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ごく近い将来、日本に人口減少と超高齢化がやってくるのは確実。しかしロクな対策は実行されていない。また、上から下まで危機感を持っている人はごくごくわずかで、心配になる。特に若い人が平然としているのが不思議。大丈夫か?
”最悪の事態に備えて、様々なプランを用意するという事を日本人は嫌いますけど、それはかなりの程度まで日本人の民族的奇習だと思います”
”日本の社会では最悪を想定し、その対処法を考えるという行為そのものが、悲観的な態度とされ、悲観論者として非難される”
”アカデミアの場でさえ、敗北主義が敗北を呼び込むという論法が、永遠の真実として堂々と語られていた”(これは旧日本軍の作戦運用と通じるところがある)
”ホモサピエンスとネアンデルタールは混血しており、DNA解析によれば、現人類はどうやら男がネアンデルタールで女がホモサピエンスのハイブリッド”
”農耕と狩猟 狩猟は労働時間が短い。農耕は働けば働くほど収穫増加→人口増→更に労働増というループ。農耕が広まったことは戦争を激増させた。(貯蔵を可能にしたこと、天候(地域)に左右されることなどの要因)
”文化による社会貢献、経済的に困窮している人々にシャワーと清潔な古着を用意し、美術館に招待。ただ食事を提供するだけでは、それでおしまい。文化に触れることで、少しの人たちだけでも社会性を出してくれればよい。
生物学的見地から地方再生や、この問題への取り組み方など、多方面に渡った人口論。勉強になります。
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55
・人口減少社会を人口増させようとしている著者たちではない。
・とはいえ、イギリスの例などを出しながら、対策を間違ってはいけないとある。
・人口問題と経済政策を分けて考えるべき。
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あまり書かれたものを読んだことがないブレンディみかこさん、隈研吾さん、平田オリザさんの論考が新鮮だった。
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☆☆☆2019年9月☆☆☆
『人口減少社会』を、経済成長や人口のV字回復で乗り切るのでなく、人口減少を受け入れつつ、いかに豊かに暮らしていくかに焦点を当てた本だと思う。僕は藻谷浩介氏の著作に感銘を受けることが多く、この本でも藻谷氏の論が気になった。東京都が人口のブラックホールだというのは、自ら東京にいて実感できるところだ。地方にこそ生き残りの道があるというのも理解できる。
高橋博之氏の『都市の地方をかきまぜ、「関係人口」を創出する』という論にも勇気づけられた。必ずしも都会か、地方かみたいな100か0かみたいな話でもないんだ、と思った。
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- 11人の異なる立場の人から見た人口減少社会についての考えを読む本。
- 個人的には隈研吾、池田清彦、井上智洋辺りが面白かった。
- 各所に通じてるのは「人口減少は推定できることである」ということ。わかってて何もやってこなかった、の話。
- 人口減少を当然くるものという前提でじゃあ何する、ということを自分のできること・興味の持てることから考えて動いていく、ということか。
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藻谷浩介さん
東京の人口増加は、高齢者の増加(引退せずに居座り続ける)
それを補うために若者世代が地方から流入
ただし、東京の次世代再生産比率は全国最低であるため、子どもの数は減り、国全体で人口減少。
日本でよくあるマジョリティによる周辺部の搾取構造。
対策。国策として、東京に若者を送り込まないでよいようにする。
分散型社会にする。
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複数名の論客がそれぞれの視点で人口減少について語るという内容。
序論において少子化や高齢化が進行しているということは頻繁に耳にするものの、出口戦略を持った議論が不足しているという指摘があった。さらに、これに対して日本人は最悪の事態を想定して対策を講じるという習慣がなく、明らかに問題が深刻化しているのに責任を取りたくないから問題の解決を放棄する性格があるという。実際そうかはともかく耳が痛くなったが、確かに問題だと大騒ぎするだけでなく、場合によっては(むしろこちらの方がありそうだが)敗戦処理的な内容になることも受け入れて具体的な対策を講じないと今以上の大問題がやってくるのは目に見えている。
