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そもそもが幽霊のルポなどもやっていた文字通りの「ゴースト・ライター」だった。魔女の小説を書いてブラム・ストーカー賞候補になったことでデビューした新進作家の作品である。デビュー二作目にして、怪談話ではなく、サイコ&バイオレンスな警察小説を描いた本書は、圧倒的な物語構築力がアメリカン・スリラー界の注目を集めたということである。
帯にはジェフリー・ディーヴァー、ジェイムズ・パタースン、ジャック・ケッチャムなどのスリラー系作家による賛辞が並ぶ。いわゆる鳴り物入りの作品ということである。
当時からの興奮覚めやらぬ読者の期待を一身に背負った続編『嗤う猿』が、この3月に登場したことで、ぼくのように一作目の本書から手に取る読者も少なくないのではないだろうか。
文字通り巻置く能わずのページターナーの本書は、のっけから読者の好奇心を掴んで離さない強力な推進力を持つ物語である。
既に7名の命を奪っている『四猿』こと<4MK>なる凶悪犯罪者がバス事故で死んだということで、五年に渡り彼を追っていた捜査チームのリーダー、サム・ポーターが訳ありの休暇中であるにも関わらず、事件の捜査チームに呼び戻される。彼の傷にしても事件の長く巨大なスケールと、送り付けられる「耳」「眼」「舌」という奇怪さが幕開け。
その題材として語られる「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿(もちろん日光東照宮のあれなのだ)、その後に死体となって発見される被害者たちはいずれも社会に悪を為した男たちの大切な娘、妻などのか弱き女性たちばかり。残酷な犯人は事故現場に日記を残しており、物語は現在の捜査と、過去の日記による犯人の少年時代の異様な物語で構成される。
いわばトマス・ハリスの『ハンニバル』と、主人公レクター博士の成長の秘密を明かした『ハンニバル・ライジング』とが、纏められたスタイルの小説と言っていい。そしてどちらの時世の物語も手に汗握る展開となって後半にスピードアップしてゆく展開なのである。
<4MK>を誕生させてしまった両親が揃って異常すぎる設定に無理は感じる。また隣人との関係にもあまりの偶然性が集まり過ぎているなど、無理は感じる。様々な無理は感じるのだ。しかし、ここまでエンターテインメント性に長けていること。ストーリーテリングの質がページを追う毎に高度化してゆくことで、散乱し、錯綜したように見える物語が、最後にはしっかりと纏まってゆく、いわば収束の見事さとカタルシスを味わえるプロットは見事としか言いようがない。
当然、続編への期待が疼く終章であるが、待たずにすぐに『嗤う猿』に取り掛かれる幸福をぼくとしては早く味わいたいと思うばかりだ。
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色んな有名作品を思い出すような小説。
〈日記〉がある時から急転直下の展開をみせて、そこから時間を忘れて読めた。
ジェフリー・ディーヴァーの『石の猿』からタイトルを思いついたのか?
日本人には非常に馴染み深い日光の三猿をこんな風に使うとは。
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猟奇的連続殺人犯を追い詰めていくミステリー。
「聞かざる、見ざる、言わざる」(日本の一般的な順番とは違い有)になぞらえ誘拐した被害者の身体の部位を切り取って家族に送った後、殺していく犯人を捜査していく。
主人公の刑事のポーターの視点。
また犯人が遺した幼少の頃の日記が挿入され、
誘拐された被害者の視点もあって、複数の視点が入れ替わって物語が進んでいく。
その割に複雑にならずスッキリしている。
犯人の両親が異常過ぎる。
また拷問の手口等の狂気さも恐ろしい。
(ネズミを使ったのとか。)
死体の描写もエグい。
総じて暗い描写が多いが、個々のキャラクターが深く魅力的。
(チョイ役のタクシードライバーまで印象的。)
どんでん返しも途中に用意され、最後も鮮やかでだった。
この様な猟奇的なストーリー展開にも関わらず、読後は何故か爽快感すらあった。
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これは傑作。勧めてくれた友に感謝。なぜ見逃していた。
いま誘拐・監禁されている少女を探す本筋と、犯人・四猿が幼少期を綴る日記が並行して描かれるが、どちらもスリリングで先が知りたくてページを繰る手が止まらない。シカゴのタフ刑事主人公も魅力があるが、連続殺人鬼のキャラが素晴らしい。自分(だけ)の倫理で人を罰する洗練の手口、高い知能…ハニバル博士にも比しうるなあ。
シリーズ3作このまま読みまーす。
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なぜ今まで読まずにいたのか?が謎なほど好みの要素が詰まった一冊。舞台はシカゴ、主人公であるポーター刑事の愛車はダッジチャージャー、同僚も魅力的でこれからの群像劇としての発展も見込める。
「刑事さんにはドーナツが良かったわね」みたいなクリシェも好みだよ。
本筋のスピード感ある謎解き、終盤の驚きの展開、途中に挟まれる犯人の日記の不気味さ、すべてバランス良くまとまっている。三部作であることがうれしいな。4.0
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#悪の猿
#JDバーカー
#富永和子
猟奇殺人鬼と、
それを追い続ける刑事との、
緊迫した駆け引きが味わえる、
ノンストップ刑事小説。
