた計画殺人が取り上げられるのが普通だが、衝動殺人、予期せぬ殺人でも成立するという好例。火村先生の秘密にも次第に近づいているような。たとえ実作の才能がなくても創作についてプロのように語るのは可能だというアリスの見解、一億総批評家のネット社会への批判とも言えるか。