コーヒー牛乳とカエル
2019/05/04 19:31
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
コピー人形達が、生物学、生命工学、哲学、倫理学、環境問題等を自我に搦めて語っていく、諸星大二郎の世界観を彷彿とさせる小説。
シロクマは謎のままで”アール!”
2018/12/27 00:17
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投稿者:くろくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
シロクマ好きとしては、この表紙を素通りするわけにはいかず、手に取ってページを開けば、冒頭の「シロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。」の一文が飛び込んできました。これは買わなければ。
主人公の男、往本(おうもと)は、動物レプリカを製造する工場の品質管理部で働いている。
ある夜、残業中に見かけたシロクマも、製品の一体が置きっぱなしにされているものと思ったのだが……
往本がひとり、シロクマの謎を追う、ハードボイルドな展開になるのかと思いきや、
クセのある同僚たちも登場し、ナンセンスな方向へ。
そして、訳のわからなさが加速していきます。
結論を求めて、一気に読み進めましたが、わからないままで終わりました。
最後のシーンは好きですが、もうちょっとこの世界を知るためのヒントが欲しかったです。
クマ好きとして買いました。
2021/07/24 22:21
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投稿者:あこや - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらゆるクマが好きな人間なので、タイトルと表紙、少しの紹介文で即、買いました。不思議でとても興味をそそられる内容なので読むのが楽しみです。少し怖そう?だこら昼間に読みます。
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新潮ミステリー大賞受賞作。
『ミステリー大賞』というジャンルを限定した賞だが、本書はミステリか? と考えると、『違う』と言わざるを得ない。そういう意味では、面白い作品は、例え少々のカテゴリエラーがあったとしても受賞するものなのだろう。個人的には純文学系でも、SF・ファンタジー系の賞でも、これならば受賞作になったのではないか、という気がする。
要するに面白いので、この機会に買うといいよ! というお話。
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シロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。そんな書き出しから始まる、意味のわからない、でも疾走感に包まれた衝撃的な作品。株式会社トーヨーという動物レプリカ工場の品質管理部に勤める往本はある夜、工場内で動いているシロクマを目撃する。全てはそこから始まり、往本は様々な事件に巻き込まれていく。後ろの解説にも書いてあるが、この作品はあらすじを書きづらい。途中まではいいが、徐々に一本の線の上で収められるような道筋がないことに気づく。しかしながら、そんなわけのわからない展開続きの中でも一つだけ、一貫して問われることがある。それは人間の自我であり、我々が自我を持つ人間であることの不確定さだ。私たちはどうして私たちが「本物の私」であることを信じているのか。本当は「本物の私」だと思っているものがレプリカかもしれないのに…とここでこの作品が「新潮ミステリー大賞」を受賞した、ということに疑問を抱き、「むしろSFじゃね?」とも考えたりした。
またこの作品がすごいと思ったのは表面上起こっている展開がどれだけぶっ飛んでいても、「うむ、なるほど一理ある」とどこか納得してしまうところだ。個性の上に個性をさらに重ねた「粒山」と「うみみず」という二人のキャラクターの長々としたセリフは語感がよく、頭の中で心地よく流れる。それに過激ではあるが、妙に説得力もある。時にフッと笑ってしまうようなロドリゲス姉妹の掛け合いや、自称粒山の妻のナシエの奇行もこの作品の中では重要な歯車の一つだった。
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一ページ目からとても魅力的。謎めいていて不思議な、よくわからない世界が広がっている。さまざまな動物が絶滅している時代に動物のレプリカを作るという仕事。登場人物たちの良さとどこに進んでいくのか、この先どうなっていくのか予測がつかない展開。自分の見ているものは何なのか。世界のその奥深くにある隠されたもの。人間と地球、人間と動物というものの関係に想いを馳せながら読んだ。
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冒頭から
白昼夢に引きずり込まれたような感覚になり、
常に言い知れぬ不安がつきまとうような展開に、
ページをめくる手が休まりませんでした。
この不安は、
古来より人間が抱える〝生命とは何か?〟
〝わたくしとは何か?〟という、
