若い読者のための宗教史 みんなのレビュー
- リチャード・ホロウェイ, 上杉隼人, 片桐恵里
- 税込価格:3,520円(32pt)
- 出版社:すばる舎
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2019/04/28 20:39
投稿元:
高品質なリトルヒストリーシリーズの最新刊は、こと日本においては意識されない(意識することがタブー視されているきらいもある)宗教について。
いわゆる四大宗教にとどまらず、歴史のうねりの中で生まれ、形を変えてきた様々な宗教たち。
また、一つの大きな宗教からの分裂(カトリック/プロテスタントが最たる例)であったり、宗教と政治、宗教と暴力、そして宗教間で相互に及ぼした影響など時間軸、空間軸を掘り下げながら生々しい事実が語られる。
宗教と触れ合う機会が少ない(数としては少なくないが、極めて浅い)日本人にとって、世界情勢のバックグラウンドを捉えるためにはこういった宗教の大きな流れを抑えておくことは重要なのではなかろうか
2019/06/14 10:59
投稿元:
これまでのシリーズと違って、単線的な記述では無い。「ジグザク」進む。
宗教の定義が一神教的な神を前提にしているのが気になるが、欧米の出版だから、ある程度の偏りは飲み込むか。
そのような制約はあるものの、宗教の話題を幅広く扱っており、読後は圧巻だ。過去と現在をめぐる記述に嫌気も可能性も感じる。
シク教とクエーカー教が好み。
#メモ
・ジャイナ教が非暴力運動の源流
・煉獄が認められたのは12世紀
2019/07/26 18:11
投稿元:
世界中を旅するような気になる。東洋、西洋の括りを超えて、ワールドワイドに宗教史がまとめられていた。イスラム、中国、インド、日本、中東、なんでもある。
キリスト教の偉い人が書いているというのが、また凄い。自分の価値観を持ちつつ、多様性を受け入れるとは、まさにこのことだ。
一般の人がなかなか理解しづらい、ファンダメンタリストの思考を説明していたのも興味深い。自分の考えを曲げない、そういう人もいる。
世俗的ヒューマニズムという考え方には、日本で生活の中で馴染みがあった。オープンに様々な価値観を受け入れる。日本人の柔軟性は、ある側面では、世界に誇れるところだとおもう。
2020/11/25 12:52
投稿元:
この章から小段落にページ数追加
○chapter15 行く道(道教、中国の仏教(禅宗、チベット密教))N1574
・儒教は分かりやすいかもしれないが、まじめな宗教であり、さほど楽しいことは期待できない
↓↑
・道教という中国のもうひとつの伝統的宗教はその逆
理解しにくいが、感じがつかめると楽しめるかもしれない
↓
・道教の開祖たちもほかの宗教の賢人たちと同じように何かに気づいたが、その何かをどこに求めたかが他の宗教とは異なる
↓
・道士(道教を修めた者)は他の宗教とは異なり、この世を見る
↓
この世の一体化と相互依存、どのように結びついているかに感銘を受ける
↓↑
この世の人間は自意識によって自然のリズムから切り離されるので、宇宙と同調できない
↓
自然との調和を回復し、その鼓動に従って生きれば、安らぎが得られる
↓↑
・道士は人々の宇宙の「道」に従って生きるようにと勧める
↓↑
その道とは何なのかは説明してくれない
道について知らなければ、道について学ぶことはできないという
←
人生で何かに深刻な思いで取り組むあまり、実現できなくなってしまったことを思い出す
↓
もがくのをやめたら、実現できたこともある
自転車のバランスがとれるようになって、自分が乗れることに気づいた時などがそうだ
↓
バランスが鍵だ。そしてバランスを会得した者だけが、バランスとは何かが分かる
→仏教で、亀が魚に陸で生きることを説明しようとしたのに分かってもらえなかった話に似てるな。陸という別の世界が何かを知らなければ、学ぶこともできないし、説明しても伝わらない。
↓
・同じようなバランスを、生き方やかかわりあい方、他者だけではなく宇宙全体と関わり合う方法において見つけ出すことが求められる
↓↓
・こうした生き方を支持しているのは、老子と呼ばれる哲学者
←孔子より年長だが同じ時代を生きていた
↓
老子は紀元前6世紀に生まれ、中国の皇帝のひとりに記録保管係として仕えた
↓
・自らの生き方を説明するように求められて、彼は『老子』または『道徳経』と呼ばれる、宗教史上または哲学史上、最も短く、最も尊ばれる書物のひとつを書いた
↓
・その非常に重要な概念は「バランス」と「相補性」だ
