紙の本
タイトルの期待を裏切らない面白さ
2019/01/23 07:21
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投稿者:みすず - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞受賞の際に、「コンビニ人間ってなんだろう」と興味を持ちました。タイトルを見て期待しても、内容がイマイチというケースもありますが、この小説は期待以上にシュールな面白さの感じられる作品で、一気に読みました。コンビニが街に溢れる今の時代に対する問いかけを含む深みのある名作だと思います。
電子書籍
客観と異物。
2019/01/03 23:37
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投稿者:またたび - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
なぜそうなってしまったのかは分からないが主人公の共感・協調という部分が抜け落ちてしまっているので、自分自身の思考に対してもある種の共感・協調が伴わないのだろう。
それ故にマニュアルという客観で自分を定めること・固定の枠に自分をはめ込むことにたいして誰よりも敏感であるように思えた。他と違う異物としての自分をそう見えないようにして生活しやすくしようとするのは、なにを隠そう自己の防衛である。それにこだわっているということは、人間という枠から外れてしまうことを恐れているのだろう。
結局のところマジョリティとまではいかなくても一般的な人間として生活を送りたいと考える人間が、水槽の中で泳ぐ金魚みたいに愚かに右往左往する様子が描かれているように感じた。
異物と異物の偽物とがぶつかり合い、それぞれがそれぞれの瑕疵をあげつらう様子は滑稽でいながら風刺的にも思えた。
紙の本
普通とは何かを考えさせられる
2018/11/23 22:20
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投稿者:たぬきち - この投稿者のレビュー一覧を見る
「普通」とはなにか。
社会人として、女として、コンビニ店員として、姉として、友達として、動物として
それぞれの視点での普通がある
さらに自分の考える普通と、他人の考える普通も当然のようにある。
現代人の闇をえぐるような作品で考えさせられる
紙の本
自分のこと???
2018/10/30 17:25
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投稿者:deka - この投稿者のレビュー一覧を見る
コンビニでは働いたことはないものの、自分がこの主人公と共通点があると思うとちょっとショックを受けた。
でもこの主人公はコンビ二で欠かせない存在で、周囲がなんと評価しようがしっかり自分らしく進んでいければいいのだから。
その点は自分とは違っていて、これから自分らしく進むようにしなきゃいけないと教えられた
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何と言うか…とにかく一気読みしてしまった。衝動や激情とは程遠い主人公の思考回路が新鮮で、視点が目から鱗というか…。でも家族だったら心配するだろうな。私はムラに浸かりきった人間だから、ちょっとチクリと刺さるお話だった
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芥川賞受賞作。そういえばそうだった。なんか妙に納得。
コンビニ人間。上から下まで朝から夢の中までコンビニでできている主人公。でもこれが本人にとって幸せならいいのかなー。少し違和感を感じたけども。でもだからと言って白羽の言動にも納得できないけども。うーん。
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コンビニ人間、すごいタイトルだ。
しかし、内容がちゃんとタイトルにかえってくる。
軸が何個かある気がする。福岡さんの動的平衡のようなもの(部分的に変わりながらも全体的には変わらない「コンビニ」という世界、それは主人公にとっての全体である)、「普通」なんてわからないが、ある種「均一」を強制されるようなコンビニで働くことにより「人間」となる、関わる人に影響を受け、またコンビニで働くことで役割を与えられることにより「人間」を保つ主人公。
いくつかの軸すべてが一つに向かっているのか、いや、もともとは、この作品のテーマは一つなのだろう、見事である。
合間合間に主人公が疑問に思うことが、とてつもなく哲学的な問いになっている。
まさに、「普通・正常・常識とは何か」を作品全体を通して問うている。
まっとうな人間なんていないはずなのに、いわゆる「普通」・正常でないと無理やりにでも直さなくちゃならなくなる世界に私たちもいる(そんなのおかしいよね)。
