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祈りの反復(同じ言葉を同じリズムで唱える)ことと、性行為の反復はイコールではないか。それは自我なき反復、快楽の本質であり至上ではないか。
果敢な真理探究の姿勢と、思わず唸ってしまうような力強い文章。
清濁を“ぶちこんだ”ような、「混沌」とした物語を読み終えた後、しばし放心状態でした。
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王国記Iらしい。
II以降は多分読まない。
暴力で周囲の男手なづけるとか
美貌の女とSexしまくりとか
のくせ上司には絶対服従とか
で、服従した上には時を見て弱みを握るとか
田舎の中学生の思い描いた、「成り上がり」ストーリー。
じゃないかなぁ。
私ごときには、そうとしか読めず、芥川賞の価値がようわからん。
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暴力や性の描写が多い。
だけど不思議と綺麗です。
人の持つ、負の部分を包括してしまうからこそ見えてくる、人の本質が描かれています。
哲学的な小説です。
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告解のシーン
舞踏会の夜のシーンが印象的だった。
朧のカリスマなキャラクターが良い
睾丸や豚の死骸の描写が生々しく匂いそうである。
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宗教小説。
主軸のテーマが興味ないので評価が低い。
過激な性描写と暴力描写が先に目に付いて読み進めてしまった。
表題ではない話だが告解で神父とのやりとりは秀逸。宗教の矛盾をストレートに描いているところに好感。
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花村萬月の作品。ひさしぶりだわ~。
あれは10年くらい前だっけ?
『ぢん ぢん ぢん』読んだのは。
すっごい分厚い本だったけど、読み応えのあった本だったな~。
これは短編小説みたいな感じのする本でした。
うーん、かなり刺激のある斬新なストーリーでした。
読んでて気持ち悪くなった箇所が多々。。。あった。
うーん、読み終わった後、かなり考え込んじゃうよね~。
なんだか修道院なのに、外の話をしてるような
でも、それが神に許されちゃう。。。そんな矛盾を朧が証明してくれてるんだけど
こういうのってあり~???
でも、実際修道院で育った作者曰く、「あり」だそうですよ~。
んん、なんて言っていいか。。。。
ただね、私としてはここまで書かれてかなりグロテスクな内容なんだけど
芥川賞受賞出来るんだ~、って思った。。。。
私小説の王道ですね~。
まぁ、後記に載ってる対談「神を信じるか?」っていうのはね、
私としては、信じる者だけ信じればいいし、
信じたいときだけ信じればいいんじゃない?って思うのよね。
その人の思想の自由だから
とやかく言って答えを見つけるって方が間違ってるのよ。
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良い意味でクレイジー。宗教的な題材ゆえ、うまく説明できないが、聖性と暴力という、対極に位置する要素を結節している点が巧みである。本作の舞台「王国」は宗教施設=聖域なのであるが、そこに漂うのは聖性ではなく暴力性である。また、主人公・瓏はタブーを犯し、神父にも神を愚弄するような質問をぶつけている。あきらかに「反宗教的」な人物ではあるが、しかし不思議なことに、どこか宗教的・哲学的な匂いもしている。暴力で宗教を描き、宗教で暴力を描いているのである。このようなアンビヴァレンツにうんと唸らされてしまった。また、巻末の対談も非常に興味深い。本文は人を選ぶ内容だと思うので、受けつけない場合はこちらだけでも読むことをおすすめする。なお、収録作では表題作がもっとも面白かった。
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周囲の雑踏を排して、ただただ人間一人を眺めようとするが、人間は周囲の影響を受けて成長していく。周囲の環境は選びようがなく、その中で生きていくために人間は適応していく。有無を言わさず。
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読書会の課題図書でなかったら多分僕はこの作家を読むことはなかっただろう。
残酷性があるので抵抗があったが、読み進めていくうちに、主人公のことが好きになっていった。
性に関しては愛らしくすら思える。
残虐性と純愛さは実は近い場所にいるのかもしれない。
神、宗教、支配する者とされる者、偏愛と残虐。
抑制され、コントロールされた暴力。
言葉の奴隷、つまり神の奴隷。
