紙の本
少しずつ前進していけばいい
2021/03/27 22:03
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「アカペラ」「ブルーもしくはブルー」の作者、山本文緒氏の短編集。10編の心や体が傷ついた人たちの物語、骨粗鬆症、皮膚炎、便秘、突発性難聴、睡眠障害、生理痛、アルコール依存症、肥満、自律神経失調症、味覚障害と、辛い彼女たちの症状は様々だけど、希望がみえる結末になっていることがありがたい。作者自身が直木賞受賞後にうつ病を発症した経験がある人だけに、彼女たちを後押ししたいという気持ちが文体にこめられている気がする。男性中心の社会への反発も彼女らしい表現でぶちまけられている、「ペニスなんか大きくたって小さくたってどれも同じだ。私にとってそんなものは道具と変わらない。単に自慰に男を使っていることに、どうして、彼らは気が付かないのだろう」、すごいことを書いている、なぜか納得してしまう
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現代人はいろんな病気に侵されてるねぇ。
そんな短編集。
もうちょっとスッキリさせてほしかったな。モヤッと感が残る。
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現代の人々の《病》を上手に切り取っているな、と感じました。
特にイルカ療法が好きです。
病を治すのは、きっと薬ばかりじゃないですね。
人との関係性が病を治していく過程が素敵でした。
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20年前の小説なので、ところどころ描写が古いところがあるものの、人の気持ちはいつだろうと変わらないのだなぁと思いました。
「秤の上の小さな子供」が1番ウッと来たかも。
私も「愛されたい」側で、「愛す」側に辿り着ける気がしない。
自分が好きじゃないから、誰かに好きになってほしい、大事にしてほしい。そうじゃないと、生きることもままならないくらい辛い。
愛されたいの理由はそれぞれ大小あれど、人がほしい言葉をほしいタイミングで掛けられる人は、そりりゃあモテるよね。
それが「愛したい」って気持ちじゃなくて、「あぁ、こういうこと言って欲しいんだな」って気持ちからでも、全然取り繕えちゃうし。
自分が思ったから言う、とかじゃくて、相手の求めてることばかり口にするから、自分がなくなっちゃうんだろうな。
塩梅を間違えると、どちら側になっても辛い気持ちを抱えたままになるから難しい。
「過剰愛情失調症」はホラーかと思った(笑)
他人に何を言われても、よっぽどのことがない限り、人は変わらないね。
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面白かった。面白かったんだけど、「病気」がテーマの短編集だから、なんとなく心に負担になってしまったかな。自分がナイーブな時期には向かないかも。痛みが伝わりすぎてしまうから。
でもとても読みやすかった。
アルコール中毒の話のラスト1ページ、情景が美しかったなぁ。
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現代人が抱える病を題材にした短編集。それら病に直接関わっていなくてもズキリと胸が痛む。個人的な感想だけど、「過剰愛情失調症」だけ異質に感じた。語り手は恋人でヒロインの独白もなし。ヒロインは二重三重の思い込みに晒され更にストレスを抱える展開ではと勝手に想像。見事。真意をお聞きしたかった
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様々な病気をテーマに書かれた短編集。
骨粗鬆症や肥満、アトピー性皮膚炎、自律神経失調症など病気は多岐に渡る。
全編を通して言えるのは「自分に嘘をつかないこと」の大切さじゃなかろうか?