←自然界のすべてのものが互いに補う相手を持ち、そのふたつを陰と陽と呼んだ
↓
ふたつの違いを鮮明にするため、同氏は円の中を曲線で2等分し、半分を白、半分を黒に塗った図を描く。そして白と黒のそれぞれに、もう一方の色の点を含める
→勾玉みたいなやつ
↓
もう一方の中に自分自身を探すようにと教えている
←黒の中に白を、白の中に黒を
男性の中に女性を、女性の中に男性を
敵の中に友を、友の中に敵を
相手の宗教の中に自分の宗教を、自分の宗教の中に相手の宗教を
↓
・相手の立場に置かれた自分を想像するように���く孔子と似ていなくもない
↓↑↓
・老子はその考えに楽しい解釈を加えるN1607
↓
★私たちに多様性に堪えるようには求めず、多様性を楽しむように勧める
←世界は何百もの異なる楽器が協力して美しい音楽を奏でるひとつのオーケストラ
バランス、タイミング、ハーモニーが道の印となる
↓
・老子は、他者を制御しようとする者もバランスを崩してしまうと気付いた
↓
何をするにしても自分のやり方が唯一の方法だと信じる人は、押し付けようとする型に現実が当てはまらずイライラしてしまう
↓↓
・老子はいらだっている人々に、気を緩めて植物の生き方から学ぶように説くN1613
↓
植物は何かのやり方を教わる必要はなく、自然に従うだけだ
人間はなぜ同じようにできないのか?
↓
・何もせず、物事をあるがままにする生き方を老子は「無為」と呼んだ
↓
・彼は規制や規則を嫌い、強制的に管理しようとする人のやり方を嫌った
↓
管理しようとする人は人々の違いをたたえることなく、全ての人をこの世のそれぞれの枠に押し込めようとする
↓
・老子のような生き方を選ぶ人々は、アナーキスト(無政府主義者)と呼ばれる
↓↑
道士は政府を全面的に否定するほどではなく、政府の中にバランスや調和を望む
←社会での立法者の支配的な役割を警戒し、全ての人を同じ型にはめようと強制するやり方を嫌う
↓
社会の中でできる限り個人に自由を与えることを望む
↓↑
・無政府主義者の反対は法律尊重主義者であり、法律だけが人間の本質を管理できる唯一の方法だと考える人のこと
↓
競合する二つの生き方は陰と陽であり、それぞれに良い点がある
↓↑
法律尊重主義者は歴史上大きな力を持つまとめ役であり、滅多に手綱を緩めない
必要となれば、思い通りにするために戦争さえ仕掛ける
←老子は戦争を人間の調和を破壊するものとして嫌った
↓↓
・紀元前524年に老子がなくなった後も道教は発展し続けたN1631
↓
★そして道教は道を教えるだけでなく、多神教でもある
↓
最高神格の神々を天尊と呼び、この世の始まりに瞬時に誕生した
&
天尊という最高位の神々は天国で裁きを行い、それぞれ役割を持つ下位の神々に支えられている
&
★宇宙と同時に誕生した神々の他に、人間も神に、あるいは「不死の存在」になれる場合があるという
↓
不死の状態に到達するには、瞑想と欲望の抑制の段階を経て自己の不完全な部分を一掃する必要がある
←この過程は転生の輪からの解脱を成し遂げるのに仏陀が示すプロセスに似ている
↓↑
違っている点は、道士が宇宙を信奉している点だ
↓
道士にとって魂の極致は、涅槃の海に雨粒のように消えることではなく、自分が神として不死の存在となること
&
★道教が他の宗教と異なるのは、女性に与える立場
→珍しいね
↓
道教には女神だけではなく、女性の僧や学者もいて、その歴史上重要な役割を果たしてきた
↓
道教の哲学そのものに忠実に、女性の本質である陰も、男性の本質である陽とともに道教の指針だ
・道教と仏教は中国古来のものだが、3番目の宗教である仏教はインドから輸入されたもの(中国の仏教、禅宗)N1640
↓
・仏陀が野生のイチジクの木の下で悟りを開いたのち、その教えは、インド全土、東南アジア、中国、韓国、日本などに広がった
↓
・拡大するにつれて、仏陀の言葉の解釈の違いから競合する様々な宗派に分かれていった
↓
・本来の活動の厳格さを忠実に守ったのが「上座部仏教」
↓
上座部仏教にとって最も早い救済への道は、僧になること
←小乗仏教とも呼ばれる
有能な人にとっては悟りへのレーシングカーに乗るようなもの
↓↑
・「大乗仏教」は時間をかけて悟る必要がある普通の人々の為のバスのようなもの
↓
★このふたつの違いはスピードだけではなく、偶像崇拝の有無による
←宗教における大きな分裂は、偶像を好む者たちと嫌う者たちの間で起こるものだ
→仏教でもそれはあるんだねぇ
↓
・仏陀は偶像を拒絶したが、大衆向けの宗教では目に見えるものが好まれる
←仏教徒にとって仏陀自身のイメージほど崇拝するのに適したものが他にあるだろうか?
