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本当に面白かった。
アウシュビッツで生還した収容者の物語。ホロコーストはなかったとか信じる奴らに対しリアルな経験を物語る。まあでも普通文明人が一つの民族を根絶やしにしようと考えるなんてありえないって考えてもおかしくないよな。事実は小説より奇なり。
ゲットーの物語、アウシュビッツでの苦痛など現実味が溢れていて、ノンフィクションの惨劇にめまいがする。ユダヤ人嫌い嫌いになるぞ。わずか4歳でアウシュビッツ入りする子供に同情するし、そこで子供を守るために全力を尽くした母と祖母に涙が出る。父は賄賂という方法で同胞を救ったが、言うなればこれは救えない人間を選ぶということでもあるから心が傷んだろうと感じた。キツイな。ナチのクズめ。
ジャルキでの苦悩の日々から、ピョンキでの多少マシな日々を経てアウシュビッツに行ったのは本当に幸運だったと思う。ピョンキでのまともな(それでも健康で文化的とは言えないだろうが)生活のおかけでアウシュビッツを乗り越えられたという面はあるだろう。「死の行進」を避けたのは本当に幸運で驚嘆する。
母子の再会が最高。これは涙が出る。生きててよかったねえ。父と兄がなくなったのは悲劇だが、母、子、祖母が生き残ったのは20世紀最大の奇跡だろう。隠れん坊の世界チャンピオンに幸あれ。
ユダヤ人を石鹸にするクズどもに対し、母の「それなら私はとびきり上等の石鹼になるわ、イズラエル。ラベンダーの石鹼、それともライラックやローズヒップ?」好き。
たまーにだがまともなドイツ人がおり、それを描写している点も評価できる。流れには逆らえないけど自分のやり方で差別と戦う姿は良い。こういう人を描いたノンフィクション本も読みたいね。
オーウェルのエッセイを読むと感じるが、ヨーロッパ人のユダヤ人嫌いって根拠がない上に根深いよなあ。
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当時の状況がよくわかった。途中読んでいてとてもしんどくなくようなシーンも度々出てきたが、その分アウシュヴィッツから出た後の本の後半部分は感動的だった。
主人公の父親が絶望の中起こした行動、収容所での母親や祖母の勇気ある行動、ヒルダおばさんの、常に前向きでありなさいという言葉、などから状況が絶望的ななかでも最善のことをして未来を切り拓いていけるんだと希望をもらえた。とても良い本に出会えた。
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ユダヤ人の主人公ボーンスタイは、4歳の時に「死の収容所」と呼ばれるアウシュヴィッツから奇跡的に生還した。過去を語ることを避けていたが、ホロコースト否定論者たちに幼少期の写真が使われていると知り、証言を残そうと決意する。本書は、彼の断片的な記憶を、家族・親戚の証言や歴史資料で補強しながら、一つの物語として展開していく。
彼はナチス支配下のポーランドのゲットーで誕生した。父がユダヤ人社会の有力者であったことから、当初は収容を免れていたが、終戦近くに収容所に移送された。子どもや女性たちが移送後すぐに命を奪われる中、祖母が彼を守り抜き、奇跡が重なったことで命をつなぐことになる。
戦争の意味さえ知らない純粋な子どもの目線で、収容所生活の戸惑いや悲しみ、ひもじさが語られており、より胸に迫るものがあった。戦争がいかに弱者を傷つけ翻弄するのかを痛感させられた。
深い傷を抱えた収容者たちにとって、収容所からの解放は、新たな試練の始まりを意味していた。生活を立て直す過程で、さらなる迫害や困難に直面した。ホロコーストの悲しい歴史を綴るとともに、第二の人生を力強く築いていったボーンスタイ家の人々の意志の強さに心を動かされた。杉原千畝との関係も記されており、日本とのつながりも感じられた。
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アウシュビッツ関連の本はいろいろ読んだが、この本はその中でもかなり衝撃を受けた本だ。
主人公が4歳だったこと。
過酷なアウシュビッツで生き延びたこと。
その理由が偶然のできごとだったこと。
この本は「ホロコーストは嘘だ」と主張する人たちへの反論として書かれた。「ホロコーストは嘘だ」と主張する人がいることが私にとっては信じられないことだ。
一点気になったことは、ジャルキに戻ってきたユダヤ人の大半が著者の親族だったことだ。著者の親族は金持ちが多かったのか? それとも。。。いろいろ考えさせられた。
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アウシュビッツ関連の本は小中学生のときに読み漁ったが、収容所からの生還後の話を書いているものがなかったので、当時の惨状に驚いた。
少し文体が読みにくかったが、読む価値はあると思う。
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とても読みやすいが、とてつもなく重たい話だった。ユダヤ人というだけで気まぐれに殺されていく描写。人は人に対してここまで残酷になれるのか。奇跡、運、金、コネに恵まれアウシュヴィッツを生き抜いた4才のマイケル。アウシュヴィッツを出ても幸せにはならない。なぜユダヤ人というだけでこれほど憎まれるのか純粋に分からない。が、読めて良かった。