紙の本
平安時代後期から、連綿と続いた「院政」。
2009/03/29 11:08
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安時代後期から、連綿と続いた「院政」。
本来、権力の頂点に立っているはずの「天皇」ではなく、元天皇である上皇が権力を掌握している、そのメカニズムを解説しています。
上皇と呼ばれる元天皇は、複数いる場合も多いのですが、その中で権力を握って行く人は限られています。
たとえば後白河上皇。
武士中心の世の中になりつつある時代に、朝廷の権威をいかに保つかを考え実行したひとです。
やはり、そういう転換期や動乱期には「組織上の頂点に立っている人」=「実権をにぎっている人」では、うまく対応することができないようです。
特に日本人の場合は、その傾向が強い。
最近の会社でも、いわゆる「院政」をしているところもよく見られます。
その構造を歴史的な観点から考えるためには、よい本です。
龍.
http://ameblo.jp/12484/
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日本史で絶対習う内容にもかかわらず、具体的にはよく知らない院政という制度について、時代とともに検証している。政治の現場が、天皇政治(内裏)から上皇政治(院御所)に移ったと思われているが、そんな単純ではないものだということがしっかりわかった。
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タイトル通りだが、知ってるつもりで良くわからなかった院政について平安から鎌倉にかけて集中的に分析している。
何となく院政とは、摂関家から政治権力の主導権を取り戻し、自ら主導的に政治を行おうとした数人の天皇(上皇)が作り出した、ある時期に限った特異な政治システム、という認識だったので、
ここまで長期間にわたり院政が行われ、現実政治に不可欠なシステムにまで定着していたことに驚いた。
ただ、当時の系図は複雑怪奇で出てくる名前も似通った人物が続々登場するため、相当混乱させられる。
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『院政―もうひとつの天皇制』(美川圭、2006年、中公新書)
本書は、平安~鎌倉時代の院政について主に述べたもの。院政とは、直系子孫に皇位を譲位した院が父権を行使して間接的に政治的権力を握る政体です。細かいところまで書いてあると思うので、歴史の復習や教養のために良いんじゃないでしょうか。
(2010年12月18日 大学院生)
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[ 内容 ]
院政とはすでに譲位した上皇(院)による執政をいう。
平安後期には白河・鳥羽・後白河の三上皇が百年余りにわたって専権を振るい、鎌倉初期には後鳥羽上皇が幕府と対峙した。
承久の乱の敗北後、朝廷の地位は低下したが、院政自体は、変質しながらも江戸末期まで存続する。
退位した天皇が権力を握れたのはなぜか。
その権力構造はどのようなものであったか。
律令制成立期から南北朝期まで、壮大なスケールで日本政治史を活写する。
[ 目次 ]
第1章 摂関期までの上皇
第2章 院政の開始
第3章 院政の構造
第4章 白河院政から鳥羽院政へ
第5章 保元・平治の乱から後白河院政へ
第6章 後白河院政と武家政権
第7章 後鳥羽院政と承久の乱
第8章 鎌倉後期の院政
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古代以来の天皇が譲位するシステムから、後三条天皇を経た院政の開始、とりわけ最盛期であった白河、鳥羽、後白河、後鳥羽天皇の院政(当該期の崇徳、二条、六条、高倉天皇も譲位している)を経緯、システム、政治史を含めて集中的に解説。今回の大河ドラマ『平清盛』の内容にかぶるので、よくわかると思う。
院近臣たる藤原摂関家の支族が登場して名前が覚えられない・・・。摂関家は王家(皇室)と婚姻関係すら持てなくなり、藤原氏も五摂家に分裂して摂関政治は形骸化する。一方、天皇の母方ではなく、父、父方の祖父・曾祖父である治天である上皇(太政天皇)、法皇が権力をもつのが院生。
白河-堀河-鳥羽-崇徳-近衛-後白河-二条-六条-高倉-安徳-後鳥羽
道長-頼通-師実-師通-忠実-忠通-基実-基通-家実
兼実-良経-道家
天皇と摂関家嫡流の流れを記憶から。婚姻関係とか含めたらややこしい!!
院政に権力があったのは別として、江戸時代後期まで上皇・法皇がいてたことに驚いた。昨今、天皇定年制の議論があるが、伝統と先例を生かすのであればそろそろ明治憲法から解き放荒れていいと思う。
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院政―もうひとつの天皇制 (中公 院政、という言葉で連想するのは、多分後白河法皇であると思います。しかし、院政の真の始まりとは…?とかそんな話題からはじまって、院政という体制を分析・解説した1冊。中世の朝廷システムに興味がある方は読んで損はないかと思います。
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院政の始まりから、治天の君の成立あたり(鎌倉末期)までの横断的な本です。
一般的な、白河、鳥羽、後白河などなども出てくるので、比較的読みやすい本です。
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大河清盛好きにオススメ
ここのところ平安時代づいていまして、上皇関連の本をまた一冊読みました。
『院政 もうひとつの天皇制』(美川圭/中公新書)です。
本書は、先日読んだ『上皇の日本史』同様上皇や院政の歴史が書かれています。
上皇の誕生、院政初期、摂関期を経て平安後期、そして鎌倉幕府成立、承久の乱を経て、大体足利幕府誕生あたりまで書かれていました。
特に、大河ドラマ「平清盛」でも描かれていた白河上皇〜後白河上皇のあたりが第四章・第五章・第六章にわたって書かれており、楽しく読めました。
院政の実権を握るための戦いだったせいか、第五章では保元の乱も重点的に書かれていたので、藤原頼長や摂関家好きとしては満足でした。
その後の鎌倉時代のことも書かれているので、摂関家よりも武士がいいわという方にももちろんオススメです!
私は平安後期については院政含めて少し分かってきたかな〜という感じなのですが、鎌倉時代以降はまだまだ勉強不足で、平安後期ほどは掴みきっていません。
その辺はまた別の本を読んで少しずつ学んでいこうと思います。
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いやあ濃かった。読んだ感あるわあ。特に、院政の初期、後三条期のアレコレな事情って、なぜかあんまり詳細な記述を見かけないので、とても貴重。中盤は大河ドラマの時代と重なる。ドラマの舞台はほぼ鎌倉だけど、その頃は京都サイドも大変だったのよー的な。後半の南北朝時代辺りからあやしいのは、純粋に自分の勉強不足。へへへ。
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院政と一口に言っても、白河・鳥羽、後白河・後鳥羽、承久の乱後、後嵯峨院政、大覚寺統・持明院統、治天の君、性格がどんどん変化する。当初は極めて私的なものだったのが、承久の乱を境に幕府が関わることにより、人事権が制限されるが、訴訟制度が確立する。後醍醐が院政を承久の乱前の元に戻すことを理想としていた、という記述が印象的だった。