↓
仏像は驚くほど美しいものが多く、大乗仏教の伝統的な仏教寺院の中で最も尊いものとなった
↓
・紀元1~2世紀にシルクロードを通って中国に到達したのは、この形の仏教だ
↓
・仏教は根を下ろして中国の宗教を変え、中国によって変えられていった
↓
・中国では引き続き宗教に対して、実用的なアプローチが取られた
↓
異なる複数の伝統からそれぞれに最高の部分を取り出して混ぜるのに抵抗はなく、ひとつの信仰に固執することもなかった
→日本もこういう感覚あるよね
↓
仏教が道教に出会うと、その遭遇によって両方が変化した
↓↓
・その結果のひとつが禅宗だN1654
←禅とは瞑想を意味する中国語
↓
道に到達することは容易ではないが、禅はその焦らすような方法を踏襲している
←「この強い欲求を全て押さえて安らぎを得るために経典ではどのように説明されているか」
「吐いて、、、吸って、、、吐いて、、、吸って、、、」
「何ですか?」
「静かに座って、じっとして、呼吸を数えて、吐いて、、、吸って、、、吐いて、、、吸って、、、」
「ここには問題を抱えてきたのに、呼吸の練習をさせるのか!私が必要なのは別の、私が理解できることだ!」
「わかった。では、この雛菊をよく見て、、、」
「なんだって?」
という具合だ(笑)
↓
禅には道教の遊び心があり、合理性に支配されている文化がそこから得られるものは少なくない
・仏教から発生した3番目の宗派は世界で最も神秘的な国のひとつに深い影響を与えた(チベット仏教)N1664
↓
・その「後期密教」では師が弟子の悟りを熱心に助ける
↓
・チベットに根付いた仏教はこの形だった
←
・中国の南西、ヒマラヤ山脈の反対側にあるチベットは、地球上で最も近づきにくい地域のひとつだ
広大な山脈と広大な高原から成るこの国は世界の屋根と呼ばれる
↓
★ほかの地域から隔絶していることから、国全体が広大な僧院となるような形の仏教が発達した
→行ってみたいよなぁ。今しか見れないしなぁ
↓
・ラマと呼ばれる教主の指導の下に、チベットは仏教精神の規律を軸に据えた国となった
↓
★チベットのラマは、仏教の伝統のひとつを独特な形で利用している
↓
悟りを開いた僧は涅槃に入らずに、自発的に「活仏(化身ラマ)」として地上に戻り、他者が救済の道を求めるのを助けることができる
↓
チベットの伝統では、行為のラマの一部では自分の生まれ変わりを選択することができるが、誰かが転生者として選ばれたかは、残されたものが探し出さなくてはならない
→確かふたりいる内のもうひとりのラマが探すんだよね
←ラマがなくなってから、生まれ変わりを探すのに何年もかかることがある
↓
いくつもの試験に合格してラマの転生者として認定されると、僧院に化身ラマとして迎えられる
↓
・こうした一連の後継者で現在もっとも有名なのはダライ・ラマであり
1950年代の中国によるチベット侵攻後に亡命してから、その笑顔は西欧でよく知られるようになった
↓
★彼は最初のダライ・ラマから13番目の転生者であり、最後の転生者となる可能性が高い
↓
・だからと言ってチベットでの仏教の時代が終わろうとしているわけではない
↓
宗教には迫害者から生き延びる方法がある
ひとつの鉄床が多くの金づちを摩耗させるのだ
○chapter16 泥土を書き上げる(日本神道)N1682
・日本は中国から海を隔てて遠く離れており、紀元400年ごろまで日本を訪れる人はいなかった
&
日本の人々は長い間、切り離された世界があることを知らなかった
彼らは日本が世界だと考えていた
↓
★日本は世界であるだけではなく、宗教でもあり、その宗教をとても大切にしていた!
