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この本の語り手はプレイヤーではなくゲーム内キャラクターである。これだけで、既存のゲームSFとも転生もの(ほとんど読んだことないが)とも違う印象を与える。
読者にとって主人公は自明であり、語り手であるキャラクターの方が未知であることが、面白さを生んでいる。まあ、自明とは言え剣豪である主人公に語らせては、剣術の実況と解説が難しくなるので、当然の配置でもある。
現代にだって、剣術・武道を生業に生活している方々がいる。平均余命が伸び続けるならば彼らの老後は思っているよりも長いかもしれない。それがさらに続けられるとしたら、極めた技を持って、さらに進み続けるのだろうか。現実に諦観した転生ではなく、現実の延長としての転生の夢を見たい。
ところで、2056年ともなれば、夫という言葉に性別の意味は含まないのではないか。況やゲーム内ならばY染色体など不用ではないか。お爺ちゃんは孫の成長も見守りたいのである。感想ではなく願望である。