紙の本
不思議な読後感のサスペンス・ミステリー
2011/04/28 13:52
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投稿者:ぜのぱす - この投稿者のレビュー一覧を見る
明野 照葉、初めての作家である。
この数年、お馴染みの作家(=安心して読める)の作品ばかりを読んでいるので、少し新しい作家を開拓しよう、と、最近出版された中から、タイトルで選んだ作品、『冷ややかな肌』を読んだ。不思議な読後感のサスペンス・ミステリーであった。
一流総合商社の総合職に就職したはずが、結局は、一般職と変わらぬ仕事ばかりで10年、挙げ句の果てに、リストラ対象の後輩、小谷野 良佳(こやの よしか)の査定、お目付役を兼ねて、将来提携するかもしれない新興外食チェーンレストラン「シノワズリ」の経営システムを学ぶ、と云う触れ込みで、 良佳と二人で出向することになった相沢 夏季(あいざわ なつき)。
「シノワズリ」を実質的に切り盛りしていたのは、渡辺 真理(わたなべ まり)と云う若い女性取締役であった。その驚愕すべく仕事内容、実績に比して、真理自身は華やかさに欠け、その印象、影が薄く、所謂オーラが全くない。仕事内容と真理の外見(上の性格)とのギャップの大きさに戸惑う夏季たちであったが、男性社会の中で疲弊して、身の置き場のなくなっていた夏季は、次第に真理本人に惹かれて行く。やがて、夏季たちは、真理や「シノワズリ」、更には、「シノワズリ」を経営する株式会社王琳(おうりん)に、何か隠された秘密があることに気付き、その秘密を解こうと画策を始めるが、相手の組織が大き過ぎたことに気付いた時には、既に・・・。
物語は、夏季、良佳たちの現在型の物語と、或る人物の過去型の物語が、織り交ぜられ乍ら、進んで行く。
敢えて云えば、サスペンス・ミステリーに類される作品であるが、それ程、ドキドキハラハラするでもなく、また、多くの謎が未解明のまま残されるので、読者に依っては、不満を抱くかもしれない。実際、エンディングには、私自身も、物足りなさを感じた(が、この後、これが、若しシリーズ化されるのであれば、そのエンディングも有り、である、が、恐らく、シリーズ化はないであろう)。と、辛口ではあるが、実際は、作家の力量が充分感じられ、愉しく読めた。その証拠に、他の作品も是非読んでみたくなった。
紙の本
冷ややかな肌
2023/02/17 16:25
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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏季は度々、自分なりに一生懸命やっている、仕事に恵まれない、力を発揮する機会にも恵まれない、と言っている。が、閑職に追いやられているのは、それだけの実力しかないからではないか。良佳も同様だが、プライドとコンプレックスが強い分、嫌悪感を持ってしまう。
そんな女性たちに感情移入はできず、むしろ、自分の存在感を消して体温を感じさせず、冷静、有能な真理に興味を持っていかれる。真理の背後の組織形態も漠然としていて、不気味だが、惹かれるのも分かるような。
何となく、もやもやが残った。
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再読。
大手商社の総合職として10年、34歳にして「島流し」、中華料理のチェーン店「シノワズリ」に出向させられた夏季。
急成長を遂げた「シノワズリ」の仕組みにとともに、若き取締役 渡辺真理の手腕に羨望と疑念を抱く。
多数の外国人を雇用しての効率的な経営、裏社会を匂わせる面白さ。
突出したところがなく中途半端にいい人であるが故に、そんな役回りを与えられてしまう主人公に自分を重ね合わせて、仕事をする上での気持ちの持ち方になるほどと思うところが多かった。
2014.7.12
再読。
帯にある「目立たない女が、いちばん怖い」とは実はそうかも。
飲食産業の女性取締役でありながら没個性、慌てず騒がず仕事をこなす女性。
「心で考えず頭で考える」
心の在り方、生き方が少しわかったような気がした。
2010.11.3
面白かった〜
ミステリ要素が適度にあって、明野 照葉さんの作品では一番かも。
この作家さん、裏社会も書けるとは、どういう人なんだろう。
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十年の商社勤めの末、三十四歳にして「島流し」の憂き目にあった夏季は、出向先のレストランチェーンの若き支配人、渡辺真理の手腕に羨望と疑念を抱く。地味な外見、希薄な存在感に反して発揮される冷徹な決断力と異様な行動力。夏季は後輩とともに秘密を探り始めるが…日本にいながら日本人のルールから外れて中国的なルールに生きた時に新たば世界が広がる。
面白い。
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現代版1984年って感じ。
あ、もちろんジョージ・オーウェルの方です。
目立たない女が一番怖いっていうのは
確かに頷ける。
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得体の知れない人物に接する時の気持ち悪さを体験できる導入には、引きつけられた。ただ、深みにはまっていく、気味の悪さは無く、最終的な盛り上がりがイマイチ。
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洗脳(?)のようなちょっと異質な怖さがあり、
あまり好きではないけれど、印象に残る話でした。
辛さ苦しさに耐えきれずにすべてを切り捨てる・・・バサリという音、本当に聞こえてきそう。
主人公の女性の心情、環境、葛藤がリアルだからこそ、
(はたから見ると)不気味な世界に入っていってしまう過程に現実味があって怖かったです。
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商社勤務の夏季は、島流しともいえる
レストラン「シノワズリ」へ出向となる。
シノワズリには、大きな秘密が・・
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全体的にダークな雰囲気。
でも結構楽しめた。明野さんの本はこれが初めてだけど、あと数冊読んでみようかな。
商社の中の人ってこんな事までするんだ~、と妙な所に興味深々。
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今まで読んできた明野さんの本とはひと味違う感じ。
女性の内面描写がもっとあってほしかった。精進料理ちょっと食べてみたいかも(笑)
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30代前半女性の仕事における焦りや心の揺れは伝わってきました。
そして、正体不明の人達の気味悪さも伝わってきました。
ただ…、ちょっと調べてわかるような正体、仲間に引き入れるなんてあり得ないでしょ。そんなに簡単にわかるなら、とっくに警察自体が動いてるって。
もうひとひねり欲しかった。
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おもしろくないという訳じゃないし、着眼点はおもしろいと思うのだけど、なんというかすっきりしないのは、キャラが魅力的じゃないからかなあ。
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いったい何が起こってるんだろう…という好奇心から、どんどん紙面を繰りたくなるんだけど、結局は何も起こっていないお話。
中国人を核にしたインターナショナルちっくな団体さんが日本で何かをやっているんだけど、別に大きな犯罪に絡んでるわけではありません。
ご飯屋さんをやっていたりする(笑)
そこで不法滞在を助けたり「など」している日本人女性がいて、その人の何ものにも縛られない生き方にあこがれるしがらみいっぱいの30代後半で商社の総合職だけどリストラ要因の独身女性が主人公です。
雰囲気は良いけど、推理小説じゃなくて心理モノとして読むべきお話だね。
アラフォー世代の独身女性は共感する人もいるかも。
(我が家のアラフォー独身女性は、それほど共感していなかったけど。)
でも、男性には受けなさそうなお話だな…。
なんだか大変なことが起こっていそうな張りつめた雰囲気は好きなんだけどね(笑)
それなりに人生とは…ということを考えるネタにはなります。
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怖い女の話。
商社(飲食)に勤める女が出向先の「シノワズリ」で
ばりばり働く女に興味をもつところから。
裏の世界に入ることを決めておわり。
まあまあ。
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う~ん・・・これサスペンス?
あまりにも不可解な謎に挑みすぎた感が。
なんだか理不尽さだけが読後残りました。