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投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、村木厚子さんの生い立ちの部分と郵便不正事件のことが書かれています。
郵便不正事件で村木さんは大阪地検特捜部に逮捕・勾留されました。
大阪地検特捜部に逮捕されると勝手にストーリーをでっち上げられ
執拗かつ高圧的に尋問され、最終的に「お前がやったんだ」と冤罪であろうが
とにかく被疑者にされてしまう。
読んでいて、国家機関がここまででたらめであってよいのかと驚きます。
覇権国家ではないのだから。
同時に、いままでの被告人の中には大勢の冤罪者たちがいるように感じます。
間違った判断に気が付いても軌道修正出来ない組織には次のような共通点
があり、なんとしてでも自分たちは間違っていないとするらしいです。
「権力や権限がある」「正義のため、公のために仕事をしているとのプライドがある」
「機密情報や個人情報を扱うなど情報開示が少ないため、外からのチェックが入りにくい」、
財務省、防衛省、警察などはその典型的な組織のようです。
日本型組織の病を考える
2024/02/28 01:24
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投稿者:mahiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
諦めない、よく見る聴く、考える。実践するチカラが湧いてきます。村木さんの講演が聞いてみたい。
日本の組織体質の被害
2018/10/28 01:36
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投稿者:まな - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が巻き込まれた事件については、「そういえばそんなことがあったな」という程度で、内容を知りもしなかったです。
私自身がパワハラで会社を退職したことがあり、日本型の組織のもつ危うさについて考えを巡らせていた時に本書を手に取りました。
冤罪事件が出来上がってしまう背景の検察側の組織体質と、私がパワハラ受けた会社の体質がびっくりするくらい似ていて驚きました。読み終えた時は、他人事のようにはとてもじゃないけど、思えなくなっていました。
特に「話をつまみ食いして作られる供述調書」の話や、検察側の部下は上司の思い込みに従わざるを得ない点、著者の圧倒的不利な立ち位置など。パワハラを会社に訴えた時の会社側の対応や私の状況と酷似していました。著者は、問題の組織体質の原因の一つとして、同質性の高い、偏りのある狭い仕事の人間関係が、新しい価値観を受け入れにくくし、また常識が通用しない特殊な世界を構築することになってしまうのではとも考えています。
日本の古い体質の会社も同じような状態だと、私は考えます。
1人ではなく、複数の人が集まって成り立つ組織問題なので、一人一人の日常の問題意識が現状を克服するためにやはり必要であると感じました。
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先が読めない、変化が早い時に、一人のリーダーに変革をゆだねるのはリスクが高すぎます。
組織の一人ひとりが有るべき方向性を主体的に考えることのできる組織を作ることです
失敗の科学 マシューサイド
0を1にするのはNPOの力。理論武装して1を10にするのは学者の力。ペイする範囲内で10を50にするのは企業の力。そして誰もが利用できるよう50を100にするのは行政の力
塩野七生 ローマから日本が見える
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非常に立派な方で、頭が下がります。冤罪の経緯やその後の活動、家族との関係など、見習うべき点が多いです。旦那さんも立派な方ですね。
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高級官僚ではあったがそういったことを微塵も感じさせない柔らかい語り口と、そうではあるがなすべきことを強い信念を持ち続けておられるという点に強く心を惹かれる。
事務次官まで勤められたのだから通常は「あがり」で、あとは悠々自適に一流企業の顧問やアドバイザーにでも、、、となるのが普通だとは思うが、未だにバイタリティを持ち続けて精力的に活動されているのは素直にすごいと思わせるものである。
位やポストを求めるのではなく「何をなすべきか」を明確に意識していることをひしひしと感じ、また、人間的魅力も溢れている。
働く人全てのロールモデルになり得るという点でも、生き方を模索するという点でも、この本は万人にお薦めできるのは間違いない。出会えてよかった、と強く思わせる1冊。
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読了。凄い人だなと感じた。前にこの著者の本を読んだことが、あるかなと思ったが記憶違いであった。子育て関連の対談本で読んだかもしれない。キャリア官僚で、あっても冤罪事件に巻き込まれる世の中の理不尽さを感じた。正義でなく、誠実さが最後には勝つのかなと思った。
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「社会の責任」それぞれの問題で、当然個人の責任となる部分もあるが「社会の責任」も存在する。
本書の前半部分は、郵便不正事件についてのことが詳細に記されている。
第1章「国家の暴走に巻き込まれ日」
第2章「拘置所で目にした日本社会の陰」
第3章「日本型組織で不祥事がやまない理由」
後半は村木さんがどういう生き方をしてきたのかが綴られている。
今起こっている官僚による文書改ざんや、隠蔽問題等、それらを紐解く何かしらのヒントが有るのではないかと思い、手にとった一冊だったが、読み終わってどうだったか。紐がほどけていく部分もあれば、より絡まってしまった部分もあったように感じた。
