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源平の争いの時代から、南北朝、戦国時代を経て幕末維新まで、武士(もののふ)の争いを描く。
螺旋プロジェクトの3作目、中世・近世編。
4つの時代をまたいで語られるこの作品、物語仕立ての教科書で、日本史をさらさらと復習しているかのような気分に。
語り手を誰にするかでこんな見えかたもあるのかと興味が出てきたところで、次の時代に移ってしまうため、物語の盛上がりには欠ける。
でも、その反面、世の中が動く歴史上の大きな争いごとの根底には、天に選ばれた者が大きな役割を果たすという前提がくっきり。先日読んだ古代編に比べると、プロジェクトの共通項である海族と山族との宿命づけられた対立を、これでもかというくらい前面に押し出している。
多くの人が巻き込まれる争いを渦にたとえ、それが繰り返されることで時代をまたいだ螺旋ができる。今まで読んできた5作品の中でも、ここまで明文化しているものはなかったように思う。
残り3作品、早く読みたいな。
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螺旋プロジェクトのキーワード満載の本でした。
シリーズ全部読んだわけではないですが、最初に読むと良いかなと思いました。
源平の戦いから幕末・明治まで、一族の対立という視点でとらえるとこうなるという一例です。
純粋に歴史ものを期待すると裏切られます。
また、異説を取り入れて構成している点は注意が必要かな。でも悪くない展開だと思います。読んでのお楽しみですが、ちゃんと伏線になっていたし。
たくさんの対立エピソードを詰め込んだので、源平は力は入っていましたが、その後はちょっとあっさり終わった感はあります。
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螺旋プロジェクトに慣れて、物語の面白さを味わうことができるようになりました。日本史上の人物と戦いを時代ごとに、海と山とに上手に分けましたね。大河ドラマ5年分を一気に読んだ気分です。
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螺旋プロジェクトの中世・近世編。
螺旋プロジェクトの最後の未読品です。
平将門の乱から西南戦争までと、このプロジェクトの作品の中で最も長い時間軸の話でした。
歴史あるあるで、平氏と源氏が交互に政権を取り合っている、というのがありますが、そこに山族と海族をうまく絡めていると思います。
源平でない海族は楠木正成、豊臣秀吉、大塩平八郎、西郷隆盛で山族は土方歳三かな?
プロジェクト作品としては面白く読めましたが「おおる」が出てきてないような気がします。
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将門の乱から西南戦争までの武士の時代の話の連作。山の人、海の人という対立軸がずっと続いている。
日本の歴史をいろいろな作家が参加して書いていく企画の中の一冊らしい。読みやすく、そこそこ面白かった。
ただ、後半へたるかんじがした。
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「螺旋プロジェクト」中世・近世篇。武士の時代を舞台に、海族、山族が天下取りする話。
信長あたりから、幕末までは、割とよく見られる展開。源氏平家の部分は、詳しくなかったので、改めて面白かった。
とにかく長い武士の時代を、ダイジェストにしてあるので、時代の流れが読めて面白い反面、物足りなさもあったりして。2冊くらいに分けて、じっくり読みたかったな、という感もあり。
とはいえ、うまくまとまっていて面白かった。
あ、決して時代小説ではないです。ファンタジーかな。
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歴史モノ苦手な人には不向きだが、
山族vs海族の構図で平将門〜西郷隆盛まで各時代の争いを描ききったのは凄い。面白かった。
信長の野望をやっていた身としては戦国パートが一番好き。光秀の南光坊天海説も粋。
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螺旋シリーズ、これで4冊目。乾ルカの「コイコワレ」を読んだのがきっかけに歴史を追って読むことにしてようやく源平から南北、戦国、幕末時代とやってきた。それぞれの歴史小説は読んできたけど、こうやって海族、山族と分けての解釈で物語を作っていくとなるほど、うまく表現したものだなぁと感心してしまった。むしろ、そう捉えた方が合点がいくくらいに説得力がある。が、しかし。後半は海と山が表に出過ぎてしまって誰もが口にし過ぎてしまっている気がする。もっと奥深いものであって欲しかった。
信長と光秀あたりまでが限度で、秀吉、家康あたりまで来るとちょっと海山がくどくなってきて、大塩の時はもう誰もかれもが叫んでいた。この辺から読む気がトーンダウンしてしまった。土方の話になると昔に読んだ「死んでたまるか」と重なり、今回は土方の目線での話がパラレルのようでちょっと面白くなり、他の作家が書いた戊辰戦争の話がまた読みたくなった。「西郷どん」もよかったなぁ。
学生時代は日本歴史ほど面白くない授業はないと不貞腐れていたが、今頃になってようやく日本歴史が、そして最も興味のなかった幕末時代が面白くて仕方がない。多分、当時は出てくる人物を暗記しなければいけないとしう使命感しかなかったのがいけなかったんだろうね。誰が何をしたかを問うのでなく、その時代に何が起こったか、それを生徒に興味持たせる方が良いと思う。誰が、なんてどうでもいい。この小説なら、「ああ、蒼の目の人が起こした事件だね」で十分だw
