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トルコで読んでいて少し怖くなった。見えていない部分というのはあるものだ。民族とか宗教というのは、これほど重要視されて縛られるものなんだなあと思った。日本人がのんきだと感じるのは、日本の中で大多数の側の強者の側にいるからか?
それほどまでして、言葉を調べに行く著者の探究心というか研究者魂と人に対する想いに感心する。
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凄い人がいたものです。トルコへの理解が深まります。
なかなかここまで踏み込むことはありませんし、そこから抽象化して要点をつくこともできないと思います。
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言語学者である著者はトルコ共和国を1970年に訪れて以来、その地の人々と諸言語の魅力にとりつかれ、十数年にわたり一年の半分をトルコでの野外調査に費す日日が続いた。調査中に見舞われた災難に、進んで救いの手をさしのべ、言葉や歌を教えてくれた村人たち。辺境にあって歳月を越えてひそやかに生き続ける「言葉」とその守り手への愛をこめて綴る、とかく情報不足になりがちなトルコという国での得がたい体験の記録である。
タイトル的にクルド人問題とかアルメニア人大量虐殺の話かなーなんて思ってたけど、それどころじゃなかった。近代における民族問題のことが目白押し。トルコってこんなにも色んな民族および言語があるだなんて知らなかった。
1980 年代のトルコでは言語、方言というものが政治に密接に関係し、自身の話す言語次第では逮捕されることがある。というのも衝撃であった。
これが今から 20 年も前の本だとは驚き。 2010 年に続編が出たようなのでそちらも読んでおきたい。
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迫害されるトルコの少数民族、トルコは単一民族国家だと信じて疑わないトルコ市民、それを促進する体制側、言語学的探求心からただひたすらに観察する日本人…理念としてはこれっぽっちも交わらないものたちが、それを覆う身体によって出会い衝突し絡み合って行く
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トルコが大変な親日国家だということはよく知られている。1890年(明治23年)に和歌山県沖で発生したエルトゥールル号の遭難事故以来、日本とトルコの間には現代の国際社会においては極めて稀有ともいえる心と心の交流が続いている。エルトゥールル号の事故から95年後の1985年(昭和60年)には、イラン・イラク戦争の渦中に巻き込まれてテヘランから身動きの取れなくなった日本人200数十名の救出に際し自国の航空機を飛ばして手を差し伸べてくれたのが他ならぬトルコであった。記憶に新しいところでは2011年3月に発生した東日本大震災の被災地・宮城県七ヶ浜町における支援・救助活動を3週間にわたる最も長い期間において行なってくれたのもトルコだった。日本、ひいては日本人にこれほどまでの情愛を示してくれる友邦に対し無条件に好意を持っても何の不思議もないのだろうが、やはりどんな人にも触れられたくない秘密や裏の顔のひとつもあろうというものである。トルコという国もまた然り。
本書の著者はトルコに魅せられてトルコ各地を隈なく巡り現地に数多くの知己を得て、トルコ国内に存在する諸言語の現地調査並びに研究に没頭する日々を送っていた。しかし、トルコ国内にはトルコ語以外の言語もトルコ人以外の民族も存在しないという非現実的な立場を取るトルコ政府やその関係者によって、著者の現地調査並びに研究はよくも悪くも振り回されてしまう。しかし著者を待ち受ける数々の障壁をモノともせず、時にはトルコ国内の友人の助けや現地調査で出逢うクルド人、ザザ人などの少数民族との触れ合いを通してトルコ国内における様々な問題、現実が見えてくるたびに読者として言いようのない驚きや憤懣やるかたない気持ち、そして時には異文化と触れ合う際に感じる新鮮な興奮のようなものをすら覚えてしまう。読了して久々にエキサイティングな本と出逢えたという満足感と著者の研究対象に対する並々ならぬパッションを感じた。
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心に炎が燃え移った。10代で読んでいたら、もっと人生変わったかも。いや、酸いも甘いも知った今だからこそ共感できるのかも。若さって保守的な傾向をもつこともあるから。
トルコが舞台だが、同じようなことはいくつかの国にも当てはまるのでは。日本も例外ではない。「普通」に生きていると社会や国家、教育内容に疑問を持つことは少ないかもしれない。しかし、一歩はみ出たときに果てしない荒野が急激な崖が見えてくるのだ。
トルコを知る格好の書物だが、問題意識をトルコに終わらせないことが大事な本だと思った。
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進路のために読んだ。言語を守る少数民族と一人の日本人言語学者。ほんとうに読めて良かった。トルコに興味が無くても読む価値はきっとある。
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新婚旅行のためトルコに向かう機内で読んだ。正直、読むタイミングはふさわしくなかったが(なにせ、本文中に「この国の本当の姿は夜中に警察に連行されて尋問されないと分からない」というくだりがあるのだ)、内容は素晴らしい。トルコは多民族国家であり、共和国成立の過程も複雑である(第一次世界大戦後に欧米列強に分割統治されかかったところを、独立戦争をおこし自国を勝ち取った)。トルコは基本的には軍事国家であり、そのかすかな雰囲気は短い滞在中にも感じられた。