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検察の怖さと、この人の運の良さ。人の良さ。割り引いて考えないといけないだろうが、素直によくここまで来たんだろうって、まずそれを感じた。
日本型組織についての考察はそんな深いものではない。
この先も一生懸命生きていかれるんだろう。
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村木さんの自伝みたいな一冊。官僚への愛あるメッセージが多いので、残業とバッシングに疲れた官僚には、ありがたい応援歌なのでは。
郵政不正事件や、村木さんの官僚人生については、ドラマチックに描かれている。「よくぞ、そんな逆境を切り抜けられたな」という尊敬の念しか湧かないし、家族や同僚への感謝の言葉が続くのが印象的。
4章「公務員はこれからどう生きるか」は、あまり得心しないことが多かった。特に、今行政にいる人たちに「自分の仕事は企業がしていることをスケールアップすることだ」なんて思って欲しくない。行政の役割は、民のポテンシャルを最大化するための環境を整備することだったり、手放しでは民ではできない市場の失敗を補完することだったりするはず。
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日本の組織の現状を憂い、柔軟でしなやかな組織への改革を訴える
ご自身の冤罪を事例に、検察という最高権力が過ちを修正できない構造を戒め、日本組織の直面している課題とする
建て前と本音のギャップが拡大し、組織を劣化させている
同質性、勇気の欠如が組織の無謬性のフィクションとなるとき、小さな失敗は、どんどん大きな雪だるまに成長する
ダイバーシティ
透明性
未来を明るくするために必要な試みを積み重ねる
これを「静かな改革」と呼ぶ
個別の話と、社会改革の話が混在しているところがあり、
話を解らなくさせているのは残念
冤罪という希有な経験が著者の価値を作った
「失敗の科学」
航空業界 ボイスレコーダー 失敗を公開し教訓とする
医療業界 医療過誤の隠蔽体質
学習する組織風土
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日本型組織の弊害、という観点に興味を持ち読んだ本。かつてマスコミを賑わせた事件だが、改めて白を黒に変えてしまった組織的犯罪の怖さを感じた。
また、個人的には村木さんの仕事の進め方や労働政策について非常に興味を持った。今もまた厚生労働省の統計問題が世間を騒がせているが、国を支える行政官としての誇りを持って正してほしいと思う。
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読売新聞連載「時代の証言者」2018.1.24-3.5に大幅に加筆したもの。「時代の証言者」は自伝のようなもので編集者が取材構成している。ここでは最初に冤罪事件が、そして簡単に中高大時代と子育てが書いてある。NHK「あさイチ」に出ていて興味が湧き読んでみた。
国家公務員キャリアの仕事は市役所や県庁職員とはまったくちがうというのがよく分かる本。氏が国家公務員になる時の大学の恩師のアドバイスは「公務員は翻訳者。国民のニーズや願いを制度や法律に翻訳するのが役割だ」というもの。ニーズを制度に転換するのが公務員の仕事だと言う。制度の大本は国が作り地方はそれを実行するのですねえ。
巻末の解説者は猪熊律子氏(読売新聞東京本社編集委員)。取材構成と記してあった。
2018.8.10刊
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書名と内容がイマイチ一致していない難はあるものの、それはそれで興味深く読めた。抑制的な文章から柔軟な思考や自己の状況を客観視できるクレバーな才が際立つ。
今現在('19/2)、皮肉にも厚労省の統計不正が問題になっているが、報道を見る限り引き返す(誤りを認めて説明する)チャンスはいくつもあったと思われる。残念ながら今に至るまで村木氏の教訓は何も活かされていない。官僚社会では村木氏の経歴や資質は異質中の異質であり、結局東大出のエリートが寡占する閉じた世界では物事は変えられないのだろう。そうすると村木氏が指摘するように「結果としての多様化」が進むように官僚の世界にもアファーマティブアクションが必要なのかも知れない。そうすることで失うものとのバランスにはなるが。
村木氏のような異才が今後もどんどん出てきて、女性やマイノリティの人々のロールモデルとなって欲しい。娘にもぜひ読ませたい1冊。
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大阪地検特捜部により逮捕され、容疑を否認したため保釈が認められず、長期にわたり拘留された。その後、無罪判決を勝ち取る。冤罪の被害者ののち厚労省事務次官まで務めた。
信念を曲げず、自分の仕事の役割をわきまえ、国民のために働いた公務員のお手本とも言える方である。また「男女雇用機会均等法」のない時代、2人のお子さんの子育てをしながら、時に子連れ地方赴任もされながら仕事を続けられた。仕事にも子育て、家庭維持にも真面目で実直な性格の方ということがよくわかる。
この本を読むと、著者が仕事をし、また家庭を維持し、誤認逮捕という辛い状況にあっても信念を曲げずに突き進めたこと重要な要因は家族の絆ということがあげられる。
子育て時代、深夜に及ぶ残業をしながら、保育ママさんや保育所に子供を預けながら普通の親子より触れ合う時間が少ない関係であったろうが、父親、母親の働く姿、真摯に生きる姿、真正面から子供や家族に向き合う姿を見ながら、お子さん方は育っていったのだろう。家族の絆をひしひしと感じる。
退官後も「若草プロジェクト」等で社会の弱者救済に取り組む姿にも頭が下がる。
私が尊敬する女性である。