犯人の日記のパートと
現実の捜査のシーンが交互に進む構成で、
どんどんページが進みます。
圧倒的なリーダビリティ。
中だるみ無しの最高に面白い本でした
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おもしろかった、1巻目はつかみの感じでした。風呂敷広めの一巻目。娯楽サスペンス小説としてとても良き。
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読み応えのある厚さですが、あっと言う間に読了。訳も分かりやすくてサクサク読めた。もう少しミステリーに捻りがあってもよかったかな。どこかで読んだことのあるような、ないような…。次作嗤う猿にも期待3.5
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被害者を誘拐し、その家族の元へ切り取られた耳を送りつけ、次に目、最後に舌を送りつけるという全米を震撼させている連続殺人鬼「四猿」。
その四猿 = 4MKの自殺から物語は始まる。新たな被害者のものであろう新鮮な耳が入った小箱と共に。
4MKの過去を追体験させる日記と、リアルタイムで監禁されている少女を追う現在編が交互に展開される。4MKはどのようにして"造られた"のか、その手口・殺人の目的は何なのか、が日記と現代の捜査が立体的に折り重なって暴かれていく様が面白い。
なにより一番最初、連続殺人犯の自殺というショッキングな出来事から始まるプロットの巧さ。
ジャンル的にはサイコサスペンス。作中でも登場するが『セブン』を思い起こさせる。
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サイコキラー系ミステリー
全体のストーリーや恐怖シチュエーションは、以前読んだ「その少女アレックス」と似ていて新鮮味がなかったが、突然の犯人明かしで不意を突かれ、全く予想していない人物だったのが良かった。
程よい爽快感を感じられるラストも好き。
結構長くて読むのに根気がいった。
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久しぶりに本格ミステリーが、どうせならサイコな海外物が読みたくて手に取りました。
シカゴを数年にわたって震え上がらせた連続殺人鬼「四猿」。
その手口は三猿の 見ざる 聞かざる 言わざる にちなんで、誘拐した女性の耳を切り取り、眼球をえぐり、舌を切り取り、それらを順番に小箱に入れて家族に送り付け、その後に殺害した遺体を放置するという残虐なものだった。
その「四猿」が自殺!?
自殺した「四猿」と思われる男が所持していた小箱には、新たな被害者の耳が入っていた。
被害者を捜しながら「四猿」の思惑にはまっていく刑事たち。
そして……。
う~ん。
定型、とまで言わないが、良くありそうなストーリー。
足りない。
なにかがもの足りない。
首を傾げたくなるところもチラホラ。
サイコサスペンスにしては、悪い意味でキレイすぎるだろうか?
もっと狂って、狂気や憎悪をぶちまけてほしかった。
ちなみにこれは完結はしていますが、続編、続続編と、三部作になっているらしい。
続編を読むかどうか、微妙なところです。
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久々に一気読みするミステリーを見つけた。
文中にも親切に登場人物のメモが出てくるが、それがなくてもわかりやすく読めた。
いろんな伏線がちらばめられている事も十分わかったため今後が楽しみです。
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面白かった。
良くも悪くも、ザ・サイコサスペンスみたいなところはあったし、犯人も結構すぐ気づけてしまうけど、とにかく先が気になる展開で600ページをあっという間に読み終えた。
現代の事件と、四猿の過去の日記が交互になっているので、飽きがきにくくテンポ良く読めるのかなと。
ずっとハラハラ感がある。
とくに日記は面白かった。
結構グロめで拷問なので苦手な人もいるとは思う。
それといくらなんでもこんなぶっ飛んだ家庭環境ある??みたいなことは思ったし、最後の方は勢いありすぎて怖いというよりかは若干笑えてしまったけど。
ラストの贈り物は良かった。
紳士ぶったサイコパス殺人鬼がお気に入りの人間相手にやりそうなこの感じ。
これは三部作らしいので、今後四猿とサムの関係性がどうなっていくのかも気になる。
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視点を変えつつ、テンポよく物語が進むのはいい。
ただ、最初から見込み捜査を行い、犯人に手玉に取られる捜査陣はあまりにもお粗末。
視点の切り替えも、映画なら頻繁でも良いが、本だとたいして変化もない視点も描かれてかえって緊迫感が薄れてしまった。
それでも、一気に読ませる筆力はあるので、次回作に期待。
映画化には最適では?
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レビューの評価が高かったので期待し過ぎてしまったせいか、それほどでも…と思ってしまった。
猟奇的な面は確かに突き抜けているように思えるが、悪さをする人が、出てくる人皆ただただ嫌なやつで、もっと繊細な面もある、とか、多面性があるとより面白いのかもなぁと思ってしまった。
外国物はサバサバしているので、日本物のようにねっとりと悪くない感じというか。
それでもやっぱり続きがやや気になるので、続きを読むかもしれない。