→特定の指導者や明確な協議があるわけではない、土着の信仰みたいなもんだよね
↓
・そのため、日本の宗教を理解するには、日本人が国土についてどのように感じていたかを理解しようとしなければならない
↓
日本人が自国を呼ぶ「日本」という言葉には「日の昇る国」という意味がある
日本から東を見れば、日が輝く空漠とした太平洋しか見えない。そこからは毎日太陽が昇り、6852の島々からなる日本列島に光が降り注ぐ
↓
そのため、日本の天地創造の物語に太陽が大きな役割を果たしていたとしても不思議ではない
↓↓
・どのような宗教にも天地創造の物語があり、世界がどのようにして生まれたかがその宗教観から語られるN1696
↓
・インドには多くの天地創造の物語があった
↓
その内のひとつでは、時間が存在するより前、世界が形作られる以前に、プルシャと呼ばれる巨大な生命体が爆発した
↓
爆発によって散らばった要素からあらゆるものが生まれ、ヒンドゥ���教のカースト制度の細部に至るまで生み出された
&
・アブラハムの生誕の地であるメソポタミアの人々によれば
世界の始まりには淡水の神アプスーと海の女神ティアマトのふたりがいた
↓
ふたりが交わって、他の神々と海の怪物が生まれた
↓
海がしばしば乾いた土地に洪水を起こすように、海の女神であるティアマトは全てを支配しようとした
だが、ティアマトは自分の家族と相対して打ち負かされる
↓
彼女の死体はふたつに引き裂かれて天国と地上となった
↓
天国は神々の為に整えられ、神々に使えるために人類が作られ、地上がその召使たちの住居となった
&
・エジプトにも同様の物語があり、水がやはり重要な役割を果たす
↓
世界の始まりは海だけだった
そして洪水が引くように、水面から丘が隆起した
↓
一説によると、太陽神ラーが登場して他の神々と大地を作り上げた
&
別の説では、大地の神プタハが最初に現れて全てを始めたという
&
・北欧にも同じように水にまつわる話がある
↓
世界の始まりには底知れない虚無の深淵があったが、そこに水が満たされた
↓
その水が凍り、続いて溶け出すと、溶けた水からユミルという巨人が出現した
彼の脇の下から男と女がひとりずつ現れる
↓
その間に牛が氷をなめて、氷が薄くなると巨人がもうひとり姿を現した
この巨人の子孫としてオーディンという神が生まれた
↓
そしてこのような神話によくあるように、大騒動が起こる
オーディンとその兄弟たちがユミルを殺し、その体から大地を、頭蓋骨から天を、血から海を造った
ユミルの骨は山々となり、髪の毛から木々が生えた
&
・神々の暴力的な話から、ユダヤ教の聖書での天地創造の話に戻るとほっとする
↓
創世期にはふたつのバージョンがあるが、どちらも完全に一神教に基づいており、それぞれ海が登場する
↓
神が「深淵」の上を漂い、そこからあらゆるものを呼び起こす
6日間で天地を想像し、7日目に休んだ
↓
7日目に何もしなかったことも、全ての人の休日として安息日が制定されるという創造的行為となった
↓&↓
・日本の物語も創世記と同じころの話から始まり、やはり海が大きな役目を果たすN1719
↓
・最初にあるのは海だけだった
↓
・そこに男神イザナギと女神イザナミが長い鉾で海の底にある泥土を書き上げ
その泥土から日本の多数の島々が形成された
↓
・この二人の神から太陽の女神(天照大神)、その兄弟である月の神(月読命)と嵐の神(須佐之男命)の3人の子供が生まれた
↓
・天照大神にも子供が生まれ、そして孫が日本の最初の天皇となった
↓↓
・この物語については、考えてみる価値があるN1723
↓
宗教がどのように機能するかについて多くのことが分かるから
↓
・この物語に科学的な真実はなくても、人文学的な真理があった
↓
科学は真実や物事の仕組みを興味の対象とする
��↑
人文学の興味の対象は、私たちに人生の心理を明らかにすること
←
★宗教は人文学的であり、科学的ではない
↓
★だから天地創造の物語について尋ねるべき問いは、物語が真実かどうかではなく、物語が何を意味するか、何を伝えようとしているかだ
↓↑
★この違いは、多くの信心深い人々になかなか分かってもらえない
↓
本書で見ていくように、聖書の中の天地創造の話は人文学的作品ではなく科学的著作物だと、たとえ馬鹿げていると思われようと、その証明を試みる者たちがいる
↓
・天地創造の話はどれも真実としては正しくないが、全てある種の意味を伝えている
↓
聖書の話の意味は、宇宙は自ら生まれたものではなく、神によってつくられたという意味だ
&
・また、メソポタミアと北欧の原始の争いの話は、世の中に今なお続く暴力と残酷さを反映している
↓
・これらの天地創造の物語は人間の頭の中から生まれた
↓
・問題は神がその物語を吹き込んだのか、それとも全面的に人間が創案したのかということ
↓↑
・この問題についてどのような答えを出すにしても、天地創造の物語そのものは興味深い
↓
・天地創造について現代科学による説では、宇宙の始まりは140億年前のビッグバンにまでさかのぼる
↓
そして地球上の生命の起源について、最も有力な説では35億年前に始まったという
人間が登場するのは最初の生命の誕生から数十億年後
↓
・物事の意味を探る為、はるか昔を見通して天地創造について考えだした人間の頭に、地球そのものの歴史の記憶がしみ込んだのか?
