紙の本
戦後フランスの入門書
2018/12/22 12:55
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在フランスのマクロン政権は、財政問題、雇用問題、移民難民問題などで揺れています。戦後から現在までのフランスの歩みが、簡潔に概観できる一冊です。大学生や社会人の入門書として最適です。
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20190203〜0214 第二次世界大戦前後から2018年のマクロン政権誕生までを網羅。フランスの政治体制はいまひとつわかりにくかったのだが、著者とともに一世代ずつ確認していった感じ。フランス政治は「揺蕩えども沈まず」だなあ。今はまた左右のポピュリズムからの攻撃を受けているけど。
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「フランスは分裂と統合の弁証法」のプロセスを生きている、と著者が言います。フランス革命をはじめとして、フランスは近現代の歴史の中で、幾度も国内での対立を統合する新しい力が生まれて、新しいフランスが生まれてくる、と。
フランスの特徴として良く上げられるディリシズム(国家介入主義)、テクノクラートによる政治・経済界の支配、失業や移民問題が、第二次世界大戦後の時間軸に沿って明快に解説されています。
またフランスの現在の政治状況を、a) 親欧州/経済自由主義とその反対および b)親移民受入/文化多元主義とその反対という2つのベクトルにより分類しています。環境など他にもベクトルはあるのでしょうが、フランスの政治が主としてこの二つの方向性政策の軸としている、という筆者の観点は説得があるように思えました。
フランスは理念の国と言われますが、確かにフランス人は政治なり世界観なり、個人の立ち位置が日本人に比して明確かつ、それを主張することを躊躇しないという特徴があると思います。すなわち分裂の危険を孕む社会構造と言えますが、国としての一方で愛国心は強く、solidaliteというフランス語である連帯の精神が根ざしているのもまた事実です。
こうした相反する特徴が著者の言う、分裂と統合の弁証法を可能にしているのでしょうか。
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1944年8月25日のドゴールによる「市役所の演説」から
2017年5月のマクロン大統領選出までのフランス政治史を
「分裂と統合の弁証法」の視点から解説したもの。
70年を超える時間を新書で200ページほどにまとめているため、
各時期の政治の流れの概説といった感じになっていますが、
文章は読みやすく、フランス政治史に興味を持った人が
手に取ってみるには良い本だと思います。
ところで、90年代のテロリズムの隆盛を語っている部分で、
『テロリズム対策として、(中略)、兵士や武装警官が
軽機関銃をかかえて鉄道駅や空港をパトロールするようになった』
という記述がありますが、軽機関銃ではなく短機関銃ですね。
また、私が見た限り、少なくとも90年代後半以降では、
パトロールや警備をする兵士は短機関銃ではなく
制式自動小銃であるFA-MASを装備していました。
余談ですが、90年代後半ではまだ弾倉は装着していないことが多かったのに
2010年代ではパリの観光地の警備をしている兵士でも弾倉を装着していたことが
印象に残っています。
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フランスの戦後史を概観する本。ただ、少し専門的な内容で、一般人にはとっつきづらい。フランス史を学ぶ学生にはちょうどいいかもしれない。