個人的には統計データに基づいてなんとなくでしかなかったイメージを更新できた藻谷浩介さんと、緊縮財政を進めてきたイギリスに住んだ人の目線で縮小社会は楽しくないと述べるブレイディみかこさんの章が印象に残った。
この本では最終的な結論に至ろうとしているわけではなく、多角的な意見を交えて議論する土壌を作る契機としたいという狙いはよく伝わってきた。ただもう少し各章に紙面が多くあっても良かったのではないかとも思う。
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以前、「未来の年表」という本を読んでみたのですが、その流れで手に取ってみました。
内田樹さんをはじめとして、バラエティに富んだ方々が寄稿されているのですが、本書の体裁は、各論客の主張をそれぞれの個性の任せるのままに“ただ1冊にした”との様相です。
それ故か、最後の章を受け持った姜尚中教授のパートは行きがかり上「最後のまとめ」を引き受けたかのようで、この論考の掲載順序も内田さんの判断だとすると流石としか言いようがありませんね。
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確実に進行する人口減少を前にしても、「国のかたち」についての国民的な議論は始まっていない。人口減少によって何が起きるのか、どう対処したらよいかについて誰も正解を知っていないが、「衆知を集める」ことはできるとして、各分野の専門家の見識を集めたのがこの本である。最初に執筆している思想家の内田樹氏の内容は面白い。日本社会では、「最悪の事態を想定してその対処方法を考える」習慣がなく、それが日本の大きなリスクだと指摘している。日本社会は負け幅を小さくする後退戦が苦手であり、将来のダメージをより大きくしてしまう傾向があることは残念だが納得してしまう。とはいえ、人口減少に合わせて社会構造を変革していく議論や処方箋は、この本を執筆した各分野のほとんどの専門家が触れていないことからも、この問題の難しさがよくわかる。やはり、個人的な覚悟と準備が必要になるのだろう。文筆家の平川克己氏の見解はわかりやすい。少子化の主因の晩婚化は自由と発展の代償であり、婚外子を日本の社会が認めるというモラルの変更が鍵になるという。
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序文の内田樹の文章がそのとおりだよなあと思い、彼が声をかけた人の文、というのを意識して読んだ。
色々な方向から書かれていることで、勉強にもなったし、自分のもやもやの言語化にもなった。
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ブレイディみかこさんは「縮小社会はたのしくなんかない」という一文を寄せている。日本で縮小社会への本に「楽しい」とか「怖くない」などの枕詞がついている本があるが、イギリスに住む身としては、かつての「ゆりかごから墓場まで」の社会はどこへやら、緊縮財政のなか、生活保護の打ち切りや失業者はあえぐ現状、それは「楽しく」も「怖くない」なんてこともない、という。
(調べると「楽しい縮小社会」2017.6筑摩書房 があった)
氏の別な本でも公共投資も縮小され、保育園がフードバンクになったり、図書館が閉鎖され福祉施設になったりする現状が語られていいた。それはとりもなおさず子供たちの学習の場を奪うことになり、「未来のために借金を残さない」政策が逆に増やしている、と述べる。
紹介されていた映画「パーディーで女の子に話しかけるには」2017 ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の内容がすごい。主人公の女の子は遠い惑星から来た宇宙人という設定。この惑星では「ペアレント・ティーチャー」と呼ばれる指導者が若者を率いて「コロニー」を作っているが、種族の保存のためには子供たちは親に食べられてしまう、というのだ。(大人たちの思想的物質的)現状維持のためにはそうやるのがいいという考え。日本版パンフレットに氏は文を寄せ、この映画は緊縮財政に対する警鐘だと思ったので、パンフレットにはそう書いた、という。ただ原作には親が子を食べるというのはないそう。70年代後半が舞台の著者の半自伝的小説らしい。
2018.4.30第1刷 図書館
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先のことを考えないことにする日本人に、人口減少という確実に起こる未来への処方箋を各界の代表者の意見を通してあぶり出し、国民的な議論を巻き起こす、という趣旨でまとめられたものだそうだが、その試みはうまく行っていないように思える。
