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紙の本
オーソドックスな良さはあれど結末が纏まり切らなかったか
2016/01/03 16:39
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投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
1作目 『隣りの独身美母〈シングルマザー〉』 3月
2作目 『調教旅行中-新人女教師、熟女教師、兄嫁教師と』 8月
3作目 本作 12月
デビューした2015年内に立て続けて3作品を上梓。それも誘惑と凌辱の硬軟を織り交ぜてである。作者の中で路線がまだ確立されていないのか、それとも「両刀使い」を目指しているのか、その辺りは判然としないが、旺盛な執筆意欲と実際に作品として仕上げる力量は買うところである。ただ、1年目らしさも未だ醸しているのは致し方ないところか。オーソドックスな甘いテイストに回帰した本作においても最後の纏め方に若干の消化不良を感じる点が今後の課題と言えよう。憧れの未亡人と仲良しだった姉妹の狭間に立たされた主人公の心の内とその行方は収まるところに収まったものの、それが読後感として読み手も共有できるものかはまた別であり、外野ながら小説の難しさを垣間見た気もした次第である。
久々の帰郷で以前から慕っていた未亡人と再会するも、それとは別に主人公を慕っていた娘からは想いを告げられ、その姉からは人妻ながら摘み喰い的な関係を迫られる板挟みな構図。メインヒロインへは自発的に行動し、迫りもするが、サブヒロインには受け身になってしまう二律背反でもある。大体において優柔不断というかヘタレな主人公に設定されるのでズルズル流されていくのだが、どこまで流されるのか、あるいはヒロインを対立構造とした場合には主人公が片方に与するのか曖昧にするのかでも結末が自ずと決まってくると推測される。この意味において本作の主人公は割とハッキリしているのだが、その意思表示は最後の最後なので、それまで関係を続けていた側からすれば騙されたような、不憫な印象となる。それでも主人公への未練を残す振る舞いを最後に見せるのは健気でもありながら、その素振りには淫らさが前面に出た違和感もあった。女に目覚めた豹変のギャップではあるのだが、キャラ設定としてややブレたようにも写った。
様々なシチュエーションとバリエーションで心と体が結ばれていく官能描写には肉欲に屈するような淫靡さもあって申し分ない。メインヒロインとの話の本線も良好。それだけに対立構造とした際の、敗者の潔い引き際が(描かれてはいるのだが)今少し立脚していれば「負けてもなお」の部分もさらに際立ったのかな?という気がした。
つまり、あれだけ頑張った姉妹ならば、そのままメインとともに過ごせる未来にしてあげたくなるので、そうでなければ頑張りレベルを少し下げるか、もしくは、もっと潔く引くことできちんと報われてほしい読後感だったということである。
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