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ほんと、十五夜先生の一発は重いッッ
これまでの巻でも、肉の芯まで届く一撃だったが、この(5)は更にエグい
表現こそ不穏だけど、確実に、読み手を殺しに来ている
総じて、読み手を殺しに来ている漫画ってのは面白く、なおかつ、描き手のレベルを上げるもんである
十五夜先生のランクが、私の中で一つ上がった
心の底から、感謝したい
まぁ、あんまりにもグッと来すぎて、他の漫画読みの目に触れても、恥ずか死にならない感想を書くのに、こんだけの時間はかかってしまった訳だが
この『息子が可愛くて仕方がない魔族の母親』は、ファンタジー色の強い子育てモノである事は、今更、言うまでもないこと
その基本を蔑ろにせず、この(5)では、夫婦愛の領域にも、十五夜先生は踏み込み、ボロボロとなりながらも、大事なものを掴んだ
ローレムの愛すべき夫、ゴスペルを愛する父、それが、ジークだった
この世の中で誰よりもローレムを憎んでいる相手、と世間から誤解されるのも承知で、妻と子を守るために、自分に出来る全てをやっているジークは、旦那としても、父親としても、そして、漢としても、実にカッコ良い
男が惚れる男だ、と私は感じた
一緒にいて、近くで守るだけが愛じゃないのかも知れない
そんな家族の関係を、人間であるチハルちゃんが受け入れ、大切な友達の為に一計を案じているトコが、これまた、グッと来た
いつか、全ての問題が解決して、家族が共に、同じ家で、笑顔で暮らす日々を十五夜先生は、私達に魅せてくれる、と楽しみにしている
そんなローレム、ジーク、ゴスペルの家族の問題を描いた回を除くと、この(5)でグッと来たのは、描き下ろし特別編②「眠り姫」である
私が勝手に思っている事だが、きっと、十五夜先生は、この作品に登場するキャラを、あまり不幸な目に遭わせたくないと言うか、それぞれのハッピーエンドに辿り着いて欲しい、と思っているんじゃないかな
ドレイクとナイトメアは、カップルって感じじゃなく、友情や恋愛感情を超えたパートナーって印象である
お互いの長所も短所も承知した上で、一緒にいて楽しいから、つるんでいる、そんな関係なんだろうか
この二人の今後が、(6)で読めたら嬉しいもんである
描き下ろし特別編①「ある冬の日」、こっちは、ジークさんのむっつりべーすけっぷりが前面に押し出されている事に笑ってしまう一方で、温かくなれた彼に「良かったな」と言ってあげたくなるストーリーだった
この台詞を引用に選んだのは、ジークさんのカッコ良さが際立ってる、と感じたので
元から、ジークさんは強かったが、それは孤独ゆえの強さで、どこか寂しく、空虚だった
けど、このシーンのジークさんは、自分の強さを家族の為に奮おうとしている
その顔は、本当にキュンとする
「全部が上手くいくか、わからないし、時間もかかる・・・出産のタイミングもわからん。何より、お前が心配だ・・・だけど、やっとの思いで掴んだ幸せなんだ。こんなところで、手放してたまるか。必ず、帰ってくる。生きるぞ、この時代を・・・!!��族でな・・・!!」(byジーク)