電子書籍
地図の歴史
2021/08/14 11:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界編ではメソポタミアから古代ギリシャ、中世ヨーロッパのTO図、そして大航海時代の世界地図作成と古代から近代までの地図の歴史がよくまとまっている。日本編でも行基図に始まり戦国時代の南蛮渡来の世界地図に伊能忠敬や間宮林蔵などの実測図と時代毎の地図の歴史について知れて良い本。発行は1970年代と古い本だが今でも十分読める。
紙の本
古来からの地図を見ることで、当時の人々の観念や思考を考察していく画期的な歴史地理学の入門書です!
2020/03/18 09:52
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、これまでロングセラーを誇ってきた講談社学術文庫の一冊です。同書は、表題にもありますように、地図の歴史を分かりやすく解説したものですが、地図は、実は文字の発明よりも長い歴史をもっており、その時々に描かれた地図には、その当時の人々の観念や思考が具象化されていると、著者は主張します。同書では、こうした当時の人々の思考や観念を、160点以上もの興味深い世界地図、日本地図の図表を見ながら、考察していきます。非常に興味深い一冊です。
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タイトルの通りの地図の歴史についての書籍である。
地図は文化のバロメータだそうで、その国が作った地図の精度を見ると文化水準がわかるようだ。
本書はまずヨーロッパでの地図の歴史を振り返り、そのあと日本の地図の歴史について説明している。
歴史の部分は簡潔でよくわかったけれど、もう少し作図の方法についても言及してほしかった。
現在はご存知のとおりメルカトル図法で描くのが一般的ではあるが、地図投影法はメルカトル図法だけではない。
地図の発展には、精密な測量方法の発達と、それを描く数学的な方法の発達が必要なのだ。
本書は歴史を記載してはいるけれど、この2点についてはほぼ言及していない。
今後、これらが記載してある本を読みたい。
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世界史が苦手なので、世界篇を読むのに苦労しました。
全然頭に入ってこない。
逆に日本篇は結構自分で勉強した部分もあるので、面白く読みました。
ただ、この本自体は2年前に出版されたものですが、底本の出版が昭和40年代という…。
古いよ!
2万5000分の1地形図が、まだ全国の半分しか刊行されていない。
もちろん今は全国を網羅している。
広域的な地図を作成するのに、リモートセンシングの技術が最新として紹介されているけれど、もちろん今ならGNSS(GPSなど)だ。
ドローンによる測量や3Dの地図など、この本が書かれたときには想像もできなかった技術が、今、当たり前にある。
やっぱりこういうのは、新しいのを読まないとだめだなと思った。
だけど、一か所、とてもわくわくする記述があった。
ちょっと長いけど抜粋します。
”イドリーシーの世界地図では、アジアの東南の部分に「シン(Sin)の国」、すなわち「シナの国」がある。(中略)その東にはシラと記された諸島が散在し、さらにシラの対岸にあたる、東に長く連続するアフリカの最東端のところにはワクワクが位置している。(中略)「シン(シナ)から先のところは、どのような土地かわからないが、……金を産するシラと、やはり金を産するワクワクがある」と述べている。シラ(Sila)が新羅、すなわち朝鮮半島にあたるとすれば、ワクワク(Waku waku)は倭国、すなわち日本を指すものと解され(後略)”
これが西方の地図に日本が記載された最初の記録であるらしいです。
”waku waku”→”wakwoku”→”wakoku”の流れは、さもありなんと思いました。
日本が外国で”ワクワク”と呼ばれていたなんて、なんかちょっとわくわくしませんか?
まだ太平洋が見つかっていないときなので、日本がいきなりアフリカにあったりするのも面白かったです。