紙の本
2年程ほったらかしにしたのに、読み始めたら一気読み。
2020/08/18 02:12
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノンシリーズ作品なのでつい後回しにしてしまっていたが・・・読み始めたら一気に読み進んでしまった。
慣れている作家、ということもあるかもしれない。
女性がサヴァイヴする物語にはつい肩入れしてしまうからかもしれない。
ジョージア州のある町で。
一度はニューヨークへ出たものの、挫折して帰ってきたアンディは31歳、地元警察の通信係の職を得て母の家に居候中。
母のローラは言語療法士として確かなキャリアがあり、“善き母親”であるためアンディはコンプレックスを抱き、自立できていない。
ある日、仕事終わりにショッピングモールのカフェでローラとお茶をしていたアンディは、銃乱射事件に遭遇する。
撃たれて死ぬことを覚悟したアンディの前で、ローラはごく冷静な様子で銃撃犯の喉を掻き切る。平凡な人生を生きてきたはずの母親、一体過去に何があったのか。 自分が知る母親は偽物なのか。
アンディは不本意ながら母の過去を辿る旅に出ることに・・・という話。
アンディのぼやっと加減がものすごい。
頭の中がパニックになる気持ちはわかるが、何を言われても言葉が全然出てこない時間が長すぎる! しっかりしろ!、とつい言いたくなるのは、そこに「かつての自分に似たもの」を見るからだ。いや、今がちゃんとしているわけではないけど、それでも若い頃より人としてはましなはず。
彼女は31歳だが、社会的年齢はそれ以下なので自立どころか自己肯定感が低すぎて何をするかも自分で決められなくなってる。そんなアンディが彼女にとっての極限状態に追い込まれ、否応なく自分一人で先に進まねばならない(とはいえ、手を差し伸べてくれる人はいて、そこにすぐ頼ってしまいがちなのも彼女の性格)。
それと並行して、母ローラの若き日々のことが語られる。
80年代、女性の自立が歓迎されていない時代の、彼女の苦しみと恐怖。
たいていのことは時間が解決するという、実際なんとかなることが多いけど、何十年と時間を経ても解決できない心の傷はある。誰かの一言や仕草を目にすることで、一気に時間が引き戻され、とらわれる。
母ローラはサヴァイヴァーだけれども、一度は切り抜けているのに、まだまだおびえている。
アンディが主役のように見えて、実際はローラの物語。
娘を命がけで守ろうとする強さもあるのに、ローラはかつて傾倒した思想(?)の本質から離れられない。この根深さが、ラストが納得いかない原因。
なんで彼女がそう考えるのか、私には理解できなかった。
でもそれがトラウマなり、PTSDなんだろうなぁと推測はできるけど・・・そこまでになってしまうほど抑圧を、被害を受けた人へ手を差し伸べるにはどうしたらいいのか。
簡単な答えは出ないけど、考えてしまう。
紙の本
彼女のかけら(上)
2019/11/12 22:42
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投稿者:J.J. - この投稿者のレビュー一覧を見る
ショッピングモールで起きた銃乱射事件、偶然居合わせたアンディは、警官と間違われ銃を突きつけられる。その前に立ちはだかり犯人を排除してしまう母親、平凡に生きてきた母の過去に何があったのか。
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うーん。どうにも主人公のアンディが好きになれないなぁ。なんでこんなぼんくらなの?笑
基本的にうだうだしてて人の話を聞けなくて指示されたこともできない無能な女が嫌いだからちょっと読むのつらい。
でも後半に持ち直してくれることを願って下巻読みます。
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彼女の各作品はどうしてこんなに面白いんだろう?
