投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
STAP細胞事件を追った毎日新聞の女性科学記者の取材ドキュメント。本書を読んで、STAP細胞事件が解明されたとは思わないが、少なくとも、他社を圧倒する取材力で、当時の関係者の心情、STAP細胞に対する見解を引き出し、それらがどう変わっていったのか(または変わらなかったのか)がよく分かり取材ドキュメントとしてとても興味深く、面白かった。個人的には、小保方さんをはじめ主要関係者の人となりがわかるようなエピソードなり、人物像を浮かび上がらせるような丁寧な記述が含まれていると、より読みごたえが増すのではないかとも感じた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
科学には疎いこともあって時間をかけて少しずつ読みました。細かい内容はわからないところもありますが、着実は取材を積み上げて事実を解明していこうとする過程はよくわかりました。その意味では、非常にわかりやすかったです。
STAP細胞が発表され、騒動になった初期、僕自身、小保方氏を引きずり下ろそうとする何らかの圧力が働いているのではないか、と考えていた時期がありました。
政治面や経済面ではそう簡単に陰謀論に巻き込まれない自信があるのですが、自然科学の面では陰謀論とは言わないまでも、自分が信じたい事象だけをつなぎ合わせて考えてしまうのだと痛切に感じた事件でもありました。結局、一定の知識がないと、「これぞ隠された事実」「教科書では教えない真実」などというキャッチーな言葉に引っかかってしまうのだと思います。そう感じていたことを読みながら思いだしていました。
最近、Twitterで新聞記者も博士課程を出た方がいいのでは、という論争もどきがありました。現場の記者からそんなものはいらない、的な意見が多くてびっくりしたのですが、記者の専門性については程度問題だと思います。著者の須田さんが、理系の大学院(修士)まで修了していることが本書のわかりやすさ、追求の的確さにつながっていると思います。別に須田さんは物理学専攻だそうですので、本事件の分野とは直接関係はありません。しかしおそらくは、科学者が話すことを理解でき、あるいは自分が理解できていないことが何かを理解できるのだと思います。だから、的確な取材と検証ができ、自然科学にド素人な僕でも理解できる内容に仕上がっているのだと思いました。
最後の方に、小保方氏の責任、理研のガバナンスの問題点とともに、もっと大きな問題点に言及されていました。それ点は、行政の観点、経営の観点としても僕自身が問題だと考えていることと一致します。どうやらその点は、共著で出された『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』に書かれているようなので、次に読んでみようと思います。
https://amzn.to/3KIBtdG
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
STAP細胞は無い派の本。
あの日、つまりSTAP細胞発見の記者会見当日に筆者が記者としてその場に居合わせたところから始まるが、少しの無駄もなくSTAP細胞への疑惑を丁寧にまとめてある。
小保方氏と擁護派の本を2冊続けて読んだあとにこの本を読んだが、STAP細胞はないと確信させられるほどに記者としての手腕を見せつけられた。
小保方氏いわく、この筆者の取材メールは殺意を感じるほどのものだったそうだが、そう言わしめたのも納得の内容。更にはこれを家事と育児の合間に書き上げたというのだから驚きである。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
力作。
膨大な取材データと専門的な話を、
一般の人にわかり易く書こうとしているので
ものすごく読み応えがある。
当時の状況を、時系列ごとに問題点をあげて構成されているので、
なんとなく知っていたこの事件が、ああこんな問題があったのかと
改めてわかった。
これぞノンフィクションな一冊。
でも、最後がチョットだれるかな。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
オーディブルのポッドキャストで柳瀬博一氏のゲストで須田桃子さんを知って読みたくなって手を出した。
「STAP細胞はあります」以降のことを知らなかったし、なんなら事件のこともよくわかっていなかった。
難しいけど、専門外でも読めるように説明が多いので読めました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
情緒的な科学者vs論理的な新聞記者という、いつもと逆の構図が面白かった。
未熟だけど一生懸命な若者に好感を持った権威あるベテラン達。結果としてネイチャーにヤバい論文が掲載されてしまう。「くさった丸太をたまたま渡り切れてしまったようなもの」と本文中にあるがその通りだと思う。しかし応援したくなるというのもひとつの才能で、今だに小保方氏を擁護する一定の世論が存在している。
小保方氏も科学のような検証可能なフィールドではなく社会学や環境もしくは商社・金融のような分野で勝負していれば大出世したのではないか。