石井桃子氏が、何気ない日常生活を綴った心温まるエッセイ集です!
2020/05/28 10:38
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、児童文学作家であり、翻訳者として活躍された石井桃子氏が日常の何気ない小さな体験を生き生きとした文章で書き留められ、そこに季節の移り変わりや、子ども時代の豊かな心情などを散りばめたエッセイを収録した一冊です。同書には、表題にもありすように、家のこと、一緒に暮らした犬やねこのことなどが誠実でユーモラス、シンプルな生命力にあふれた文章として55編が収録されています。構成は、「雪のなかのお餅つき」、「愛情の重さ」、「都会といなか」、「花どろぼう」、「知らない友だち」、「波長」、「ピンクの服」、「また猫のこと」、「宮様の手」、「小さな丸まげ」となっており、石井氏の心が読者に伝わる心温まる一冊です!
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プーさんなどの本を翻訳した方の、あちこちの雑誌等に掲載されたエッセイの寄せ集めなため、一貫性に欠いていて少し読み辛かった。時間も飛ぶし、経緯なども丁寧に説明されているわけではないし。それでも、翻訳をしながら少し農業をやり、動物を飼い…というのは私が今まさに憧れている生活なので、興味深く読んだ。石井さんの経験された農業は私が憧れてるものより全然本格的で、生ぬるいものではないけれど…
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旅のおともに何か文庫本を、と思い出して書店に寄った。
読みたいなぁと思っていた『幼ものがたり』は書店になかったので、人柄を知りたいしこの生活随筆集を選んで購入。
季節のうつりかわり、子ども時代の豊かな時間、戦後すぐの東北での開墾生活、一緒に暮らした犬やねこのことなど。
(カバー裏より)
没後10年。
児童文学界と埼玉の偉人。
ペンを片手に机のそばで笑っている写真のイメージで、朗らかな方なんだろうなぁと思っていたら、イメージと違った。
ときに感じる偏屈さは、純粋さゆえなのだと感じた。
「しゃけの頭」、「つゆの玉」、「むらさき色のにおい」、あたりが印象に残った。
「ひとり旅」(「透明になっていくような気持ち」)に共感し、慰めにもなった。
前半は旅の電車に揺られながら、後半は自宅で腹這いになって読んでいたことを、この先覚えているような気がする。
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普段はたくさん本読みたいからどんどんページをめくっていくけど、この本はじっくり時間をかけて1ページずつゆっくり大事に読みたいと思った本だった。
大事に思うことを大事にできること。思っててもなかなかできないからこそ、すごいなあ。色々と染みた。
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2020.7
石井桃子さんの文章は正直で潔くてかっこいい。何か明るい。時々ぴしゃっと投げる言葉にはっとする。大事なものがここに全てあるような。信念を持って生涯働き続けた人。勇気と温かさをいただく。
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「山のトムさん」という映画を観て、現在が石井桃子さんということなので読んでみた。
さすがの小気味良い文章で、心地よく読んだ。特に「ひとり旅」という一編が好き。「……その透明なからだのなかの心臓から泉のようならものが、こんこんと流れだしているのに気づいた。私は、どのくらいかのあいだ、死んだひとや生きているひとたちをだいじにしなければという思いに打たれて立っていた」
この感覚、わかるような気がした。