↓
そんな考えもあり得ないことではない
↓
宇宙全体が非常に不可思議で、ほとんどなんでも想像できるのではないだろうか?
↓↓
・日本の天地創造の話が魅力的なのは、神々が海の底の泥土を書き上げた時、作られたのが世界ではなく、日本だったという点だN1748
日本は世界そのものだった
↓
★日本人が自分たちの美しい島々に感じる愛着が、そのように説明された
→まぁ、外界から隔絶されてるから、日本が全てだと思ってたんだろうけど、それでも愛着は湧くかもね
↓
地続きの国境を越えて流れてくるものがないので、あまり開放的ではなく、近隣諸国の神々から宗教上の刺激を受けることもめったになかった
←日本の初期の宗教について知ると、そうした事情が確認できる
&
そして1945年に終結した第2次世界大戦まで、征服されたことの無い日本の歴史を思い起こせば、日本人が自分たちの島国を情熱的に愛していただけではなく、その国が特別だと信じたことも驚くことではない
↓
★日本は神々によってつくられただけではなく、神々の住居、住むところとして選ばれた
→なるほど、これって特徴的だわ
↓↑
ほかの宗教では神が地上に訪れることはあっても、神の主な住居は天国と呼ばれる、はるか頭上の特別な領域だと信じられている
↓
★日本人にとっては、自分たちの美しい島国が特別な領域だった
天国と地上がひとつなのだ
&
★日本の島々は、「神」と呼ぶ聖なる霊が物理的に現れたもの
↓
神は自然の中のあらゆる場所に宿っていた
動物や日本の山々、草木や川にも神が宿っていた
↓↓
・これは単なる宗教ではなく、何か別のもの、頭の中にある信念を示しているN1761
←自分自身について抱く、または信じている何かを、宗教として説明することが間違っているのと同様
↓
・日本人は、国土、自分自身、およびあらゆるものに生命を吹き込む霊で構成される生命体の大きな網に包まれていると感じていた
↓
日本人が信じていたことではなく、ただ日本人の在り方がそうだったのだ
←
・専門用語ではこの姿勢を「アミニズム」と呼ぶ
&
「ガイア」と呼ばれる現代の思想とあまりかけ離れてはいない
←ガイアとは地球とその生物をひとつの生命体としてみなす考え方
↓
・日本人は、自然は人間と同じように、精神と重要性をもって生きていると感じていた
↓
宗教的義務としてそのように自然を大切にするよう命じられたわけでもなく、そう信じろと言われたわけでもない
↓
・ただ土地の霊を大切にし、美しい場所に神社を立てて大切にしていることを示した
↓
・現在も日本にはこの様な神社が10万社以上あり、大切にされている
↓↓
・紀元600年ごろに中国と日本の交流が盛んになるまで、世の中に対する日本人のこうした姿勢には名前さえなかったN1775
↓
中国人は征服者や宣教師としてやった来たのではなかったが、儒教や道教や仏教をもたらし、全てが日本に根付く
↓
中国人が日本で出会った進行や慣習を分類したがったか、あるいは日本人が例にあふれた国土に感じる愛着を新たに日本の中心に根付いた宗教と区別するために、「神道」と名付けられた
○chapter17 個人的な宗教へ(ローマ帝国の密儀宗教)N1786
・宗教は世界がどのように創造されたかだけではなく、なぜこのように組織されたかも説明しようとした
←人類はなぜ地球上で優位に立ち、好きなようにふるまっているのかと尋ねれば、神がそう取り決めたからだと聖書は答えた
&
人類はなぜ肌の色に応じて格付けされるグループに分かれているのかと尋ねれば、宇宙を支える知性によってそう秩序立てられたからだとヒンドゥー教の聖典は答えた。それがカルマだ。
↓
★そうした答えは、物事はそういうものだからそれに慣れろというだけではなく、総構成されていることに神の承認のスタンプを押したのだ
→効力あるだろうねぇ笑
↓
・だからこそ宗教はどれほどみじめであれ、人生での運命を受け入れろと人々を説得することに長けていた
&
・そして次の人生、またはこの人生の次の機械にはよくなるという望みも信者に与えていた
→ヒンドゥー教とかそうだよねぇ。希望がなきゃやってらんないよねぇ
&
・さらに宗教は社会が課す規則や規制を人々に受け入れさせるのも得意だった
↓
お互い協調して生活したいのであれば、同意を得た一連の習慣、つまり「道徳」が必要だ
←嘘をついてはならない
盗んではならない
殺してはならない
↓
★宗教はこうした規則について、人間が考え出したものではなく、神から命じられたものだということで重みを加えている
←十戒は荒れ野にいたイスラエルの民が思いついたものではなく、神から課された戒めだった
↓
★歴史における宗教のもうひとつの大きな役割は、道徳の守護者となることだった
