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物語の中で物書きの『令央』が一つの作品を書き上げるべく、いくつもの自問自答を繰り返していく。
桜木さんの書いた『砂上』という作品が、途中からこれは令央が書いた『砂上』なのかもしれない、という感覚になった。
盛り上がるような要素もなければ逆にどん底に落ちる衝撃もない。
ただ、一日一日を生活するために、江別の片隅で生きていく40女の生き様は、寂しくも強かった。
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雪が降る日は静かなのだという。
雪が周囲の音を吸い込むのだそうだ。
その静かな世界を、淡々と生活する女性。僕には主人公の女性はそんな印象だった。
読み進めるごとに、その淡々とした性格はあまりに近視眼的な行き方のためのように思えてくる。
読者としての自分は、物語の中に入り込み、彼女に共感することが正しいのか、それとも侮蔑の眼差しを向けるべきなのか、よくわからない。
ただ虚構の彼女はその虚構の生活を地道に歩んでいるし、その彼女を軽んじることは、物語の中でも外でも誰も、きっとすべきではないのだろうと思う。
静かな暴力をたたえた作品だと思う。
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「主体性のなさって、文章に出ますよね」
「大嘘を吐くには真実と細かな描写が必要なんです。書き手が傷つきもしない物語が読まれたためしはありません」
「わたしは小説が読みたいんです。不思議な人じゃなく、人の不思議を書いてくださいませんか」
「文章で景色を動かしてみてください。景色と一緒に人の心も動きます」
「現実としては誰も、柊さんの私生活には興味がありません。あなたは芸能人でも政治家でも、有名人でもない。だからこそ求められるのが、上質な嘘なんです。」
小川乙三語録。
小説家の裏側を覗けたようで、本好きには嬉しい、フィクション。
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私は小説家を目指してないけど、
書くときにはそうなのか…参考になるな…
などと、まるで自分がいつか小説を書くような気持ちになりながら読みました。
小説ネタを自分の経験を基にして書くこともあるのだろうけど、どこまでがフィクションなのか、近しい人に誤解されることもあるのだろうな…などと、
小説の内容とは離れて読んでいる自分がいました。
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正直、つまらなかった。
文章を書く人にとっては、何かおもしろいんだろうか?
ふつうに母子3代の話の方が面白い気がするけど、作者さんの書きたいところはそこじゃないだろうけど。
ラブレスは面白かったよね。
あと、桜木さんの登場人物って、名前のセンスがどうなの?
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物凄い熱が伝わる作品だった。これまでの桜木さん作品から、何か頭一つ飛び出したような、殻を破って突き抜けたようなものを感じた。
読んでいて、作中作品が完成していくことに、こちらまで精神をすり減らし痩せてしまうような感覚があった。
ただ、自分はこの親娘三代、とりわけ令央がどうも好きになれない事がちょっと読みにくくしていたかも。
それにしても書くことってすごいな。
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直木賞作家の新たな到達点!書くことに取り憑かれた女はどこへ向かうのか 守るものなんて、初めからなかった――。人生のどん詰まりにぶちあたった女は、 すべてを捨てて書くことを選んだ。母が墓場へと持っていったあの秘密さえも――。直木賞作家の新たな到達点!(e-honより)
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いつか作家になりたいと思い続け40歳になった柊令央と女性編集者小川乙三が作品を作り上げる物語。令央は母が墓場へと持っていった秘密を書く決心をする。だがそれは、母親との暮らしを、そして他人任せだった自分のこれまでを直視する日々の始まりだった。自分は母親の人生を肯定できるのか。そして小説を書き始めたことで変わっていく人間関係。自分と母親、そして娘の話をベースに現実と虚構の境界線が見えづらく本当にフィクションなのかと考えさせられる。
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お初の作家さん。
「人間、余裕がなくなると自分よりも弱い立場にある人を言葉で傷つけたくなるんです。柊さんの自信無さそうな態度は、無理しながらやってる人間の格好のツマミなんですよ」
なんとなく、この文章わかる気がした。
だから自信なさげにしたらダメなんだ。
自信がなくても奮い立たせて、
