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何という鮮やかな小説!
匂いも、味も、色も、温度も、
くっきりと想像できました。
美味しい本を読んで、「食べたい!」
「お腹が空いた!」と思うことは多いですが、
この小説を読んだら「もうお腹いっぱい!」
「とても美味しかった!」と思いました。
「透明な夜の香り」では、
嗅覚なのか色覚なのか味覚なのか
五感が分散されてしまって
いまいち集中できなかったのですが、
このお話はお菓子を中心に
そこから色々なものが見えてきて
わかりやすかったです。
とてもワクワクしました。
主人公の女性の真っ直ぐで、
でもちょっと未熟で、
周りから愛されていて、
頑張っている姿が
甘さと酸味とがミックスされた
ケーキのようでした。
私は例えばチョコレートは
チョコレートだけで、
ただひたすら濃厚でシンプルな味が
好きです。
アクセントのフルーツなどは
邪魔だとすら思っていました。
チョコレートの中にある香りを味わいたい。
ケーキも全般にシンプルで
短調なものが好きです。
しかしこの小説では、確か3回ほど
「甘さが短調になる」という表現が
出てきました。
だからフルーツと合わせたり、
ソースを添えたり香りを足すと。
主人公が作るケーキは
私が今まで好きだと思っていたケーキとは
違う種類のものだと思いました。
でも、食べてみたい。
彼女の作るケーキを
食べてみたいなと思いました。
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主人公をメインにしの周辺の人たち目線の話をお菓子をモチーフにしている。
ちょっと不思議な、よくあるような話。
思ったよりほんわり終わってよかった。
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おじいちゃんが経営している、昔ながらの洋菓子店『プティ・フール』で菓子作りをしている主人公の亜樹と、亜樹の婚約者の裕介、以前同じ職場で働いていた後輩のスミタカくんなど、亜樹を取り巻く登場人物それぞれの心情をお菓子を題材にした章ごとに描いた物語。
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千早茜さんの作品はこれで2作品目だが、
各章でそれぞれの登場人物を主人公にして
作品を作られるタイプなのかな。
登場人物みんなが、気持ちが相手に向いていないというか、読んでいて、なんだかすれ違い?
のようなズレを感じた。
おじいちゃんと、おじいちゃんと同年代で
紅茶屋さんの長岡さんは
さすが長年生きているだけあって、
この若者たちの複雑な心情を理解しているなと思った。
長岡さんの
『結婚できるって幸せなことだよ。
法が愛を守ってくれて家族になれる。
当たり前の選択肢だと思っているのかも
しれないけど、誰もが選べるわけじゃない』
という台詞は、結婚に対して新たな価値観を
考えさせてくれた。
夫婦同士、男女同ケンカすることも悪くはない
ということを
肝に銘じていこう。
そして、私も裕介と同じく、
菓子名の横文字が覚えられなかった笑。
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洋菓子にひかれて手に取った。
本中に出てくる菓子、食感や色が描かれていて、とても食べたくなった。
キリっとした人は甘えたい人を拒絶する。甘いお菓子を作る主人公はキリった人で、物語の最後は、甘さのゆるみを得ていた。私もキリっとしていた時期があったので、その時に読んでみたかったなと思った。
じいちゃんの店を引き継ぎ、イートインスペースへ。名古屋市北区のCAFE TANAKAを思い出した。
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甘い話ではなく、ほろ苦い話。
かわいいオシャレな女の子ではなく、芯を持った職人の話。
少しせつなく、もどかしい話だった。
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ああ、こういう物語が私は好きなんだなぁ……と感じた1冊だった。
登場人物が全員、自分の気持ちを口にしないの。言わない、知らない、見えない。唯一澄孝君だけは口にする。
だから、応援したくなる。
とにかく、じいちゃんがかっけぇ。1番ミステリアスで魅力的
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最後の、あきとじいちゃんが喧嘩する場面でこの本の評価がググッと上がりました。
酸いも甘いも知り尽くしているじいちゃんが本当にすごい。
それと、このお話に登場する女性たちはみんな色々あるけれど心の奥はまっすぐで、最後には前向きなパワーに溢れているのが美しかったです。
プティ・フールはこの女性たちのことでもあるのかもな、なんて思いました。
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とにかくケーキが食べたくなる
難しいフランス語のケーキの名前
あー、どれにしよう
迷ってしまう
ながめて、そっと口に入れた時の至福
つくる人は……
ちょっともどかしい職人気質
ラストはほんわり甘かった
≪ パティシエは 科学と体感 明日へと ≫
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登場人物それぞれの視点で語られる6つの連作短編集♪
フランスで修業経験のあるパティシエの亜樹は働いていたパティスリーを辞め、商店街にあるおじいちゃんの西洋菓子店を手伝い始める。
お菓子作りの描写がとても繊細で、目の前に美しい宝石のようなお菓子がある気がします。無性にケーキが食べたくなりました♪
厳しさと優しさ溢れる職人のおじいさんが素敵。
優しい物語でした。
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東京の下町の商店街の中ほどに位置する西洋菓子店『プティ・フール』にまつわる短編。人生の甘味、苦味、酸味などをお菓子の味や食感、香りや見た目になぞらえていて、文字通り味わい深い物語でした。小粒だけどいろいろとバリエーションを味わえる素敵な物語集でした。実際に、出てきた洋菓子を味わってみたいです。
美味しいお菓子や小説は心の栄養、なんですね!
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文字として表現された甘い食べもので
幸せな気持ちになるってすごいことだと思う。
ピュイ・ダムールのところすき。
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目次からもうときめいた。ありきたりなラブストーリーじゃなくて好きだった。特に亜樹の強がりで素直になれないところはとても共感できる。
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本の始まりから、じいちゃんの
口の悪さや口癖が失礼だなと
笑ってしまいました(笑)
「スイーツ」というものを、色んな視点で捉えて書いたようなお話。
ただの甘くて美味しい食べもの、ではなくて
人それぞれ「スイーツ」に向けていく想いは
違うんだなと。
シュークリームを食べたくなったときは
朝一で買いに行こうと思います。
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人間の持つ弱さ・厳しさ・優しさをとても繊細にそしてとても丁寧に描いている。 僕が作者の作品が好きな大きな理由。 甘いもの(特に洋菓子)に目が無いので作品の題材にも惹かれる。 読後感がとても清々しいと言うか心が落ち着く感がある。 安定の内容。
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昔ながらの商店街にある、昔ながらの洋菓子店、プティ・フール。
そこを舞台に、ほっこりした物語が展開するのかと思いきや、いい意味で裏切られた。
甘いだけでなく、コクや苦み、酸味、渋みがある複雑な味わいがあるスイーツのような複雑な味わいが癖になる小説。
主人公の亜樹の祖父は、昔気質の菓子職人。
学校で理論的に学んだわけではなく、自分の目と手で、理想的な菓子作りを身につけてきたたたき上げの職人。
こういうじいちゃんが、「菓子の魅力は背徳感」とか、「女を昂奮させない菓子は菓子じゃねえ」とか言う。
じいちゃんと秘密を分かち合う、近所の紅茶店のマスター、長岡さんも素敵なおじさまだ。
美しいものを売ることにプライドを持つ、ネイリストのミナは、十年後、きっと魅力的な女性に成長しそうな感じがする。
かつての同級生珠香、プティ・フルールの客で夫の浮気に苦しむ摂食障害の美佐江など、痛々しい女性たちも印象的だ。
優秀な菓子職人だが、頑ななところがある亜樹がどんなふうに年を重ねていくのか、知りたくなる。