↓↓
・本章では、宗教がさらに個人的な方向に展開した経緯について注目するN1803
↓
・団体行動や人間社会を管理する方法だけではなく、宗教は人それぞれに個人的な救済を提供するようになる
←「救済(salvation)」という言葉はラテン語の健康を意味する語に由来する
↓
・宗教が個人向けに変化したことで、問題を抱えた人生に平穏をもたらすことが可能になった
↓
信者たちの見聞として、臨終の人が生まれ変わり、目の見えない人が再び見えるようになり、麻痺していた人がまた歩けるようになったと語られるようになる
←
・こうした展開を促したのは、異なる宗教同士が初めて出会ったことによると考えられる
↓
・意外なことに、こうした展開を最も大きく後押ししたのがローマの兵隊たち
←紀元前30年までに、ローマ人はペルシャ人とギリシャの国々を制圧していた
↓
ローマ人はギリシャやペルシャで見つけた神話の題材にとても感銘を受け、その後の宗教に重大な影響が及ぶような形でそれを取り入れた
↓
中国人が自分たちのやり方に併せて仏教を取り入れたように、同じく実用主義で行動派だったローマ人もギリシャ神話を自分たちのやり方で取り入れた
↓
・彼らはギリシャの古い神話を、現在ならロールプレイと呼ぶような形に変えた
↓
ギリシャの宗教から拾い上げた神話を実際に信じた訳ではなく、それによって自分たちにとって重要な感情的あるいは精神的な体験をできるようにした
←
・ギリシャ人にとっての宗教は、日本人にとっての神道に近かった
↓
確かに多神教ではあるが、ギリシャの神々は山や海や照り付ける太陽と同様、風景の重要な一部だった
神々は天候のように、自分のしたいように振舞った
↓
最高神はゼウスという天空の神であり、海の神ポセイドンと死者の国が広がる地下世界の神ハデスという二人の兄弟がいた
ほかにも何百という神々がいて、一部は自然界のリズムと関連していた
↓
・ギリシャの神々の冒険の膨大な物語を集めた中のひとつがローマ帝国の重要な儀式の土台となり、広い範囲に影響を与えた
↓
その物語はもともと自然についての神話だったが、ローマ人が吸収してその神話を「密儀宗教」と呼ばれる、秘密の祭礼や儀式を行うことで信者の深い感情的体験を呼び起こすものに変えた
←ギリシャ神話におけるその物語では、地下世界の神ハデスが、妻を切望するあまり、ペルセポネーという乙女をさらう。
↓
ペルセポネーは豊穣の女神デーメーテールの娘で、デーメーテールは娘を失った悲しみから仕事を放棄してしまう。
その結果、作物が枯れ、人々は飢えと死の危険にさらされた
↓
その工場を救うためにゼウスが間に入って、双方痛み分けの取り決めをした
ペルセポネーは1年の半分を地上で過ごし、半分を地下世界で暮らすというもの
↓
その結果、1年の中に、実りの春と作物が枯れる冬ができるようになった
↓
これは自然の営みを説明するために作られた神話を、人生の浮き沈みも表現するように使うことができる見事な例
←人間の存在にも喪失と回復、失敗と成功、死と再生のリズムがあり、神が死に赴きそして蘇るという考えは、人間の魂の強い要求をしっかりと満たした
↓
この物語と、その意味を明らかにするように意図された祭儀が、ローマ帝国で最も重要な密儀宗教のひとつとなった
↓
・ギリシャからもたらされた「密儀」は、儀式のメンバーがそこで行った祭礼や儀式を秘密にすると誓ったことにより、沈黙が守られ口外されることはない
↓
・この儀式はもともと紀元前1400年ごろ、ギリシャのアテネに近いエレウシスで
2019/12/21 18:27
投稿元:
イェール大学出版局 リトル・ヒストリーシリーズの「宗教史」。「宗教史」の他に「考古学史」「経済学史」「アメリカ史」「哲学史」が日本語でも出版されている。各テーマで厳選された人がたぶん著者になっているので、系統立てて学びなおすのにやはりちょうどよい。
「宗教史」の担当は、スコットランド聖公会の主教であるリチャード・ホロウェイが務める。特定の宗教の宗教家が、第三者的に他の宗教についても公平に記述しなくてはならない上に、宗教自体についても時に批判的な視点が必要となるような本の著者として適切なものかわからない。だがおそらくは、著者自身も人格神や死後の世界の存在を信じているわけではなさそうだ。それでも主教となりうるのかはわからないが、少なくとも宗教が人生に与える影響については、おおむね肯定的である。宗教が必ずしも良い部分だけではなく、時に狭量な部分が多くあることを認識しながらも、良い影響を与えているべきであると想い、多くの人々がそう同意してくれることを願っている。
