紙の本
不思議なお話
2023/07/02 09:53
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏休み中の主人公が実家の近所を歩いていてピアノの音をたどって古い洋館に辿り着き、そこでアルバイトをする中でレッスンに来る人の手伝いをする短編集。短編集といっても少しずつ繋がっていて、最後には主人公自体の抱えていた葛藤に向き合い…という話。時間が巻き戻っている感じがしたり、死んだはずの人が出てきたりして不思議なストーリーで、最後にその謎がうっすら明かされるという仕掛けでした。面白いかと言われると微妙な小説でした。
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2016〜17年「読楽」初出の連続6話及び書き下ろしの最終話
子供の頃ピアノにトラウマを持ち、大学にも行かなくなった祐介は、墓地のある山の洋館から聞こえてくるピアノの音に引き寄せられ、謎の美女紗良の「奏弾室」でアルバイトするようになる。
様々な思いか抱えて習いに来る生徒の演奏を手伝ううち、紗良に惹かれ、音楽の人を癒す力を痛感し、ピアノに対する恐怖がなくなるが、途中で死んだはずの人に出会ったり、意識を失ったり、時間が戻ったりする。トラウマを克服し、かつて練習していた「カンパネッラ」を弾く時には、祐介は全ての謎が解け、関係したみんなの前で演奏する。
最後まで読んでファンタジーかと思うが、みんなが優しくて胸が熱くなる。私も紗良さんに習いたい曲がある。
バッハ カンタータプレリュード「主よ、人の望みよ喜びよ」:死んだ娘の結婚式で弾くはずだった益田さん
槇原敬之「どんなときも。」:職場を辞めた祐介の姉に先輩芦原さんが聞かせる
アーロン・コープランド「ホーダウン」:大学時代にプログレッシブロックバンドを組んでいた仲間に聞かせる
ラフマニノフ「6つの小品 Op.11 5. ロマンス」:倒産・夜逃げした夫に取り残された母と連弾する娘小塚美嘉
アンデス民謡「コンドルは飛んでいく」:消滅したはずの集落でただ一人祐介を待っていた櫟本小百合
リスト「死の舞踏」(「怒りの日」によるパラフレーズ) :祐介たちがいるレストランに死んだはずの益田さんの娘が来て弾く
リスト「パガニーニによる大練習曲第3番ラ・カンパネラ」
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「主よ、人の望みの喜びよ」と言うバッハの曲の話から、始まるのだが、、、、
父と娘の約束の連弾曲を 結婚式迄にとの約束を、、、、
しかし、話は、複雑に絡みついて来る。
主人公の青年 秋葉佑介は、厳しいレッスンのピアノで、音の良し悪しが、わからなくなって、今は、ピアノから遠ざかっている。
しかし、ピアノの音に誘われて、墓地のあるピアノ教室ヘと、足が向いてしまうのだ。
そこで、美女のピアノの先生 松田沙良と、出会い、佑介は、アルバイトをする羽目になる。
さてさて、娘の結婚式で、奏でる曲に、新婦の父の弾くバッハの譜面をめくる役を仰せつかるのだが、、、、、
その結婚式に参列したのは、、、、父親と佑介、そして沙良、、、、ホテルの従業員だけであった。
そんな話が、続いて行く、、、
亡くなった人が見えたり、そして、佑介が、小さい時に遊んだ場所など、、、、時間が巻き戻ったり、、、と、
佑介が、ピアノに対して、純粋な気持ちで、聞ける心が、あるから 死者の事も見えるかと、思いながら読み進んだ。
最終話の「ラ・カンパネッラ」リストの曲になって、最後、亡くなったのは、佑介本人だったのだと、、、、そうゆう展開の仕方で、この本が描かれている事に、、、最後まで、気づかされないで、読んでしまった。
こんなどんでん返しの話もわるくないな~と、思いながら、ついこの本を読む前に、読み終えた、堀川アサコ氏の「幻想郵便局」との話よりも、こちらの方が、読み易かったように思える。