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たとえば帯などに「ジェフリー・ディーヴァー推薦!」 などと書かれると、正直、ひく。
いや、ジェフリー・ディーヴァーは唯一無二だし、ジェフリー・ディーヴァーほど面白いわけもなし、ただジェフリー・ディーヴァー「っぽい」だけならアホらしいし、あれほどどんでん返しされたら疲れるし、
ということなのだが、読んでしまった。
面白い。
帯の文句などすっかり忘れて読み耽っていたのだが、なるほど推薦もするだろうというのが、読後の感想である。
ジェフリー・ディーヴァー式の、どんでんどんでんどんでんとは違う。
むしろ、息詰まる緊張の持続である。
読むのを中断した時・・・・・・たとえば駅に着いた、待ち合わせ相手が来た、電話が鳴ったなどで本から顔を上げた時、自分の呼吸や体がどれほど硬くなっていたか自覚できるだろう。
場面がかわり、視点がかわりする度に、様々な緊張を味わわせてくれる。
結果、たまたま今夜の夕食予定だった献立(肉料理)を、考えなおす気になる。
度々、調べるべき、確認するべき項目のリストが出てくるのだが、これがディーヴァーと同じ様式である。
ディーヴァーのこのリストは、後になって見てみれば、驚くほどのヒントになっているのだ。
せっかちな私などは、毎度毎度つい読み飛ばして、後になって己のウカツさを嗤うのだが、この本については、どうだろう?
例によってつい読み飛ばしてしまった上に、頭が読後の興奮ですっかり沸き立ってしまって、もう文字など読めやしない。
どなたかが確かめてくれれば幸いである。
おすすめの一作。
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まず最初に書いておきたいのですが、この作品すっごく面白いです。 少しでも興味があるなら読むのをおすすめしたい!
約600ページとボリュームがありますが視点の移動が激しいからか途中でダレたりすることもなく最後まで読めてしまいます。視点がコロコロ変わると、「えっ、主人公はどうなっちゃうの?」とか焦らされてしまうように思うかもしれませんが、むしろどの視点も続きが気になって仕方なくなってしまうので心配はいりません。どんどん読めちゃいます。
キャラクターもそれぞれ役割を持たされており、みなが物語に彩りを添えてくれるところが海外ドラマのようで楽しめました。
なかでも特に作者の気合の入りようを感じたのは4MK。存在感抜群の凶悪殺人犯に主人公も含め登場人物はみな翻弄されっぱなしなのですが、妙にフェアなところがあり、きちんと主人公にヒントを与えてくれるんですね。また主人公とともに4MKの生い立ちを辿っていくことでなんだか愛着が湧いてきたりもしたり。やってることはえげつないし、頭がおかしいことにちがいはないんですが、こういう天才型の犯人が出てくる話はやっぱりおもしろいですね。
ぜひシリーズ化されて欲しいと思いました。
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何といっても犯人の邪悪さ、狂気と不気味さ、恐怖に圧倒されてしまう。そして作中に出てくる日記の内容の異常さ。読むことすら嫌になるような描写がたくさんあるのに読むことをやめられない。抜群に面白い。犯人の造形と同様に警察側の造形もよくて魅力的。時間との戦い、先の見えない捜査、焦りと絶望感。次々展開されていく猟奇的な事件。こんな物語は読みたくないけど読んでしまうし一気読みの面白さ。
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いやあ、面白かった。抜群に面白いサイコミステリ。でも、599ページのボリュームなので、なかなか読み終えることができず、時間がかかってしまった。それでも、全てがストンと頭に入ってくるので、前のページを読み返したりせずに済んだ。翻訳ものは名前を忘れたり、内容が複雑だったりして必ずと言っていいほど読み返すハメになる私なのだが。
ポーター刑事の元に一本の電話がある。交通事故が起こり、被害者が亡くなったとの知らせだ。そこで疑問。殺人課のポーターになぜ?それは、被害者がポーターが長年追っていた連続殺人犯の四猿だったからだ。
四猿とは、「見ざる」「聞かざる」「言わざる」に「悪事をしざる」を足したもの。四猿は、まず被害者家族に被害者の耳を送り付け、次に目、その次に舌を、最後には被害者が遺体で発見される。被害者に共通しているのは、その家族が何らかの悪事を働いているということ。
本当にこの遺体は四猿なのか。監視カメラでは、四猿らしき人物がバスに飛び込む姿が映っていた。そして四猿が身に着けていたいくつかのヒントを頼りにポーターが調査に乗り出す。遺品は切り落とした耳の入った白い箱に日記帳。安物のスーツに不釣り合いな高価な靴(2センチ大きい)。そして75セントの小銭にクリーニング屋の引換券。