いずれにせよ、歴史の事実として、宗教の影響は甚大であった。宗教を信じることはなかったとしても、宗教史についてはよく知っておくべきであろう。本書では西洋のキリスト教だけではなく、古代宗教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教など輪廻転生を基本とした宗教や、儒教、道教、などの中国の思想にも触れている。
中でもやはり、世界宗教としての一神教の誕生とその欧州・中東での歴史はやはり重要であり、ユダヤ教、キリスト教については当然詳しい。中世の西洋における宗教改革が持つ意義に関してもしっかりとした認識が必要であろう。ただ、同じ一神教であるイスラム教については近年の影響力からもう少し紙幅を割いてもよかったように思う。
エホバの証人や統一教会などの新興宗教にも目配せがあるが、一概に否定的ではなくその出自の記述に徹して評価を読者の方に委ねているようにも感じ取れる。
さらに著者は、世俗的ヒューマニズムも宗教の系譜に含めて語る。ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス』でヒューマニズムが一種の宗教として扱われていたのと同様だ。ヒューマニズムを現代社会最大の教義として見る観点は、やはり非常に重要である。神が死んだ後にも、何かその代わりとなるものを人類は必要としたのである。そして、著者はそのことを次のように書く。
「人間の本質は真空を嫌う。そのため、西洋ではキリスト教の衰退によって残された隙間を埋めるかのように、世俗的ヒューマニズムと呼ばれる運動が生まれた」
宗教に関して、何より次の最後の言葉が著者の気持ちをよく示していると思う。
「宗教は多くの鉄槌をすり減らす鉄床だ。世俗的ヒューマニズムよりも生き延びるかもしれない。現在宗教は多くの地域で凋落傾向にあるが、まだ地上で最大のショーであり、あなたの近くでも礼拝が行われている。だが、そのチケットを買うかどうかはすべてあなた次第だ」
宗教を、その宗教を信じている人のように信じることをもはやできないが、それを「ショー」と呼ぶことで、ぎりぎりの肯定を表現している。しかしな���ら、その肯定は個々の宗教の多くの信者にとってはおそらく受け入れがたいものである。それらの人にとって、信仰はチケットを買うような行為とは質的に違う。しかし、著者は自らの思想を最後に表明するにあたり、このような表現をすることを選択したのである。
この譬えは実は根深い。チケットを買ってショーを見る人は、チケットの代金とそこに来るまでにかかった時間と手間を思い、「ああ、やっぱりいいショーだったよね」とその内容の正当な評価によらずに自らに言い聞かせることになる。
どのチケットを買うのかも含めて、本当にあなた次第なのだろうか。そして、世俗的ヒューマニズムのショーのチケットを知らず握りしめている人は何を見たがっているのだろうか。
---
『ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来』(ユヴァル・ノア・ハラリ)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4309227368
『神は妄想である―宗教との決別』(リチャード・ドーキンス)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4152088265
『まんが パレスチナ問題』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4061497693
『イスラエル・パレスチナ問題の根源を知る 聖地・エルサレムから』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/B00HD0BOV4
『神は、脳がつくった 200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4478102953
『若い読者のための経済学史』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4799106848
『宗教を生みだす本能 ―進化論からみたヒトと信仰』(ニコラス・ウェイド)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4757142587
2020/02/21 22:56
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人類は宗教よりもうまくやれるはずだ!