根源的な問い掛けからくるものだと思われます。
時代設定も、場所の設定も曖昧ですが、
そのふわふわとした曖昧さが、
かえって効果を発揮しています。
第2回新潮ミステリー大賞を受賞した
作者のデビュー作だそうですが、
ミステリーというより
不条理小説といった方がよいかもしれませんネ。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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賛否両論渦巻くレビューを読んでの躊躇を怖いもの見たさが勝ってしまった。読み進める程に、新潮ミステリー大賞でなく、講談社メフィスト賞かハヤカワSFコンテストの間違いでは…?という疑念は深まるばかり。ディストピアSFに当て嵌めてみたものの、しっくり収まるジャンルは現存しない気も。荒唐無稽を通り越し、最早支離滅裂なのに、妙に惹かれるこの奇妙さ。沼田まほかる作品の如く【問答無用の引力】を発する怪作。余談:作中の『何があってもおかしくない世の中ですから』という台詞は某憑き物落としの古書店主へのアンチテーゼの様な…。
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ミステリかそうじゃないかとか
評価が高いか低いかとか
そんなことはどうでもいい
意味がわからん。
でも
なんか面白かった。
変な本だけど。
もう一歩踏み込みたかったかな。
置いていったものが多すぎる。
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この物語の中には、真実と呼べるものはないけれど、真実らしきものはちらほら散見される。現実と呼べるものは結局のところ記憶でしかなくて、事実というものは主観によって変わる解釈でしかない。主人公を含む登場人物も一貫してつかみどころのない奇怪な人たちばかりで、繰り広げられる会話は何らかの問いと回答の繰り返しではあるものの、そこに必然性はなく、向かう方向も、向かうべき場所も、あまりあてにならない。何が確かなのか、ということの前提として、自分とは何なのか、自分は果たして自分なのか、という問題意識は一貫しているけれど、結局は答えを得られずに終わる。そしてよく歩く。物語は決して核心には迫らない。その周縁をただたださまようばかりだ。その体裁だけならば、カフカの『城』やブランショの『至高者』のようでもあるけれど、この作品はそのような晦渋をろ過した『ねじ式』のような夢だと思う。すべては何らかのモチーフではあるはずなのに、そこに迫ると消え失せてしまうような雲をつかむような小説。理路整然とした起承転結を好む読者には向かない。傑作というよりは、明らかに怪作。
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文庫の帯と表紙の絵に惹かれて購入しました。意味不明、不可思議なストーリー展開なのに引き込まれました。往本の身に次から次へとおかしなことがおこり、着いて行くのでやっとになってしまいました。あまりに突飛でおかしな世界でした。ミステリでもありますが近未来SF感が強いです。ぞわぞわする気持ち悪さが癖になる。オチがゾッとしました。やはりミステリだなぁと。この世界観をまた味わいたいです。
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始めは1本の線だったのが、先に進むにつれて次第に先端がほつれ始めて無数の枝に分岐して、最終的に今どこにいるのか分からない。終わりの見えない迷路を延々歩かされているような、不安と苛立ちを感じるストーリー。それでいて、先が気になって途中で投げ出すことができない。
何処から始まったのか分かりませんが、悪夢を見ているかのようでした。
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解説で、ディックリスペクトだって言われてたけど、確かにそんな世界観。ミステリではない‥
感想はとても難しい。文学とか哲学専攻の博論みたいな。好きな人はワーッて盛り上がれるけど、普通の人は引いちゃって入り込めない議論みたいな。
著者は性格めんどくさい人そう(褒めてる)
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ずっと意味わかんない展開なのにどんどん
読み進めてしまったのが不思議。
解説にある「この私という自我の不確かさ」という
一度その不安というか奇妙な違和感を持ってしまえば何もが疑わしくなってしまいそう。
ラストシーンの映像が目に浮かんだ。
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どのジャンルか迷うが強いて言えばSF。
あらすじ(背表紙より)
動物レプリカ工場に勤める往本がシロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。絶滅したはずの本物か、産業スパイか。「シロクマを殺せ」と工場長に命じられた往本は、混沌と不条理の世界に迷い込む。卓越したユーモアと圧倒的筆力で描き出すデヴィッド・リンチ的世界観。選考会を騒然とさせた新潮ミステリー大賞受賞作。「わかりませんよ。何があってもおかしくはない世の中ですから」。