以後、ポーターと同僚刑事のクレア、それから今回の被害者のエモリー。そして、日記の中の少年時代の四猿。4つの視点から物語が語られていく。
ポーター目線では、犯人を追い詰めていく緊迫感が。クレア目線は、事件を追うもう一つの刑事目線。それから、エモリーの目線は、犯人に監禁され、真っ暗闇で味わう恐怖と不安を。そして、日記では、四猿の特異な少年時代の体験が。それぞれ興味深く綴られていく。
特に、日記が面白い。青い体験のような感じで始まった日記は、全く違う形を整えていく。やがては四猿が四猿たる所以が、また、今回の事件を起こす動機が見えてくる。
読んでいる間中、続きが気になってしょうがなかった。これでデビュー2作目とは恐れ入るばかり。綿密に練られた構成にあまりにグロいシーン。そしてラストがまた秀逸。サイコミステリはこうでなきゃって思えるラスト。これから読む人が羨ましい。
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グロい、気持ち悪い、この倫理観は絶対に理解できない、親!おかしいだろ!と読んだことを記憶から消してしまいたいくらいの嫌悪感を持つ一方、600頁短時間で一気読みしてしまう面白さ。意外な犯人、伏線回収、主人公がいい人で、いきなり明かされる不幸にビックリ!と、盛りだくさんで止まらない、どう評価していいのか混乱してしまいます。
真ん中くらいで、何故私はこの本を読むことになったのか、推奨した人を問い詰めたいと真剣に思ったくらいで、
星二つにしたい気持ちもあり。
見ざる、言わざる、聞かざる、しざる…
うーん、せざる でないと日本語としてどうでしょうか。
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2018/10/28読了。
5年間追っていた事件の犯人と思われる人物が死亡した、というところから始まり、犯人を追う今と犯人の日記で追う過去のエピソードという進め方など、独特な構成に引き込まれた。
内容も、グロやサスペンスがふんだんで楽しめた。
正直最初は設定になじめずあまり読み進められなかったが、入ってきてからはさくさくっといけた。
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う〜ん、いやなかなか米国ミステリー読んだ〜 という充実感。それにしても三猿、いや本来は四猿をモチーフにしたとは、観点もオモロイですね。すぐ映画にできそうだけど、ある意味ありがちな展開だから難しいかもですね。読後感は良かったです。
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2019.09.30読了
いや〜、来ましたよ久しぶりに読みごたえのあるやつ!!
なんか最近おもしろい作品に出会えないなーと嘆いていた私にやっと来た!って感じです。
早速、他の作品も検索しましたが、なんとこれが2作目の新人作家さんでした。
でも、この実力すごいです。緻密に計算されてます。
とにかく時間ある方ない方、皆様におススメ!読んでいただきたーい!
1つ気になるのは、見ざる言わざる聞かざるの理解が日本人のそれとはちょっとずれてる気がします。まあ、そこはガイジンさんですから仕方ないですね
ちょっとしたニュアンスの問題です。
作品の良し悪しにはあまり影響していないのでご安心あれ
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"The Fourth Monkey" 日光東照宮にある三猿。つい最近だとあさイチのMCと料理人(違)すごくタイムリーだと思いました(笑)さてさて、耳、眼、舌、そして遺体となかなかハードな猟奇的な連続殺人事件。最初に犯人と思しき男の死から始まり、所持品に秘められたヒント。数年に渡り犯人を追っている刑事が最後の犠牲者となりうる少々を救うためにチーム一眼で捜査中。犯人はそうでしたか!と全く気づかず(笑)んで、最後の贈り物、意外と刑事を気に入ってたのかも!?そして、言いたいのはこの事件、犯人捕まってないやん!
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ジェフリー・ディーヴァーが云々というコピーがあり読んで見ました。満身創痍な主人公も同僚たちもキャラクタが分かりやすく安心して読み進められました。このチームの続編があれば読んでみたいです。現実の捜査部分と犯人の日記部分を交互に読ませる形式も通勤中に細切れに読むにはありがたかった。ただ...