自信を先行させてもいいんだ。
でもこどもだけは、ツマミにしたらいけない。
読後感はドッと疲れが(^_^;
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小説家誕生の物語により、虚構と現実の境目を描く作品。
少々の読み進めにくさはあったものの、後半は文章のリズムに慣れて来た。
現実を嘘にすること、そして嘘を現実と思わせること。実際起きたことなんて、それはただの事実なだけであって、どのようにその物語を組み立てるのかは、本人次第と言われているようにも思える。最後、前を向かせてくれる空気が好印象。
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ギリギリの生活を送りながら作家になるために毎年いくつもの新人賞に投稿し続ける40歳のバツイチ女性が、敏腕女性編集者と出会い、亡くなった母や自分の過去と向き合いながら一冊の小説を創りだしていくお話です。
私自身が本づくりとか本屋とかその類いのテーマに興味があるのでとても面白かったのですが、他の人のレビューを見て意外に評価が低いので驚きました。
テーマがニッチ過ぎるそう。そうなのかなあ。本好きはもっと作家や編集者に興味があるのかと思ってました。
主体性がなく、他人任せだったこれまでの人生をはじめて直視し、小説を創っていくその過酷さは本物だったし、その過程で自分の過去や母を受け入れていく様、ラストにみえたほんの少しの希望と成長なんかもよくて、確かに地味なテーマだけど私は面白かったです。
それとたまに、私小説はもちろんだけど、小説として出されているものの中にも著者自身の生々しさを感じてうわっとなる作品があって、ここまでさらけ出さなければならないのかと愕然とし、いたたまれない気持ちになったりしてました。
この作品で、そういうものの正体が少しわかった気がして、作家と編集者をあらためて尊敬しました。
あ、あと主人公の「柊令央」という名前について蛇足だけど言わせて。
なんだか時代に合わないキラキラネームだなあと違和感を持っていたのですが、そもそも著者のペンネームが「桜木紫乃」ですものね。
いつも湿った小説を書く方ですが、ロマンチックというか少女趣味というか・・・そんな一面も発見してしまいました。。
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なんだか、ものすごい小説を読んでしまった・・・
主人公は小説家の女性。
女性編集者とともに一つの小説を生み出すまでの物語が描かれているのだが、
小説を書くというのは、こんなにも凄まじいことなのか。。。
書くべきものと書かずにはいられない性を持ってしまった主人公と、
辛辣な言葉のナイフで容赦なく切りつけて来る編集者とのやり取りは
読んでいるこちらまでも思わず傷ついてしまいそうなくらいでした。
こんなにも作家としての手の内を明かしてしまっていいのかしら・・・と心配になるくらい
小説家になりたい人が読んだら指導書代わりになるんじゃなかろうか。
女性のしたたかさ、逞しさ、誇り高さに同性として胸を張りたくなる物語でした。
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本に遠ざかっている期間でも、
桜木さんだけはグイグイ小説への匂いを
運んで来ます。
そういう存在の作家さんです。
他人事には思えない所が
数々あり、何度もページを戻しました。
それは、シーンとか台詞という単純なものではなく。
生々しさ。
普段の生活で時に、もしくは度々現れる
鈍い感情や、腐敗臭のするような虚栄心。
それを物語を通して、突き付けてきました。
読後感がすっきりしたことは一度もないけれど
いつも視界を重くするような、
いつまでも本の触感を手に残すような
そんな、体に残る文章。
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なんとも薄気味悪く、そして爽快感のある本です。小説の為に他の事をまともにしていない女性が主人公です。結婚生活は夫の不倫で幕を下ろし、その慰謝料をあてに生きているので、読み始めは旦那最低だなと思うのですが、読んでいるうちにちょっと元旦那が哀れに・・・。こんな人と結婚したら心が少しずつ削られるだろうなと思います。
良い小説を世に送り出すためには手段を択ばない編集者との出会いが、彼女の人生を変えていくのですが、根本的にハートフルさとは無縁で、もっとおかしな方に突き抜けていくのがなんだか楽しい。亡くなった母親と妹との関係もヘンテコですが陰惨さが無くて、昔は湿っていたものが乾いたことによって、濡れていたときの形状を保っている古い雑巾のようです。
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「たとえばあたしが死んでも、泣かないような子に育てたいの。」
わたしの地元・江別。
ビストロ・エドナも知ってる。
駅前の五叉路もすぐ情景が頭に浮かんでくる。
珠子の人間味が現実感があって嫌いだわ。