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厚い分だけ詳しくていねいな線型代数の入門書
2019/07/20 05:49
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投稿者:類太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
数直線と平面ベクトルおよび空間ベクトルを, 高校数学の範囲内で, より厳密かつ正確に定義している. 数直線と座標平面および高校数学Bのベクトルの復習から始まる. その内容は大学数学の観点から広く深く見直したものであり, 高校数学Bが既習でも読んでみることをおすすめする. 本書では, 平面ベクトル a, b に対して「a・b = |a| |b| cosθ」が成り立つことを, 余弦定理を使わずにピタゴラスの定理とベクトルの正射影の概念と結びつけて, 簡潔かつ理論的に証明している. ここも読んでいて感動した.
全体的に説明が非常に詳しく, 厳密ではあるが図説と例も多く, ていねいなので理解しやすい. 高校数学で行列を学んでいなくても, 行列と行列による複素数の構成は理解できる. 常に解析学とのつながりを意識していて, 関数空間, 数列空間, 微分方程式, 正規変換のスペクトル分解, これらが例と本論にある. ここまで書かれてあるのは, 他には齊藤「線型代数入門」しかないであろう. 特に正規変換のスペクトル分解が扱われている線型代数の入門書は私が知る限りこの2冊しかない. そして有名な公式Σ_[k=1,… ,n]k^2=(n(n+1)(2n+1))/6の線型空間の理論に従った証明にも感動した.
しかも本書を読むための予備知識は少なめに考えても高校数学1, A, 2であり, 理論的な数学の入門書としてもおすすめする.
著者は省略したが線型代数として重要な双対空間と商空間(およびテンソル積)については, 齋藤「線型代数入門」(と佐武「線型代数学」)が参考になる.
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