でも、主人公は必死に「人間」になろうとする、それがコンビニ人間だ。
白湯を飲むあたりに、その「何者でもなさ」を感じる。
「ねえ、指示をくれればわたしはどうだっていいんだよ。ちゃんと的確に教えてよ」
「コンビニの『声』が聞こえるんです」
「いえ、誰に許されなくても、私はコンビニ店員なんです。人間の私には、ひょっとしたら白羽さんがいたほうが都合がよくて、家族や友人も安心して、納得するかもしれない。でもコンビニ店員という動物である私にとっては、あなたはまったく必要ないんです」
一つ前に読んだ、『報われない人間は永遠に報われない』とは正反対と言っていいのかわからないが、『コンビニ人間』には整頓された、その構造美が、『報われない〜』には勢いと流れ、心地いい倦怠感があった。
2018.8.8
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現代ホラーというのか、自分から遠くもない話で怖さを感じつつあっという間に読んでしまった感じ。
人ってなんだろう、、、うまく言葉にできません。
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「普通と違う」という事で悩む話は沢山あるだろう。
だがこの物語の主人公・古倉恵子は普通と違う事に悩んでいない。
ただ、悲しむ家族の為に「普通」を模倣することにする。
マニュアルと徹底した管理体制がなされているコンビニ店員は、彼女にとって最適の場所だったのだろう。
「普通に見える」事を目指す彼女の分析力と突拍子もない行動には、思わず笑ってしまった。
そもそも『普通』ってなんだろう。
多数決で多い方が普通ってことなんだろう。
『普通と違う』って見られるのが嫌で、恵子のように普通を演じている人も、この世には結構いるのかもしれない。
普通じゃないのは悪いことなのだろうか。
どこまでが個性的と言われ、どこからが変人と言われるのだろう。
この本を読むと、いろんなことを考える。
で、ひとつの答えに行きついた。
本人が幸せなら、いいんじゃない?
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芥川賞受賞作が文庫化。
作中のテンションにつられるように一気読みだった。あまりこういうハイテンションな作風のイメージがなかったので驚きもあった。過去作も読んでみよう。
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普通ってなんだろう。
企業で働く。結婚している。子供がいる。生活している。養ってもらっている。
人それぞれに価値観があって、それが人それぞれの普通。
そこに「評価」という概念が、評価を必要としていなところにも生じてくるので、みんなと同じような行動を取らざるを得ない。
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何かひとつ欠けたような人間味の薄い主人公だけど、彼女の視点から見える風景・受ける感覚が、滑らかに生々しく浮かぶ描写力おかげおかげで、自然と彼女の視点になる。物語にすっと入りこめる。
ただ、味覚や嗅覚といった嗜好に繋がる感覚は不自然な程に描かかれず、そこに違和感と、いかに彼女が特異かという点にふと気づかされる。
終盤でも彼女なりの答えをみつけるシーンは鮮烈な光がある。その答えは常人にとっては酷く異質なものなのに、不思議と収まり良く感じるのも、彼女に溶け込むほどの筆力だからではないだろうか。
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「普通の人」とはについて、「普通ではない人」の目線から描かれる作品。
所謂、精神障害者と位置づけられる人の多くがここに含まれるのだろうが、その「普通ではない人」から見た「普通」の奇妙さがフラットな文体で物語を進めていく。
「○○人間」を演じているのは自分たちの方かもしれない。
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個性とかアイデンティティーとか言ってるけど、結局普通という枠にはまってないと生きづらいのか。確かに人間は得体の知れないものを排除したがる。
普段ミステリーとかファンタジーとか好んで読んでいるけれど、それとも全く異なる感性の作品。とても興味深い。他の作品も読みたくなった。
あくまで淡々としている主人公に、ある種の狂気も感じたけれど、ホラーじゃなくてよかった。
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芥川賞のわりに(?)読みやすくスラスラと面白く読めました。
TVや小説の中の人としては、「そんな人も居るよね」と感じますが、リアルに周りにいたらちょっと…
主人公は、幼少期に「〇〇しては何故ダメなのか」をもう少し教えてあげられればとも思います。
コンビニの本部の教育係とか出来そうですがね。
白羽さんは、生理的に無理だわ。