花村萬月という人は、キリスト教を特に勉強もしていないようだし、聖書もドストエフスキーもトルストイも読んでいないらしい。つまり「自分の経験」+「自分の地力」みたいなものだけで作品を作っている。それは逆にすごいとも思えるし、そうでないとも思える。
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1998年芥川賞受賞作、「ゲルマニウムの夜」とその主人公を中心に展開される王国記が収められたもの。
修道院が舞台になっていて、匂い立つような退廃、腐臭と美が描かれていて、しょうじきいってラノベ的なものかとおもってしまった。芥川賞受賞作ときいて想像するものとはまったくちがっていて戸惑ってしまったので、あっわたしってやっぱり保守的な人間なんだ、とかおもってがっかりした。というのはまあどうでもよくて、ここで描かれているのは絶対的なものへの希求。「世間」にはもちろん、正義とも悪ともつかないさまざまなことがあり、それはわかっているのだけれども、でもどこかに絶対的なものがあってもいいんじゃないか、それはここに、宗教にあるべきなんじゃないのか。聖職者による児童虐待、性欲にまみれる人間たち、ある種都合の良いともとれる告解システム、に対する主人公の怒りと軽蔑が充満していて、綺麗じゃないならぜんぶ汚くあれと言わんばかりのそのあり方。花村萬月は王国記で宗教に取り組みたい、神はいないということを描きたい、と言っていた。ただ、花村萬月にとっては最も付託するべき要素であったかもしれないけれど、執拗な暴力描写や不潔さも、同性愛も、こういうのを言うならこうだよね、みたいな固定観念というか、定型っぽすぎて入り込めないわたしがいて、それが残念です。
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暴力とかセックスとか。
その様なテーマの本にあまり興味もないけど。
表現がエグいなぁと思ったが、読んでいて、特に快も不快もなかった。
あと、宗教みたいなものとか。
『宗教みたいなもの』
というのは、特に私自身がその信者じゃなくても、なんとなく理解できる内容であったこと。
例えば、海外の小説などでは、宗教的価値観の違いというか、その考え方を理解できない時がある。そういう意味では、本当に、厳密な意味での宗教をテーマにした、とも言い難いのか、と。
一番の読みどころは、『王国の犬』の、朧と、モスカ神父の問答。
『舞踏会の夜』の、朧と教子の、神についての会話も面白かった。
漢字が若干難しかった。
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花村萬月で芥川賞ときたら、鬱々としたバイオレンスというイメージだけど、そのとおり。本作は「ハードボイルド純文学」という感じ。
のっけから、暴力とリビドー、その下地が、それらを相容れないような宗教的に外界から切り離された世界。宗教の純潔さと現実の醜さ、性衝動と死体と汚物にまみれた、もう芥川賞選考員が大好きなテーマでしょ?
文章の方は知識や薀蓄、絶妙な固有名詞を独特のリズム感で綴っていく。しかし乱暴なわけではなく、言葉選びもかなり丁寧にされていると感じた。決して奇をてらった文章ではない。
圧倒的な言葉の前に、読むしか無いという状況になるのは、昨今の芥川賞受賞作よりも優れているのではないかと思う。口に石を噛ませてから殴る蹴る、溶けていく豚の死体、痰を入れたレーションをすすらせるなど、最初から最後まで、もう目を背けたくなるような文章ばかりだが、それを踏まえても、続きを読ませてしまう文章力は素晴らしい。
背徳版の「車輪の下」であろう。
なお、文庫版にあたって、フランシス・ベーコンの表紙を変えてしまったのはなぜだろう?ベーコンの絵のイメージと合致した内容と言えたのに。
とはいえ、続けてこのシリーズを読む体力はございません。あと、まったく子供向けじゃないのであしからず。
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私にはよくわからない芥川賞作品が多い中、これは面白かった!エロくてグロい描写が多いですが、哲学的なことも投げかけられます。宗教とはなんなのか?そう言えば、中世?には免罪符なるものがあったな、と思い出しながら読みました。
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冷酷で暴力的で傲慢な男なのに、どうしたって主人公の朧に惹きつけられるし、読み進めるうちに親しみさえ覚えてしまう。まるでリヤカーを後押しする幼い収容生たちのように。最高のピカレスク小説。
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ピカレスクロマンとジャンル分けはできるのかもしれないけれど、ジャンル分けって不毛だなと思うだけの中身があるような気がする。読まれるべき毒のある小説だと思う。