少女が監禁されているという待ったなしの緊迫感が伝わらない。2日間の話が2週間ぐらいに感じた。犯人の日記もまず普通誰かが全部読むだろう。捜査と同時進行というのは違和感あり。犯人の主人公を導く緻密な仕掛けはお見事と思ったがちょっとやりすぎ(できすぎ)と思っちゃいました。
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翻訳が読みやすく、面白い。
現代の話と日記の話が交互に出てくるタイミングも、早く次を読みたい感を煽る。
本著は殺人者をダークヒーロー的に描いてるように読めることもあり、読後感はわりと爽やかで悪くない。
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ジェフリー・ディーヴァーらからの賛辞とあったけど、間違いなくそれにふさわしい面白さだった。一気読みに近い感じで読んだ。
日光東照宮の三猿をモチーフにはしているけど、意味は違ってる。そこは日本人ならわかってくれるはず?これが正しいと思われたら嫌だな。
主人公の奥さんのことは最初から違和感はあった。
それにしてもひどい家庭環境だと思った。母親が恐ろしすぎる。バリー・ライガの作品を思い出したけど、それに輪をかけてすごい。
犯人が捕まってないのにあまりイヤーな感じてはないのが不思議。最後なんかむしろやるじゃんなどと思ってしまった。
続きあるんですかね?
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ちょっと間があきましたが、再開してからは一気読みでした。いやはや、大変にスリリングな展開です。すごい家庭に育ったものですねえ。最終的に極悪人成敗が目的だったようですが、それまでの犠牲者にもきっと意味があるのでしょう。ラストも非常に象徴的。そういうことを解き明かしてくれそうな続編、否応無く期待が高まります。そりゃもちろん母親を探したくなるでしょう。見届けたいですねえ。
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午前6時14分
サム・ポーターの携帯がしつこく鳴り続ける。彼の妻は「牛乳を買いに行ってくる」とベッドサイドに書き置きを残し、外出をしたようだ。こんな早朝に。
シカゴ市警の刑事である彼は、交差点で起きた事故現場へと向かう。バスの前に歩行者が突っ込んできたらしい。自殺?
問題は歩行者の手に握られていた黒い紐をかけた白い箱。中を開けると切り取られた耳が入っている。
まずは耳、そして眼球、最後に舌。
日本人にはお馴染みの『見ざる言わざる聞かざる』になぞられて、これが被害者の家族宛に月々と届けられ、最後には無残な死体となって発見される連続殺人事件。こいつはその犯人なのか。被害者の耳を家族に送ろうとした際に、バスにはねられたのだろうか。
分厚い本なのに中だるみしないのは、この事件の犯人の子ども時代の日記と現在の事件の状況が交互にあるからだ。
主役のポーターはもちろん、彼の仲間たちもとても魅力的な人たちで、そのやりとりのテンポのよさもいい。
それでもやはり、犯人の異常さと、人質になった女の子の恐怖と苦痛、残酷な手口の数々はとてもじゃないけど、わたしのキャパを超えていると思った。
思わず死を乞うほどの苦痛を、わたしは味わいたくないし、誰かに与えようとも思わないし、この世のどんな人にも(いや、例外はいるかもしれないが)経験して欲しくはない。だから、ここまで描いているのはダメかもしれない。
気分が悪くなる場面が何度もあった。
でも、ストーリーは抜群に面白い。それは間違いないと思う。
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若い女性ばかり殺す四猿。悪いことをしている者の娘などの耳を本人に送りつけて後に殺す。何年も未解決になっていたら、バスに自ら突っ込んで死んだ者の持ち物から切り取った耳が出てきた。送り先は大富豪。四猿が死んでしまったのか。富豪の非嫡子の娘が行方不明になっている。彼女はどこに?
物凄く面白かった。大好物。
事件と並行して描かれるのは死んだ容疑者四猿が遺した日記。子供の頃に異常な体験をしたことがじっくりと描写されてたて、怖くて面白い。
二転三転するストーリーもいいし、続編「嗤う猿」へと繋がるラストもいい。サイコスリラー好きなら必読。文章のリズムなのか翻訳の巧さなのか、分厚いのにスラスラ読める。
ちなみに、見ざる、言わざる、聞かざる、に続いて「せざる」が4番目の猿=四猿という意味。