紙の本
真実の西太后
2018/05/26 10:58
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
西太后は中国三大悪女の一人だと言われます。もちろん、彼女には、大きな問題もあったでしょう。しかし、悪女というレッテルが一人歩きして、あることないこと、とくに悪女が倍増して語られます。本書は、等身大の西太后が分かる一冊です。上巻では、その生い立ちや球体に入るいきさつが分かり面白いです。
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西太后を「名君」として捉えたところが特徴。
清朝の後年、近代化が進んだこと、列強に対して独立国としての意地を見せたこと等、ポジティブな影響力があったとするが、どこまでが彼女の影響によるものなのか、読了後、なかなか腹落ちするところまでには至らず。(例えば、日清戦争の敗戦の原因が、頤和園の再建等で海軍を増強できなかったという事実からも)
清の場合、少数民族が国家支配をしていたという特徴がある訳だが、資金を吸収する仕組み(それを分配することでの求心力)を有していた、という中央集権的な点がある一方、中国という巨大国家であるが故の分権的な部分(李鴻章が私兵を持っていた)もある。
このあたりの、国家運営については、未だ分かり難いところがある。
以下引用~
・清朝には政策のチェック機関として、伝統的な監視制度のもとに置かれた検閲官、「御史(ウーシー)」がいた。批判を職務とする役人といってもいい。慈禧は御史以外の官吏による批判も奨励し、知識階級が国政に関わりやすいようにした。
貿易の拡大により、中国は効率のいいー腐敗のないー税関を持つ必要に迫られた。慈禧が海関の総税務司に任命したのは、恭親王が推したアイルランド人の28歳のロバート・ハートだった。
ハートのもので海関は、無秩序で汚職の巣窟だった時代遅れな組織から、秩序ある近代的な組織へと生まれ変わり、中国経済に多大な貢献をした。
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悪女と評されがちな西太后(慈禧太后)の生涯・人物像に迫った作品。上巻は彼女の幼少期から咸豊帝の側室としての後宮入り、息子・同治帝の即位と死去、養子・光緒帝の即位及び日清戦争までを収録。
西太后は完璧で清廉潔白な人物とはたしかに言い難い。しかしながら崩壊寸前の国家をどうにか立て直すべく、因習や性差別に阻まれつつも難局に臨み行動した点はもっと評価されるべきだと思う。個人的には浅田次郎の『蒼穹の昴』からの印象をずっと抱いていたため、本書で述べられる彼女の姿は新鮮に映った。下巻にも期待しよう。