もちろん翻訳者の筆力もあるだろうけどそもそものプロットが面白くなければつまらない作品になるのは間違いないのだし
さて物語は2018年8月、31歳にもなったしょうもない娘が平凡な主婦の母親とショッピングモールでのランチの席で独立を促されるところから始まる 突然少年の銃乱射事件に巻き込まれるが、平凡な主婦だった母が顔色も変えずに素手で犯人のナイフを受け止め喉を掻き切る。。。
それだけでもう気持ちを持って行かれるのだが、話しは2018年と1986年を行ったり来たりしつつ少しずつ全容を見せ始める
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『日常の土台にある秘密や嘘に惹きつけられてきました。』
作家は意地悪なほうがよいと思っている。
人が見てほしくないところに目をとめ、
人が知りたくないところまで書く。
でなくして、なにが作家か。
その点カリン・スローターは、これは大変に意地悪な方だぞと、初めてその作品を読んだ時から嗅ぎつけていた。
おとなしやかな顔をして、人から事から周りのすべてを見透かして、
それでいてそれをしゃべりまくるわけではなく、一人静かにしたためるという、
相当な意地悪さんだと嗅ぎつけた。
それが、この冒頭の作者の言葉である。
『日常の土台にある秘密や嘘に惹きつけられてきました。』
巻頭にさらりと彼女は述べている。
でしょうねえと、私は納得した次第である。
「あの人はこう見えているけれど、本当はどうなんだろう?」
「あの人はこう言っているけれど、本当はどうなんだろう?」
こういう人はニュースの見方も違う。
「マスコミはこう説いているけれど、実際はどうなんだろう?」
人の肌色、DV、銃社会、フェミニズム、世代の特徴、カルト、テロ、etc.etc.etc......
アメリカのニュースを見れば、よく聞かれるあれこれのテーマが、さりげなくあちこちにちりばめられている。
それらについて、人は簡単に断罪したがるけれども、
意地悪な人、カリン・スローターは、浅薄な○×や善悪では語らない。
簡単な結論も出してこない。
こういう見方もあるでしょう?
こういう場合はどう?
善いとされているこれについてはいかが?
本当によいことかしら?
むしろ、返答に詰まるような問いかけをしてくる。
だがしかし、彼女は底意地が悪いわけではないのだ。
意地悪さで摑んだ色々のもの、皆に問いたい様々なことを、露悪的に陰湿に書くことはしない。
さらりとした皮肉とユーモアでくるんで、素晴らしいエンタテイメントにする。
実はかなり思いやり深い人といえる。
くわえて、カリン・スローターは、すべての女性に対して敬意をもっている。
どの作品に出てくる女性も皆、程度の差はあれ、タフなのだ。
この作品の主人公の一人、アンディについてはどうだろう。
たしかに、彼女の性格には賛否ある。
ヒーロー的ではない、覇気がない、
普通でさえない、落ちこぼれで、まともに口をきけもしない。
理想家、ロマン派には許せないだろうし、
身につまされて堪らない人もいるだろう。
けれども、普通の人間ならば、こんなものではないか?
むしろよくやっているではないか。
とっさの攻撃は優れたものだし、おぼつかないながらも、彼女はタフだと思う。
けれども、そんな私でさえ、自分の状態や時期によっては、イライラもどかしくて、そうは読んでいられなかっただろう。
アンディのとらえ方は、まさに読者それぞれで・・・・・・
それによって、読者もまた、カリン・スローターに見透かされ���いるのかもしれない。
作中で印象的だった曲はこちら。
a-ha ''Take On Me''
https://www.youtube.com/watch?v=djV11Xbc914
The Doors ''Love Me Twice''
https://www.youtube.com/watch?v=QdCZR9M5EKY
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序盤でとても印象的なシーンあり、ローラの真の姿は○○○ではないか、とこれまでの映画体験をもとに予測したけど、どうやらそんな単純なものではなさそう。下巻に期待。
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つまらなかった…
はじめはぐいぐい来たのだけれど母と娘の会話や内面の描写がとてもつらくて読み進められず、登場人物全員好きになれず。時間がかかった。現在と過去を行き来するんだけれど数人の別人同士の名前がかぶってるのでうまく頭の中で整理できず…。事件という事件もなくただ母親の正体は?ってことだけ気になる感じ。
とりあえず下巻読むも下巻のはじめで色々どうでもよくなってきて「もう読むのやめようかな」と悩んでしまったほど、、
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現在と過去を行き来する娘と母の物語。
感想は下巻にまとめようかな。
説明
内容紹介
銃乱射事件の犯人を
躊躇なく殺したのは、
ごく平凡なわたしの母親だった。
MWA賞受賞作家の最新作!