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伊坂先生の書かれた螺旋プロジェクトを拝読して面白かったので
時代的に気になって手にとってみた。
歴史をとりあげて、ここでこうした戦いが起きたのは
彼らがそれぞれ海と山の者だったから、というのは設定をうまく使いすぎで
ある意味ずるい。
両者が戦い続けたから内訌が続き、その度牛耳る民が変わる。
時代背景が気になって手にとってみたもので、
どうしてもひとつひとつのエピソードは浅く感じてしまう。
ありきたりの史実が虚構の中に混じっている印象。
武士の時代をずっとつなげて見られる趣向は面白いが
話のつなげ方は強引に感じた。
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平将門、源頼朝、平教経、足利高氏、楠木正成、足利義満、明智光秀、徳川家康、天海、大塩平八郎、土方歳三、西郷隆盛。
延々と続いてきたもののふ達の魂の叫びを、一風変わった形での連作短編集にて描く。
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平将門の乱から西南戦争までの武士の戦いを海族と山族の対立という視点で描く。平氏は海族、源氏は山族である。南北朝時代になると源氏の足利尊氏は山族、楠木正成は海族である。確かに血筋で言えば足利氏は源氏であるが、尊氏の国家構想は海族と親和性がある。
尊氏は一度九州に落ち延びて巻き返している。関東に本拠があった尊氏が京の戦いで敗れて九州に落ち延びることは戦略的でないように感じるが、建武元年(一三三四年)に足利尊氏は九州の軍事指揮権を掌握していた。たとえば日向国と薩摩国についての島津貞久宛の綸旨を尊氏が施行していた。それ以前の六波羅探題を攻撃した時点で尊氏は薩摩国などに自分の名前で幕府討伐の督促状を出していた。倒幕時点で九州を見据えていた。尊氏の九州行きは追い詰められて逃げられるところに逃げたというよりは勝算があった。
尊氏には経済的な視点もあった。「京で大敗を喫した尊氏が九州を目指したのは慧眼だった。博多には、大陸から持ち込まれた莫大な銭がある。それを手中に収めれば、軍資金には事欠かないばかりか、京周辺の物と銭の流れを滞らせることにもなるのだ」(天野純希『もののふの国』中央公論新社、2019年、155頁)
尊氏が播磨国室津から九州に落ち延びることができたのも瀬戸内の制海権を尊氏が握っていたためである。いくら新田義貞や北畠顕家が陸に戦いで勝利しても、海にまで追いかけることはできなかった。
後醍醐天皇の倒幕運動は元々、農本主義的な領地経営に収まらない悪党に支持されたものであった。そこには水運業者や海賊も含まれていた。しかし、彼らも建武の新政に失望し、尊氏に期待するようになった。
建武式目では幕府を京都に置くか鎌倉に置くかが議論された。「居所の興廃は政道の善悪によるべし」と、政治の善し悪しは場所の善し悪しではないと主張する。「どこでもよい」という結論であるが、鎌倉が武家政権の中心地という固定観念がある中で「どこでもよい」は京都への追い風になる。京都で幕府を開いた理由は南朝と戦うために京都を離れられないという消極的理由があった。しかし、西国の中心である京都の経済力を重視したという積極的理由もある。尊氏は九州に落ち延びて勢力を挽回するという離れ業を成し遂げている。そこでは博多から瀬戸内の水運も勢力下に置いている。
尊氏は平清盛の国家構想に近い。尊氏が平氏の子孫である執権北条氏の鎌倉幕府を滅ぼし、室町幕府を開いたことは源平交代説で捉えられる。しかし、農業と商業、陸と海という価値観では平氏政権と室町幕府は親和性があり、鎌倉幕府と対立する。これは血筋では説明できない尊氏の個性である。弟の直義は鎌倉幕府の継承という政治感覚が強く、観応の擾乱は政治路線の対立という面があった。
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螺旋プロジェクトの1冊として読むから読めるし、本自体が読めないほどつまらないわけではないが…。
これだけ出されたら正直微妙かと思う。
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螺旋シリーズ6冊目
源平合戦から、明治維新まで。
歴史の主だったところを切り抜いて書かれてて、歴史物語としてはそれなりに読めるが、歴史に基づいてるだけあって、海と山の対立が明確ではない。
海と山で互いにいけすかなく思ってても、大局を見た結果、手を結ばざる得なかったり、何だかすっきりしない。
海、山の血縁も本当にこうなってるのか怪しい…歴史に詳しい方が読んだら、違和感が沢山出るのでは❓
私も、幕末ファンとして、違和感を感じざる得ない話でした…
最後、蒼色の大地に出る、平蔵さんが出てたね⭕️
やっぱり、時系列に読む方が楽しめるのか?
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螺旋プロジェクト本。
源氏と平家の戦いから、幕末の新政府軍と旧幕府軍の戦いまで書かれた本。
名前を知っている有名な戦も、裏を返せば海族と山族の争いだった?そんな話。
今まで読んだ本は、海族と山族は理解し合えない関係だけど、何とか理解しないとね。みたいな内容でしたが、この本は、理解し合えないからこんなに争いが起きた的な感じで。
そして、それを見守る人もいるわけで。色々な人に取り付いて?います。