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ルワンダ中央銀行を立て直した日本人総裁の日記。具体的な問題点とその対処方法は、金融素人が読んでもわかりやすく面白い。常に現地のルワンダ人の立場に立って公平に判断する姿勢は、途上国開発に興味がある人にも役に立つ。
増補版には90年代に著者がルワンダを振り返った文章も掲載されている。これは図書館で借りたが、蔵書としたい一冊。
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これはお勧め!途上国援助とか国際経済に興味ある人は特に。外国語とか異文化コミュニケーションが好きな人にも。フランス語や英語を使ってこれほどの仕事ができる日本人の姿に感動を覚える。
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40年も前に書かれた本でありながら、ルワンダ人の能力と自主性を信じ、本当にルワンダ人のためになることを求めて行動していたというのは素晴らしい事だと思う。国際協力の分野でオーナーシップの欠如が叫ばれて久しいが、開発専門家がこうした心がけで取り組んでいればおきなかったはず。
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日本人としての海外貢献について、こんなにはっきりと具体的な数字をもって解説されたものはあまりない。
新興国支援という日本に今後も重要な役割として、先達がどのようにおこなってきたか、それはどういう時代背景・国内の状況の元行われたのか。
服部正也さんのルワンダ独立直後の1965年から1971年の6年間に及ぶルワンダ中央銀行総裁としての活動を垣間見れる貴重な資料です。
国を創るとは何か。国の方針に向かってどんな人がどんなことをやれば国が良くなっていくのかということが実際にあった例を通じて勉強できました。
戦後の国際社会で確実な一歩を残した、日本人のピッカピカな誇りとしてできるだけ多くの人に手にとってほしい一冊です!
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1965年から1971年にかけてルワンダ中央銀行の総裁を務めた服部氏による記録。中央銀行を組織するだけでなく、独立間もない同国の為替政策、輸出入政策、産業振興策の提言、さらには倉庫会社の設立、ディーゼルトラックの輸入も行う姿を飾らない言葉で記録した名著。
相当の困難だったと想像されるが、本人はむしろその困難の克服を楽しんでいる模様がうかがえる。数十年後に先鋭化するフツ族とツチ族の反目が現地銀行員間にも現れているのが痛ましい。
巻末に94年の隣国ブルンジでルワンダのフツ族大統領が乗る飛行機が爆発したことを契機として表面化するルワンダ動乱についての著者本人による補講あり。
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1960年代にルワンダの中銀相殺として招聘された服部氏の手記。金融・通貨政策のみならず、財政、通商、産業と言った分野にも踏み込んで、ルワンダ経済の建て直しに奔走する姿が描かれており、途上国のマクロ経済運営のケーススタディーとして、最早これ以上の本は無い。
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1965~71年まで6年間にわたる著者の体験記。
経済再建策
* 基本的には「競争」をベース
o 物価統制の廃止
o 商業の競争環境の整備
* 外国人商人の本国への課税も引き上げず
* 独占的利益を打破しルワンダ人の参入を促す策
o 開発銀行による援助
o 2行目の市中銀行の誘致
o 倉庫会社を設立して物流を整備
* 初期段階では一定の統制も必要?海外市場との関係
o コーヒーの生産者価格の決定
成長を阻害する要因
* 外敵の存在
o ツチ族の襲撃により軍備増強を迫られる
o 結果として予算規律が弱まることにつながる
* 教育制度の問題
o 母国語での教育が未整備。中等以上はフランス語がほとんど。
o 一部の層のみが教育を受けることになり特権階級化。
o 海外大学で学ぶ場合が多いが傲慢化、堕落化も。
* 外国人労働者(援助者)の問題
o そもそも質の低い労働者が来る
o 能力がある人でもいかに楽をするかを考える場合が多い
o 本国での業績につながらないため
感想
* 散々馬鹿にされていたルワンダ人も競争に耐えうる能力を備えていた
o 十分な合理性を持ち合わせていた
o トラックへの投資、密輸などの例
* 植民地化されていた国では教育制度がズタズタになっている?
o それも発展を阻害する大きな要因だと思われ
* 政治の機能不全もやはり大きな要因?
