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筑波大学の遺伝学の権威である著者が、自己犠牲的な行動がどのようなメカニズムでなされるのかを、生物学の見地からアプローチしている、ユニークな本。
一昔前に、『利己的な遺伝子』という本がありました。
その本では、生物は根本的には、遺伝子の乗り物に過ぎず、遺伝子が後世に引き継がれていくために有利な行動をとるようにプログラムされている、と説明されていました。
なんだか、生きている意味を全否定されたみたいな気がして、薄ら怖い印象を受けた記憶があります。
それはさておき。
本書では、脳の構造、神経細胞の働き、ホルモンの役割、本能と学習の違いなどを、順々に解説して行きながら、最後に『利他的な遺伝子』の解明に進んでいきます。
結論的には、利他性は、社会的な生き物としてのヒトが、その社会によりよく適合していくことが、結果として生存可能性を高めたこと、それと、発達した脳が他者の感情を理解したり、共感したりする能力に長けていたことから、利他性を身につけたということらしいです。
うーん、最後はちょっと弱い感じですが、でも全体としては、久しぶりにサイエンスジャンルの読み物で、いつもと違う脳ミソが刺激されている感覚を楽しめました。
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性格や感情についての遺伝子やホルモンのことが、専門的ながらも個人のエピソードを交えながら書かれていて、素人が読んでも勉強になり、また楽しめる内容でした。
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ヒトを利他行動に駆り立てるのは本能である。脳科学、遺伝子、分子生物学と聞くと難しそうだが、そうでもない。教育に関心があるなら読むとおもしろい。胎児の細胞が母親の脳にも入り込み、細胞の修復などをしている、など、科学的な発見についてもとてもおもしろい。
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今年の抱負②:通勤読書の11冊目を読み終わりました。
人には、誰かの役に立ちたいとかいった感情がある、という考察です。プロローグで、アメリカのアーミッシュの村で起こった、銃立てこもり事件について、筆者の印象が書かれていて、非常に興味をそそられたのですが、内容的にはセロトニンとかドーパミンとかいった脳の話がメインだったのかな?
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利他的に生命を投げ出したアーミッシュの話ではじまります。人に(そして動物にも稀に)ある利他の根源を探ろうとする本。
タイトルには、「利己的な遺伝子」へのアンチテーゼであろう「遺伝子」がついていますが、あんまり「遺伝子」という印象が残りませんでした。
利他が本能で、利己を科学的に証明することは、後ろめたさの隠蔽だといいます。僕は逆かな、なんて思うのだけど。
利己と利他、どちらもなければ生きていけない。面倒な生き物にうまれちゃったなあと感じる一冊。
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3,4歳の他人と自分の違いが判断できる頃に利他の本能が目覚める。
母と子の信頼感が前提である。いつもそばにいる特定の人が必要である。という・・・・子育ての大切さを感じました。
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利他的な遺伝子 ヒトにモラルはあるか。柳澤喜一郎先生の著書。世の中の多くの問題はヒトが利己的で自分第一主義であることが原因。遺伝子で見るとヒトは利己的で自分第一主義であるのが定説だけれど、柳澤喜一郎先生のご主張によるとヒトには利他的な行動や感情を呼び起こす何かが潜んでいる。利己的ではなくて利他的なヒトが増えれば、人間同士の争いが減って、外交問題や紛争問題、地球環境問題も解決に向かうと思えました。
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前半は脳の構造の話、後半は人間の利己性や利他性の話。
結局脳のこうした機能は社会性にあるって事を言いたいのかな。
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凶悪犯人の構えるピストルの前に自ら犠牲になると申し出て、多くの子どもたちの命の身代わりとなった少女のエピソードから本書は始まる。なぜ人には利他的な行動があり、それを美徳と考える傾向にあるのか。本書はそれを脳科学の問題として説明する。
脳が様々な身体作用の一つとして機能し、精神もまたその上に形成されるものであるという例がいくつも示された上で、凶悪な行動にも遺伝子的な要因もあると述べられている。ただしそれは環境によって発動せずに終わることも可能であるとも述べられる。
利他的な行動は人間以外の脳が発達した動物にも見られるという。転落した少女を救った動物園のゴリラや、津波被害から通りすがりの人を救った象の例が挙げられている。脳が発達した動物には利己的な行動とともに利他的な行動も見られ、いずれも本能が働いているというのだ。利他的な本能は発生的には新しくより快感を感じる傾向にあると述べられている。
性善説という倫理学の用語がこれとどう絡むのか気になってきた。私たちが道徳と呼んでいるものが何に由来しているのか。本書は再考するきっかけを与えてくれる。
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第1章 人の性格を読む
第2章 本能か学習か
第3章 行動と脳
第4章 ヒトを変える脳内物質
第5章 信頼と愛情を生みだすホルモン
第6章 人はなぜキレるのか
第7章 三歳児神話はほんとうか
第8章 利他性はどこからくるか
第9章 利他的な遺伝子