忍びの者という闇社会に住む人間の悲哀が偲ばれる作品でした。
2019/08/31 10:54
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
忍びの者という闇社会に住む人間の悲哀が偲ばれる作品でした。為政者(将軍)の意向を受けて汚れ仕事に従事、秘密を知り過ぎた頃合いで伊賀から根来、根来から甲賀と使い捨というか根絶やし策に翻弄されていく悲しい定めに同情してしまう。格好良い「忍者もの」と思って読んだが、むしろ闇社会の悲哀を強く感じる作品だった。山田風太郎といえば伝奇的色彩の強い「忍法もの」(忍法帖シリーズが有名)が有名過ぎて、ついその流れで読んだがそれとは異なる側面を見たといった感じ。本作は、テレビドラマの原作を小説化したものらしい。
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伊賀に代わって公儀隠密を目論む根来忍者、その主命を受けた二人は復讐の怨念に燃える伊賀信者たちとの闘いを繰り広げる。
この作品のポイントは、二人の根来忍者を主人公に据え、物語の展開にこの二人の立場が重要になってくる所です。
しかも、二人の忍術も二人のコンビを活かしたもので、それで伊賀忍者に立ち向かっていく所も読みごたえがありました。
ヒロインを挟んで、二人の忍者が苦悩する様子や最後は意外な展開で幕を閉じる所もさすが風太郎忍法帖という感じでした。
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忍法帖の中でも読みやすいので、山風初見の方にもオススメ。
江戸幕府の隠密として各地へ赴き潜入捜査するわけですが、それぞれの藩が色んな問題を抱えまくっていて、それがまた突拍子もないものばかりで面白い。
青年忍者ふたりの友情に打たれます。
いつまでも"二人二脚"でいてほしい。
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根来衆vs伊賀組と対立の構図はシンプルだが、作者常道の騙し騙され、殺し殺されの凄惨に血が流れまくる忍者同士の戦いは割と控えめ。
政変により、伊賀組に変わって公儀隠密に登用された根来お小人の若手忍者、漣四郎と城助が密かに探っていく諸藩の陰謀や秘密は下半身絡みが多くどこかユーモラス。
ラストは根来の首領の娘、お螢も巻き込んで根来衆の存続と若手二人の友情も風前の灯でドキドキハラハラ。胸のすく痛快な終わり方や根来の育ての忍者たちが見せる情けも珍しく、徹頭徹尾非情な忍法帖とはまた違う忍び活劇が味わえる。
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山田風太郎の長篇時代小説『忍法双頭の鷲』を読みました。
『甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)』、『柳生忍法帖〈上〉〈下〉 山田風太郎忍法帖(9)』に続き、山田風太郎の作品です。
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根来忍者対伊賀忍者!
公儀隠密の座をめぐる熾烈な闘いの行方は!?
延宝八年、徳川四代将軍家綱の死去と同時に、後継者をめぐって劇的な政変が起きた。
新将軍には、若年寄堀田筑前守が擁立する綱吉が就任、それまで権勢を誇っていた大老酒井雅楽頭(うたのかみ)は失脚した。
そして、それに伴い、公儀隠密の要職にあった伊賀組が解任され、替って根来(ねごろ)衆が登用されたのである。
主命を受けた若き二人の根来忍者、秦漣四郎と吹矢城助は、隠密として初仕事に勇躍、江戸を後にした。
だが、彼らの行く手には、復讐の怨念に燃える伊賀忍者たちの執拗な妨害が……。
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1969年(昭和44年)1月から同年8月まで光文社が発行する小説誌『小説宝石』に連載され、その後、刊行された忍法帖シリーズの第24作… 『隠密忍法帖(お小人忍法帖)』や『妖の忍法帖』の題名だったこともあるようですが、『忍法双頭の鷲』に改題された角川文庫版で読みました。
■二人三脚
■傘骨連判状
■源氏十三帳
■つんつる大名
■淫の寵姫
■死霊大名
■なえまら剣豪
■猿姫様
■紅白上意討ち
■隠密の果て
徳川四代将軍家綱の死去と同時に、劇的な政変が勃発… 新将軍には、若年寄・堀田筑前守が擁立する綱吉が就任、、、
それまで権勢を誇っていた大老・酒井忠清は、宮将軍を擁立せんとするが失脚・憤死に追い込まれる… それに伴い、酒井大老の手先であった伊賀組が追放され、替って堀田子飼いの根来衆が公儀隠密に抜擢される。
そして、主命を受けた若き2人の根来忍者・秦漣四郎と吹矢城助が、隠密として不穏な噂のある大名の探索を命じらえる… だが、彼らが潜入すると、それぞれの大名家にも様々な事情や思惑があることが判り、2人は公平な視点で調査・報告をしようとする、、、
ところが、各藩の領地には、堀田と根来組への復讐に燃える伊賀忍者たちが先行して潜入しており、執拗な妨害が続く… 傑作長猛忍法帖!
根来忍者の隠密コンビを主人公にした作品… 複数のエピソードが連なっているので連作というイメージかな、、、
根来衆vs.伊賀組の対立というシンプルな構図に、史実である五代目将軍・徳川綱吉の恐怖政治… 大名の改易や減封、旗本・御家人を処罰等を絡めて描かれており、興味深いテーマなのですが、あまり作品に入り込めなかったんですよねー 後半は斜め読みしちゃいました。