o 民主的な選挙制度の不整備
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1960年代、経済的に繁栄する日本からアフリカの発展途上の小国ルワンダの中央銀行総裁として着任し、財政と国際収支の恒常的な赤字、物理的条件の不利に屈することなく、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の6年間の記録です。
経済再建、通貨改革に奮闘する話ばかりかと思っていたら、そこは発展途上の小国ルワンダ。トラブルも予想外。
中央銀行総裁と言うと日銀総裁、FRB議長などその発言ひとつで市場が動く、国家の経済を左右する圧倒的な地位と存在。
のはずなんだけど、ルワンダで著者を待っていたのは、二階建ての家。
頑丈ではあるけどペンキの剥げかかった建物…
それがルワンダ中央銀行。
用意されていた家の戸棚にあった紅茶とパンは以前住んでいた外国人職員の食べ残しだったり、運転手はガソリン代をちょろまかしたり。
中央銀行の方は銀行券が足りない状況、構内では職員がおしゃべりしてるか居眠りしている。
独り獅子奮迅の服部総裁の活躍がおもしろい。
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20110110読了。
日本銀行勤務の著者が、ルワンダの中央銀行総裁に任命されてルワンダの経済を立て直していく話。
1966年ごろの話だけど、古くはない。
中央銀行銀行の様々な仕事だけだなく、仕事における著者の思慮深さを感じる箇所が多く勉強になる。
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60年代にルワンダ中央銀行の総裁に就任した日銀マンの回想録。
現代の国家のイメージからすればとても国家の体を成しているとは言えないルワンダ。
そんな中に高度成長期の日本から単身乗り込んで、中央銀行のトップにつく。
その苦労は想像すらできない。
単に金融制度を構築するという程度の話ではない。
ルワンダの経済そのもののあり様を問う作業だ。
まさに国をつくるということの稀有なルポルタージュ。
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[ 内容 ]
一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であった―。
本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。
今回、九四年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、著者の業績をその後のアフリカ経済の推移のなかに位置づける。
[ 目次 ]
1 国際通貨基金からの誘い
2 ヨーロッパと隣国と
3 経済の応急措置
4 経済再建計画の答申
5 通貨改革実施の準備
6 通貨改革の実施とその成果
7 安定から発展へ
8 ルワンダを去る
増補1 ルワンダ動乱は正しく伝えられているか
増補2 「現場の人」の開発援助哲学
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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http://shiibar.blogspot.com/2011/01/blog-post_07.html
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ルワンダ共和国の独立直後の1960年代から1970年代にIMFから中央銀行再建のために派遣された元・日銀マンの奮闘の日々。
金融政策の原点とは何か、マクロ経済政策、外貨政策、というものを改めて教えてくれる。
彼の仕事上での突破力も見事なもので、プロフェッショナルとしての精神性も見習うことができる。
名著。
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1960年代、多くのアフリカ諸国が独立した時期、IMFの要請を受け、ルワンダ中央銀行総裁として赴任した著者の回顧録。
ルワンダの経済発展を目指し、著者のとった施策は次のとおり(増補2より引用)。第一に、二重為替制度を廃止し、ルワンダフランの対外価値を自由相場に合わせたこと、その前提として財政の均衡を図るため、外国企業に不当に有利な税制を改革したこと。ルワンダ経済の基礎を外資の導入ではなく、農業の発展、つまりはルワンダの国民経済の発展に求めたこと。以上の結果、ルワンダは他のアフリカ諸国に比較し、目覚ましい発展を遂げた。
大切なことは、身の丈にあった経済発展政策を検討することであるが、そのためには、経済理論に関する深い理解を前提に、机上の空論ではなく、現場の経験に根差した分析とそれを推し進めるための立法能力(実務能力)、そしてそれらを支える強力な意思、自信が欠かせない。Cool Head and Worm Heartそのものではないか。また、著者は様々な施策を実現するため人材の重要性を指摘し、ルワンダ人の責任による経済運営を目指した点で特筆に値する。現在では言うまでもないことではあるが、独立直後という当時の経済社会情勢を鑑みれば、慧眼といわざるを得ない。国際機関を含む援助機関の協調が求められる現在、独力で一国の国づくりを責任持って行える立場に経つことは不可能に近く、開発に携わる者の羨望の的でもある。
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一人の日本人が新独立国の黎明期を支えた。
1965年、ルワンダ。アフリカ諸国が次々と独立を果たす新興国ラッシュが激しい時代に、一人の日本人銀行員が国の立ち上げを援助することになる。
外国人への異様な優遇、いい加減な機構、仕事に対して不十分な教育しか受けていない公務員etc。挙げればきりがない最低レベルの経済だった(経済とすら呼べないかも)。
あるのは国民を思う熱意のみ。この熱意を信じて著者はルワンダの経済の構築を図る。
しかしそれを「ここまで悪ければ何をしても改善につながるだろう」と楽観的に捉え、精力的に中央銀行の任務遂行にあたっていった著者は私のその時代の日本人に対する思い込みを払拭した。
根回しや波風立てない言い回しはあれど、タイミングやスピードに優れ次々と改革を実施していく姿は見ていて清々しい。
物語化と思えるほどだが、これが50年前の事実だというから驚きだ。
もしかすると、当時の日本人の価値観は私が思うほど凝り固まっていなかったのかもしれない。