筆者のトルコに対する非難は抑制のとれたものであり、また少数民族に対する眼差しは抑えた筆致からも十分心に響く。トルコ人すら理解できない少数民族の言語を操る日本人がいたということが、また大変な驚き。
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発行された年はちょうど湾岸戦争が起こった年で、トルコ周辺の状況が非常に緊迫した年でもあり、クルド問題もクローズアップされた年でもあった。
この本はクルドの状況を知ることができる数少ない一般書である。
当時のÖzal政権下で若干政策が緩和されトルコの日刊紙にもクルド語の単語が使われたりする一方、作品に”Kurt”とキャプション入れた映画監督が逮捕されたりするというまだまだ不安定な状況。
そんな中で著者はクルド(ザザ)と深くかかわりすぎて国外退去処分になってしまう。
今もまだ続くクルド問題の一端を垣間見るにはいい本だと思う。
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おそらく私たちは、表面のトルコ…
「優しい人が多い」ぐらいしか知らないと思います。
ところがどっこい、そういう面だけではなく
暗黒面があるのです。
以前ニュースでも出ていた「クルド人」に関してです。
そもそも彼らの言語は「ない」のです。
それと異色の宗教(イスラム教徒は違う)も
迫害の対象になっています。
同じ人なのに…
そして…
著者はその研究が広いのもあり
結局国外追放(実質帰国予定でしたが)
となってしまいます。
いずれ隠し通せなくなる日がきていたことでしょう。
いや、隠せなくなりましたね。
新書ではたまにある読むべき本。
トルコへの見方が変わります。
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傑作。尊敬。こういう方が本当の学者だと思う。読み物としても素晴らしいサスペンスで一気呵成に読みきった。中東問題の根深さは到底日本人に想像できるものではない。
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トルコ国内の言語と民族を実地調査された小島氏の1970年から1986年までの現地調査の記録と,トルコの民族や言語の当時の現状についての紀行文です。現在でも注目されることが多い,トルコの東部や内陸部の実態についてご自身の体験を中心に記載されており,現在の目から見ても参考になる事象が多いと思います。
今でもどこまで詳細にわかっているかは疑問に思うところがありますが,この作品で触れられているような状態であった地域がますます混迷の度を深めているということについては,いろいろと考えさせられます。やはりこの地域について,いろいろ知りたいと思うものの,難しいなという印象も同時に持ちました。
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[見てしまった者の言]親日国と知られ、近年では経済成長も目覚しいトルコ共和国。言語学の専門としてトルコに文字通り「はまって」しまった著者が、少数民族の言語を調査する過程で、外側からは決して知ることのできなかった裏の一面を明らかにした作品です。著者は、本調査の末にトルコ共和国から国外退去処分を受けることになった小島剛一。
数々の言語を操りながら少数民族の苦悩や知られざる実情を調査する様子は、まるで一級のスパイ・フィクションを読んでいるかのよう。1990年に執筆された作品ではありますが、今日でも民族問題や言語問題を考える上で、非常に参考になる一例だと思います。クルド人問題やキプロス紛争など、日本ではあまり知られていないトルコが関わる情報を知ることができる点も高く評価できる一冊です。
〜トルコ人だのギリシャ人だの区別しないで、誰でも好きなところに住んで好きなところへ行けるようにならないもんかね。お前は日本人でフランスに住んでトルコに遊びに来て、それでいつでも好きなときにメイスにも行けるんだろ。世の中、不公平にできてるもんだ。〜
ぜひ続編も読んでみたい☆5つ
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好奇心って恐ろしい。
言語から紐解くトルコという国の姿、ヘビーな内容にミステリーとかサスペンス小説を読んでいるような気持ちになってしまいましたが、これはフィクションじゃないんですものね。
今まで気づいていなかったこと、意識していなかったことを突き付けられた気がして、よくこれが本になったなと怖くなりました。
国家に目を付けられるってとんでもないことなのでは。
著者の行動力と知識欲に圧倒されます。
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小島先生の講演を聴いて興味を持ち、読みましたが、この本は先生にお会いしたことがあるかないかでずいぶん印象が違って来るんじゃないでしょうか。あの飾らないカッコで(私が聴いた講演会でもTシャツにサンダル履きでした)、トルコ国内を歩かれたのだなぁ〜と、その姿が目に浮かぶように楽しめました。歌のところでも講演で歌ってくださった先生のお声を思い出します。内容はトルコにおける少数民族の置かれた厳しい現実が描かれていますが、先生の人となりのにじんだ文体で、そんなトルコでもとても親近感を覚えてしまう、そんな本です。