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1960年代、経済的に繁栄する日本からアフリカの発展途上の小国ルワンダの中央銀行総裁として着任し、財政と国際収支の恒常的な赤字、物理的条件の不利に屈することなく、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の6年間の記録です。
経済再建、通貨改革に奮闘する話ばかりかと思っていたら、そこは発展途上の小国ルワンダ。トラブルも予想外。
中央銀行総裁と言うと日銀総裁、FRB議長などその発言ひとつで市場が動く、国家の経済を左右する圧倒的な地位と存在。
のはずなんだけど、ルワンダで著者を待っていたのは、二階建ての家。
頑丈ではあるけどペンキの剥げかかった建物…
それがルワンダ中央銀行。
用意されていた家の戸棚にあった紅茶とパンは以前住んでいた外国人職員の食べ残しだったり、運転手はガソリン代をちょろまかしたり。
中央銀行の方は銀行券が足りない状況、構内では職員がおしゃべりしてるか居眠りしている。
独り獅子奮迅の服部総裁の活躍がおもしろい。
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20110110読了。
日本銀行勤務の著者が、ルワンダの中央銀行総裁に任命されてルワンダの経済を立て直していく話。
1966年ごろの話だけど、古くはない。
中央銀行銀行の様々な仕事だけだなく、仕事における著者の思慮深さを感じる箇所が多く勉強になる。
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60年代にルワンダ中央銀行の総裁に就任した日銀マンの回想録。
現代の国家のイメージからすればとても国家の体を成しているとは言えないルワンダ。
そんな中に高度成長期の日本から単身乗り込んで、中央銀行のトップにつく。
その苦労は想像すらできない。
単に金融制度を構築するという程度の話ではない。
ルワンダの経済そのもののあり様を問う作業だ。
まさに国をつくるということの稀有なルポルタージュ。
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[ 内容 ]
一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であった―。
本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。
今回、九四年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、著者の業績をその後のアフリカ経済の推移のなかに位置づける。
[ 目次 ]
1 国際通貨基金からの誘い
2 ヨーロッパと隣国と
3 経済の応急措置
4 経済再建計画の答申
5 通貨改革実施の準備
6 通貨改革の実施とその成果
7 安定から発展へ
8 ルワンダを去る
増補1 ルワンダ動乱は正しく伝えられているか
増補2 「現場の人」の開発援助哲学
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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http://shiibar.blogspot.com/2011/01/blog-post_07.html
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ルワンダ共和国の独立直後の1960年代から1970年代にIMFから中央銀行再建のために派遣された元・日銀マンの奮闘の日々。
金融政策の原点とは何か、マクロ経済政策、外貨政策、というものを改めて教えてくれる。
彼の仕事上での突破力も見事なもので、プロフェッショナルとしての精神性も見習うことができる。
名著。
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1960年代、多くのアフリカ諸国が独立した時期、IMFの要請を受け、ルワンダ中央銀行総裁として赴任した著者の回顧録。
ルワンダの経済発展を目指し、著者のとった施策は次のとおり(増補2より引用)。第一に、二重為替制度を廃止し、ルワンダフランの対外価値を自由相場に合わせたこと、その前提として財政の均衡を図るため、外国企業に不当に有利な税制を改革したこと。ルワンダ経済の基礎を外資の導入ではなく、農業の発展、つまりはルワンダの国民経済の発展に求めたこと。以上の結果、ルワンダは他のアフリカ諸国に比較し、目覚ましい発展を遂げた。
大切なことは、身の丈にあった経済発展政策を検討することであるが、そのためには、経済理論に関する深い理解を前提に、机上の空論ではなく、現場の経験に根差した分析とそれを推し進めるための立法能力(実務能力)、そしてそれらを支える強力な意思、自信が欠かせない。Cool Head and Worm Heartそのものではないか。また、著者は様々な施策を実現するため人材の重要性を指摘し、ルワンダ人の責任による経済運営を目指した点で特筆に値する。現在では言うまでもないことではあるが、独立直後という当時の経済社会情勢を鑑みれば、慧眼といわざるを得ない。国際機関を含む援助機関の協調が求められる現在、独力で一国の国づくりを責任持って行える立場に経つことは不可能に近く、開発に携わる者の羨望の的でもある。