よく言えば百家争鳴だが、まったくまとまりのない意見の集合体で、どれも説得力があるような無いような中途半端なものばかり。全体を通読して持った感想は、人口減少は自然現象であり、人間があれこれ思い悩んだり、ましてやそれに故意に抗うことは自然の摂理に反している、というもの。全然自信の持てない意見だけど。
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【人口減少社会の未来学】内田 樹 編
移民を受け入れるだとか脱成長とか、元々は経済成長が達成しずらい環境(不足があまりない状態)から今後どうしていくかという課題感を持っている、
人口動態としても減少をするとされている中で、どういう社会を目指しているのか参考にしようという目的で手に取った。
色んな観点があるが、生物学的に、人口が本当にやばくなったら今の人口減少グラフは意味なくなるてことや、2200年頃には世界的に人口が安定してその頃にはベーシックインカムが主流となるだろうだとか、長期的に見すぎると個人としては何もできなくなる、大きなうねりに身をゆだねるしかないように感じるので、一旦割愛する。
東京は東京ブラックホールと呼ばれるほど、若者を魅了して流入数は多いので、確かに東京は人口増加していてそれ以外は低下しているような構造に見られがち。だが、東京は再生産率が低く、60歳前後の数ももともと多いため、労働人口の推移で見ると、最近は減少しているとのこと。そのため今後は東京で負担する高齢医療の負担が大きくなるし、分母も少なくなるので一層社会負担が大きくなることが分かる。また、人口動態の議論の中で移民受け入れが挙がるが、移民は短期的には労働人口増に寄与するが、結局彼らの労働環境が悪かったり、給料が低かったりして再生産率の増加とはならない。そのため、構造的に産みやすい環境づくりをするというのが中長期的に求められる。
地方ではすでに高齢者数の減少に転換していて少子化が止まっている地方自治体もあるよう(=親と同じ分くらい子が子供を産む)なので、地方に魅力(平田オリザのいう文化による社会包摂)を作ることで産みたい人の地方への移動の動きを作ることが大事だとしている。(この結論は藻谷浩介も同じ)
またブレイディみかこみたいに沈みゆく舟から逃げるというのもあると思う。少し前は自分も同様の立場だった、ただシンガポールにいる今では、改めて生の意味や日本の良さを改めて考えるとやっぱり日本で過ごしたいと感じるようになった。また地方という産みやすい環境や文化、雰囲気があるところへの流れを作るというのも正しいが、個人的には東京のあの人の多さは好きだし、そこにいたい。
そもそもこの本自体も論集であるので、いろんな立場の人がその立場から人口動態に対して書いている。なんていうか事実は変わらないがそれをどうとらえるか事実をもってどういう生き方をするのかは個人的なものだなと感じた。
僕の個人的な東京の好きもそれを拡大して東京の再生産率の向上のための何かを行うような仕方でアクションを起こすことができるし、それでいいんだと感じた。
人口動態に対する新しい事実・知見を得ることができたし、その事実を踏まえても結局は個人として何をすべきかは個人に当たり前だけどゆだねられていることを再認識できた。
個人的には包摂は気になっているので、それに対してボランティア?や仕事もITの立場からそういうところに迫っていきたい(確かにもともとインフラに関心があったのは誰でもアクセスできるものだったからであるし。)。
ただボランティアとか、関係人口���地方創成とかをググるとどうもみんな笑顔ばっかり優しくて正直しんどいとも感じる。それでも自分の関心領域をちゃんと構えて、チャレンジしてみようと思う。たぶんやってみて分かるものもあるはずだし。好きなもの、きれいなことだけで終わらせない。
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問題提起として 解決策は俺たちが なんか足りない コミュニティに戻るだけでは 攻めのデザインと守りのデザインを
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人口が減るから経済が成り立たなくなる、という常套句から、さらに人口減少社会の解像度を高まる良書。
国民経済や制度論のイシューとしてではなく、その中で人はどうすれば豊かに生きることができるか、村落はどうあるべきかなどを「文化による社会包摂」「関係人口」「経営者目線」の否定など、いろんな切り口で考えさせてくれる。