スローター史上最高傑作。サイコ・スリラーの新たな基準を築いた。
――ジェフリー・ディーヴァー
人物造形の巧みさは天からの賜り物。彼女を傑出した作家たらしめている。
――『ワシントンポスト』紙
スローターの世界にひとたび足を踏み入れると、もう後戻りできない。
――リサ・ガードナー
ショッピングモールで少年による銃乱射事件が発生。
偶然居合わせた警察署通信係のアンディは、警官だと勘違いされ、銃口を突きつけられる。
震える彼女の前に立ちはだかったのは母のローラ。
ごく平凡に生きてきたはずの母親は、犯人のナイフを素手で受け止め、喉を掻き切った――顔色ひとつ変えずに。
呆然とするアンディをよそに、事件の動画は全米に拡散。
母は瞬く間に時の人となるが……。
内容(「BOOK」データベースより)
ショッピングモールで少年による銃乱射事件が発生。偶然居合わせた警察署通信係のアンディは、警官だと勘違いされ、銃口を突きつけられる。震える彼女の前に立ちはだかったのは母のローラ。ごく平凡に生きてきたはずの母親は、犯人のナイフを素手で受け止め、喉を掻き切った―顔色ひとつ変えずに。呆然とするアンディをよそに、事件の動画は全米に拡散。母は瞬く間に時の人となるが…。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
スローター,カリン
エドガー賞にノミネートされた『警官の街』をはじめ、“ウィル・トレント”シリーズや“グラント郡”シリーズで知られるベストセラー作家。これまで18作以上の作品を発表し、120カ国以上で刊行され、累計発行部数は全世界3500万部を超える
鈴木/美朋
大分県出身。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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シリーズ作品だけでもチェイスが大変なのに、独立作品をいつ読むのか? 今でしょ! 入院は積ん読本を読むには絶好の機会なのだ。
しかし病気で入院してるのに、何故、暗い不健康な本を読まねばならないのだろう。本作は、ある意味、覚悟し、さらに予期していた通り、そんな不健康さでいっぱいの悲劇大作なのだった。
いきなりのテロシーンで物語は始まる。ナイフ片手の無差別殺人鬼にあわや殺されそうになるヒロインを母が救い、さらに返り討ちにするという衝撃の幕開けだ。娘の立場から描かれる現代と、母の思いもよらぬ過去の物語が交互に語られる。
過去の物語の中心人物たちはまず名前そのものも異なるので、すんなり今と結びつくわけではないのだが、国際テロ集団の離合集散の暗い時代とその緊張感が半端ではなく語られてゆく。
現在と過去が容易に結びつかない中で最後まで持ってゆかれる物語には相当やきもきさせられるものがあるが、そこの紆余曲折が本書の読みどころであり、現在のヴァイオレンスからの脱出路の出口に繋がってゆくので、戦後国際テロを背景とした母と娘のサバイバルを、いつものようにスローター節で味わいたい。
血とバイオレンスと男と女。そして壮大な旅として俯瞰される家族の物語は、いつものスローター節なのだが、あまりにも引っ張リ過ぎなラストのキレの悪さが、好印象には繋がらず、残念。
Netflixでドラマ化されているとのことなので、そちらも要チェックであること間違いなし。
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図書館の本 読了
銃乱射事件の犯人を
躊躇なく殺したのは、
ごく平凡なわたしの母親だった。
MWA賞受賞作家の最新作!
スローター史上最高傑作。サイコ・スリラーの新たな基準を築いた。
――ジェフリー・ディーヴァー
人物造形の巧みさは天からの賜り物。彼女を傑出した作家たらしめている。
――『ワシントンポスト』紙
スローターの世界にひとたび足を踏み入れると、もう後戻りできない。
――リサ・ガードナー
ショッピングモールで少年による銃乱射事件が発生。
偶然居合わせた警察署通信係のアンディは、警官だと勘違いされ、銃口を突きつけられる。
震える彼女の前に立ちはだかったのは母のローラ。
ごく平凡に生きてきたはずの母親は、犯人のナイフを素手で受け止め、喉を掻き切った――顔色ひとつ変えずに。
呆然とするアンディをよそに、事件の動画は全米に拡散。
母は瞬く間に時の人となるが……。(BOOKデータベースより)
超おもしろい このまま下巻に行きます。
感想は下巻で
Pieces of her by Karin Slaughter
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同じ作者の作品で、この作品に登場した人物が出てくる『忘れられた少女』という作品もあるが、こちらの方が先に書かれている。
上記の『忘れられた少女』は、この作品のその後という感じなのかもしれないが、雰囲気はだいぶ異なる。
こちらの作品は、1960年代1970年代の出来事が現代の多大なる影響を与えているという事が、物語が進むにつれて明らかになって行く話で、主人公も比較的能動的に活動しているという印象だが、『忘れられた少女』は、あまり主人公が能動的に動いているという印象を受けず、正直、読み進めにくかった記憶がある。その意味では、この作品にはあまり期待していなかったが、良い意味で期待が裏切られた。物語が進むにつれ、“え?どういう事?”という感じで、次に物語を読み進めずにはいられなかった。