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一人の日本人が新独立国の黎明期を支えた。
1965年、ルワンダ。アフリカ諸国が次々と独立を果たす新興国ラッシュが激しい時代に、一人の日本人銀行員が国の立ち上げを援助することになる。
外国人への異様な優遇、いい加減な機構、仕事に対して不十分な教育しか受けていない公務員etc。挙げればきりがない最低レベルの経済だった(経済とすら呼べないかも)。
あるのは国民を思う熱意のみ。この熱意を信じて著者はルワンダの経済の構築を図る。
しかしそれを「ここまで悪ければ何をしても改善につながるだろう」と楽観的に捉え、精力的に中央銀行の任務遂行にあたっていった著者は私のその時代の日本人に対する思い込みを払拭した。
根回しや波風立てない言い回しはあれど、タイミングやスピードに優れ次々と改革を実施していく姿は見ていて清々しい。
物語化と思えるほどだが、これが50年前の事実だというから驚きだ。
もしかすると、当時の日本人の価値観は私が思うほど凝り固まっていなかったのかもしれない。
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著者の服部正也について「こんな日本人がいたことを誇りに思う」と佐高信が評価していたが、その当りであると思う。菅政権、東電、官僚をみるにつけ、「日本人」はどうなってしまったのか
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重要な改革の重要な内容は耳を抜けていってしまったんですが、通勤時間を利用してなんとか読了。特に印象的なのは、服部正也さんの人を見る目、その判断力。他人が悪評をたてる人物であっても、服部さんはその仕事ぶりから相手の価値観・その立場を考える。悪評からもその発信者の立場からその理由を読み解き、決して惑わされない。生意気と評判だが確実に仕事をこなす有能なクンラツ氏、経済に疎くてもルワンダの山々の民を心から思うカイバンダ大統領、コテンパンに服部さんにやられてしまう商業銀行のデヴィルシャン氏(あまりのピエロぶりに可哀想なほど)・商魂たくましいインド商人。その他もまるで物語のように人々は多彩。確かな力と目、熱い心が胸に迫る傑作でした。
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高度成長期の日本からはるかアフリカの大地へ一国の運命を担い一人の男が海を渡った。1972年毎日出版文化賞受賞作の増補版。
日銀行員だった著者は国際通貨基金の誘いにより技術援助の一環としてルワンダに派遣される事となる。本書は中央銀行総裁としての6年間の記録である。
著者は発展途上国がアフリカの模範生と評価されるに至る基礎を造る事に多大なる貢献を果たした訳であるが、その記録が面白くない訳が無い。また、プロとしての仕事ぶりは心地よい。読み終えた時、「途上国の発展を阻む最大の障害は人の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである」という言葉は重い。
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これは細かな経済学的知識のない人もおもしろく読めると思う。これをドラマ化したらおもしろいだろうな。そんな肝の据わったテレビ局はないだろうか。何度もいうがおもしろい。
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1960年代に日本人としてルワンダの中央銀行総裁に就任した服部正也氏の当時の自身の記録。
公正、且つ情熱を以ってルワンダの財政、経済を立て直す姿が描かれており、このように国際的に活躍する日本人の存在を心に刻み込みたい。
以下引用
「私は戦に勝つのは兵の強さであり、戦に負けるのは将の弱さであると固く信じている。・・・中略・・・ どんなに役人が非能率でも、どんなに外国人顧問が無能でも、国民に働きさえあれば必ず発展できると信じ、・・・」
1990年代のルワンダの悲劇を紐解くには本著では足りないが、西欧諸国のエゴが要因となっているのは間違いなく、その端緒は読み取れる。
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ベルギーの植民地であったルワンダ共和国の発展の奇跡?
ルワンダ農民、商人の地道な努力で発展を遂げた。
くしくも明治時代、ヨーロッパ諸国から見た
日本という小国がここまで発展するとは思われたいなかった。
現在のルワンダはその当時の日本に匹敵にするのかなと感じた。
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現場の声に勝るものはない。ある日本が6年間ルワンダ中央銀行総裁としてルワンダを建て直す日記。スリリングで面白いです。