メジャーな宗教の流れのおさらいだけでなく、今まで名前は聞いたことがあるけど何が何やらというような宗教や教団までを取り上げている。
シク教とバハイ教についてもっと知りたいと思った。
2020/11/10 22:12
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終章に取り上げられていた世俗的ヒューマニズム。特定の信仰は持たなくても、宗教の思想から精神性を享受できる考え方。人生の節目にあたる儀式は、過去には宗教が独占していたけれど、今では当人に個人的な意義を与えることができるものになってることが一つの例。
日々の生活に超自然は受け入れられなくても、願うことだけじゃなく、祝うこと悼むことなんかに対する基本に、神やら仏を基準とする宗教が間違いなくある。とすると、宗教は物事の考え方に対する糸口を与えてくれるものになるんだろうなと。
若くなくてごめんなさいシリーズ、読むのはアメリカ史、経済学史に続いて3作目。相変わらずダイナミックで歴史の情熱を感じられる読書でした。日本の神道も取り上げられてて、内容とは直接関係ない締めの俳句が最高に粋でした。
2020/12/21 15:30
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宗教史を物語のように読める。ヒンドゥー教、仏教、神道も登場する。
それぞれの専門家による解説ではなく、スコットランドの元主教である著者が全て執筆している。そのため、細かいところで修正が必要とされる可能性はある。
2021/10/31 13:59
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面白かったです。いくつかカテゴライズしたそれぞれの宗教の中での歴史を解説しながらも、宗教史として大きな時代の流れを作りながら語られる構成で、1章1章はそこまで長くないので、サクサク読み進めることができます。
とても良いと感じたのは、どの宗教についても批判的な(クリティカルな)目線で評価していることです。良い所もあるだろうが、こんな矛盾や不合理を抱えているという点を包み隠さず「学問」として論じている姿は良かったです。
世界から暴力をなくす方法は宗教をなくすことである、という指摘や、暴力の原因に宗教がある事に人類が悩むのはなぜか、という問いは本当に興味深いものだった。
2022/12/10 23:53
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予想してはいたけど、白人、男性の目線から歴史が語られる見本のような本。これを日本語に訳して、(他の言語にも?)これが宗教史!としてばーんと出すことにめっちゃ疑問を感じる。は、言い過ぎかもしれないけど、別の角度からも読む必要があるなーと思う。
でも、発見もあるし読みやすいしで一気に読めた。苦難の連続だからこそ、そして頼る偶像や言葉の入れ物がなかったからこそここまでの力があるのかも。分かりにくいことに宿る力。
ゾロアスターやモルモン、シクなどもぼんやりとしか知らなかったけど整理できてよかった!
ジャイナ教、シク教、クエーカー派そしてバハイ教を知ることで救いも感じる。総じて欧米って、、、
びほう
ヒンドゥー教→ひたすらの輪廻転生
仏教→それを断ち切るための方法、欲望をなくすことで
ジャイナ教→一切の殺生を禁止する。とてもピースフル。
ゾロアスター教→善が悪に勝つ、地獄の考え方、この生の先
アブラハム、イサク、ヤコブ(イスラエル)、民は神の声を聞く。
2023/03/16 22:59
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途中までしか読めぬまま期限が来てしまった。読みやすくて面白かったけど、やはり何度も中断すると集中力が切れてしまうなあ。名前は聞いたことあるけど……という宗教について、あーそんな成り立ちだったのか!と広く知れる感じ。まあなんかみんな宗教を都合よく解釈するし、何より預言者って本当に神の声を聞いたのか?でっち上げたのか?精神疾患だったのか?と思ったりもする。でもみんな同じような行動をとるんだから本当に神の声が聞こえているのかも。それにしては、日本人神の声聞こえてなさすぎる気がするけどなあ。
最後まで読み終えたので改めて書く。人は自分を正当化するための巨大な後ろ盾を求めていて、その点で神ってのは非常に便利で有力な存在なんだなあって思った。自分も教会関係者?なのに、「神は道徳的なのになぜ他者を攻撃させたがるのか」という矛盾を解決するために「神を信じないのも一つの手段」ってスッと出てくるのがすごいなと思った。まあ神を信じてるからお前も信じろ、信じるべきだってのはまた別の話だけど。自分は神はいないと思ってるから、宗教での対立ってなんか不思議だなと思うし、なんで信じるんだろうなって思うけど、でもたまたまだとしても苦しい時に救われたら信じるだろうし、小さい頃から神はいるんだよって教えられたら信じるんだと思う。あ、それといわゆる「エホバの証人」が新興宗教なのも初めて知った。キリスト教を布教する人のことを「エホバの証人」と呼ぶのだと思ってた。色々あるね、世の中。
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