原因不明の病気や症状が出ることに、環境や自分の力ではどうしようも無い事も多々ある。
しかしながら、自分の心に正直に生きることは自分次第でできること。
山本文緒さんはそういった女性へのエールを込めて作品を書かれたのではないだろうか
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★3.7
昨年亡くなられた山本文緒さん
調べてみたら恋愛小説家として有名だったようだが、恋愛小説にあまり詳しくない私は恥ずかしながら知らなかった。
昨年から本をめちゃくちゃ読むようになってきたときに、秋頃、山本文緒さんが亡くなられたこと、それを受けて悲しむ数々の著名人の方のコメントをみて、いつかこの方の作品を読んでみたい、と思い、見かけておもしろそうなものがあれば買ってみよう、というくらいの心持ちでいた。
新年早々、実家近くの書店でたまたま見つけたこの本。
短編の集まりのタイトルごとに、何の病気かが書いてあり、なにこれおもしろそう、と手をとった。
短編の病気、全部患ったことはないけれどいくつか実際になったことがあるもの、なりかけたことがあるもの、なりそうなものばかりで、”ねむらぬテレフォン”のように共感ばかりのものもあったり、なんとも医学的には説明しがたい描写も現実的に書いていて、ただ薬飲んでおけばいいのではなく、精神と身体は繋がっているという当たり前のことに気づく
そして、“夏の空色”のように救われるものもあれば(短編の中ではやっぱりこれが一番好き)、”月も見ていない”のような、読んでるこっちがただただしんどいものもあり、でも苦しくとも読み進めたい、、みたいな感覚に。脳内花畑になりがちな自分にもぐさっと、現実ってこんなものって冷たく突き付けて我に返るきもちになる。
心身不調になるのは、なぜだかわからない、ということ決してなく、絶対に奥深くにちゃんと理由が存在していていて、
でも逆にそこから再生していくきっかけになることは、案外、その原因と真っ向から対峙するだけではなく(できて戦える力があるのであればそれでもいいけど)、あまり直接的に関係ないふとしたことがきっかけになってくれたりするものなのかもな、と思う。
この物語にいる人々がじんわり再生しようとする姿を想像していくと、じぶんにも、だいじょうぶ、と言ってあげたい気持ちになる
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色々なタイプの病気
心の引っ掛かりから 病気(1話1話にさまざまな病名が付いている)になった 女性たちの話
少し、突飛ない話もあるが
いつ何時 誰もがなってもおかしくはないと思う
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「夏の空色」「秤の上の小さな子供」の2編が特に好き。「夏の空色」では主人公の背景や気持ちが書かれていたが、咲視点の話も読んでみたい。「秤の上の〜」は女性同士の友情、嫉妬、憧れなど複雑ながら互いに相手をよく見ている関係がわかる。
この2編は、登場人物2人の感情の描写が良く、互いの関係性が強く出ていて良かったと思う。
自覚有る無しに関わらず、様々なストレスから心身に異常を来すのは、今も昔も変わらない。ただ、自覚しなければ解決できないので、自分の気持ちには敏感になりたいと感じた。
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誰もが耳にする病気がテーマになっている短編集。
心因性のものが多く
ストレスを抱えやすい現代に身近に感じる。
気づけていないだけで悩んでいる人もいるだろうし
私も何か抱えていてそのうち出てくるのかも。
なんて、ストレスは溜め込まないことがいちばん。
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読んでいて、あーわかるよその気持ち、そんなこともしたくなるよね、そう思うこともあるよねと、共感することもあれば、なるほどおもしろいなと読む話もあった
きっと女性なら誰でも1回くらいは体験したことが多いであろう話が多いと思う
もう一度読みたい
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以前読んだ『プラナリア』が面白かったので、違う小説も読んでみたいと思い購入。
本作は味覚障害、アトピー性皮膚炎、突発性難聴などなんらかの問題を抱えた女性が主人公の短編小説。
一編は約30ページくらいで非常にすっきりとしたボリュームで読みやすく、また作者さんの文章も非常にお上手なので最後まで退屈せずに読めた。
一番印象に残ったのは『夏の空色』。
昼間からビールをガブガブと飲んでしまうアルコール依存性の女性の物語なのだけど、まさかその女性というのが高校生だとは思っていなかったので斬新な設定でいいなあと思った。
アルコール依存性になった背景、ラストにおける主人公の心境の変化、この二点がしっかりと描かれていて、30ページながらも非常に読みごたえがある作品だった。
この作者さんの作品を二作読んでどちらも当たりだったので、ちがう小説も近いうちに買おうとおもっている。
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病は気から。気は病から。サブタイトルに病名を冠した10編の短編を収録。その病を核に物語が紡がれる。ストーリテリングがとても上手い。
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骨粗鬆症、アトピー性皮膚炎、便秘、生理痛、、どれも病気ではないけど、コンプレックスを抱えながら生きてる彼女たち。