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三巻、激闘編。最後は涙モノだ。
たぶん、全4巻の中で一番悲しい話。
勝負の相手は容赦なく裏切る。もとより仲間などではないのだ、と1巻から何度も何度も言ってたけれど。はじめは主人公の哲也が気持よく勝ってて読んでて気持ちいい。だけど最後では一変して負ける。
─「そうら、風がかわった」
博打とは暴力の変化形ではないか、と思わず感想する。
ドサ健は、妙に馴れ馴れしくなったり、でもやっぱり自分に不利な場面では平気で裏切る。改めて傷つく。本当にクズいな~と。だけど哲也はそうは思わないんだな。きっと同じ勝負師だから。自分がツイてないせいなんだ、と。
基本的に麻雀放浪記の1巻~4巻は独立した話なんだけど、1巻を読んでないと最後の感動のところが理解できない。
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前作「風雲編」から時代はさらに進んで、昭和二十年代も末の頃でしょうか。
東京へ舞い戻った哲ですが、社会はさらに安定期に向かい、風来坊の自由人が腰を落ち着ける場所はますます少なくなっています。
ゴト師の世界も、裏社会に取り込まれ、組織化されて、一匹狼の勝負師が生きていけるところではなくなっている。
そういえば、反社会的とはいえ、ヤクザ屋さんたちも「組織の中の人」である点で、会社員と立場は変わらないんだなあと変なところで感心。
勇さんのように、組織に属しながらも一線を画しつつ、悠々と泳いでいく魅力的な登場人物も出てこないわけではありませんが、哲ちゃんの就職に象徴されるように、この巻は、勇ましいタイトルのわりにはこじんまりとしています。
その中で一人気を吐くのが、再登場のドタ健。
このアイデアとガッツ、典型的な起業家タイプで、虚業がまかりとおる今の世の中だったら、いくらでも活躍の場がありそうなものですが…。
ホリエモンもセショウ氏も、ある種のバクチ打ち。結局シロトをカモるみたいな格好になったのはまずかったけど、ツイてる間はさぞ楽しかっただろうな。
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博打打ち坊や哲の博打人生。自分の力だけを信じ、危険だが濃く生きる様はカッコいい。麻雀を覚えた大学生の時に読むともっと感化されていたかもな。
私も含め現代男性にはこの自分の信じた物に掛ける、力を尽くすと言った濃さがもっと必要なのではないかと思う。
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3作目。麻雀で勝てない姿や負けを踏み倒そうとする哲の姿が坊やじゃなくなっていく。だが、それが妙にカッコいい。青春小説のような青臭さが薄くなるかわりに、アウトロー感が濃くなったのだ。こんなテイストもいい。
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暴力についての章である。これはギャンブルの世界の話とはまったく関係のないことなのだ。暴力とは世界の外側にあるやり取りのことで、獣のような生き方をする私にとって世界は私だけで、あとは外側ならば残るは暴力しかないのであるから、この章がもっともシリーズの中で濃厚なのだ。
しかしはっきり言って弥栄のような女を掴もうとするからこうなるのであって、4巻に彼が生き延びたのは、そこから逃げたゆえだろう。
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出勤の電車でとろとろ読みながら読了。
博打に負け、無一文になって、どうしようもなくどん底の時のほうが、人が生き生きと描かれている。
そういう人たちの心境にあこがれつつも、職場に向かうという複雑さ。
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焼跡が消え勤め人が増え始めた昭和30年前後の東京が舞台。鎌倉、自由が丘、上野、新橋の街の姿がビビッドに描かれる。登場人物たちがことごとく性格破綻した悪党たちなのが面白い。