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【揺れる少年】
双子探偵第二弾.
正直前のお話あまり覚えていなかったけれど,問題なし.
揺れる少年少女の心,思い.変化する周り.戸惑い.
序盤からは思いもがけない終盤だった.
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福岡の夕筑市にある寺院・道然寺で暮らす中学3年生のランとレン。
人の善意を信じるランと悪意を敏感にかぎ取るレン、正反対の視点を持つ双子が活躍するシリーズ第2弾。
熊本地震から逃れ、転校してきた少年の秘めた思いが引き起こした事件の謎を解き明かす。
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複雑な境遇にある双子のレンとランが、身近な問題を解きほぐす物語の二作目である。置き去りにされていた赤ん坊のリンが加わったことで、誰かに守られること、そして誰かを守ることをより意識するようになったように見える。そんな折に、熊本地震で家を失って転校してきた志垣雄哉に関して心配事が出現し、レンがこの頃仲良くしている蓬莱司が深くかかわっていることがわかる。何とかしようともくろむ二人(特にラン)だったが、事態はそれほど単純なものではなかったのである。人の心のなかというのは、表からはうかがい知れないほど複雑で、良かれと思ってしたことが裏目に出ることも少なくない。人と人との関わりの難しさを、中学生のランとレンのみならず、保護者的な立場の僧侶である一海も、改めて認識させられたことだろう。そして、難しくはあるが、誠意をもってあたれば、思いは通じる、というのもまた真理であるような気がする。少しずつ成長していく双子と、一海さんのこれからも、見守り続けたいシリーズである。
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双子探偵シリーズ、第二弾。
前作は、双子のレンとランが懐疑派VS性善説派それぞれの推理を戦わせていくという短編集だったが、今回は熊本地震がきっかけで生活が変ってしまった少年たちを中心に描いている。
熊本地震で家が壊れ、家族で祖父母の家に住むことになって転校してきた、志垣雄哉(しがき ゆうや)と、
母子家庭で、地震以来母が家から出られなくなって収入が無くなり、腹を空かせた蓬莱司(ほうらい つかさ)の二人の少年の関係は複雑。
レンの活躍はあまりなくて(次回に期待)、人とかかわるようになったランの成長が嬉しい。
災害が人の心に残す傷、そのために変ってしまう家族関係。
それに伴い、中学生という多感な時期の、そこを過ぎてしまった大人たちには理解してもらえない焦燥が起こす事件と、彼らの心理の描写はとても丁寧。
作品の語り手で、見守り続ける窪山一海(くぼやま いっかい)とともに、何もできない自分の無力さに焦れてしまう。
いじめについての物語は、やはり胸が痛い。
まだまだ「修行が足らん」一海さん、レンに"甘い"と言われるのも分かるような気がする。
いつも、人を救いたいと思っているのだけど、救いたい、救えた、と思ったのにできなかった時、まだ若い彼はとても傷ついてしまうのではないかと思う。
いいかげんに見えて、その実、どっしりしていて、いざという時の一言は必ずその場を収める、父の真海さんの境地に達するのは、まだまだ先だろう。
第一章 お参りに来る少年
第二章 絆の在り処
第三章 失われた灯火
第四章 心の揺動
第五章 少年たちを揺らすのは
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一巻よりも俄然面白みが増していました。熊本地震を下敷きとし、これにより引っ越しを余儀なくされた親子と過去の地震にまつわる経験の呪縛にがんじがらめになっている親とその息子を軸に全編通しのストーリーになっています。
地震という一大事を絡ませたことで一巻と比べるとよりシリアスな印象(ライトな感じはない)。また雄哉と司の関係も単純なものではなく、ラン、レンの推理を以てしても一筋縄では対処できない複雑さが含まれています。
一巻ではランもレンも(多少の誤りを含むとはいえ)いとも簡単に謎を解いてみせる展開で、読み手としては一気に置き去りにされた感があり物足りなかったのですが、この二巻では物語の進行にあわせて二人の思考も進むので、読み手を引き込む(=読んでいてオモシロイ)構成になっていると思います。一海さんも一巻ではどちらかというと淡々とした人物像でしたが、この二巻では未熟さをさらけ出すが場面もあり、物語の登場人物としてはそのほうが親しみを感じやすいですね。続編が楽しみです。
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震災といじめを題材にした話でありながら、仏様という存在があるせいか、温かみの感じられる話だった。これだけ親身になって行動出来る大人というのはなかなか居ないもので、賢い子供たちと一緒に解決していこうというのがとても良かった。
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「お参りに来る少年」
態々部屋に飾った後に。
自分自身は何もしていなくとも盗みを働いていたのは事実であり、万引きなどでは無くとも供え物でも盗難であり犯罪に当るからこそ後ろめたかったのかもしれないな。
最後に口にした名前を彼が伏せたかったのは、きっと彼女が反応した通りの理由でこの場に居ない彼の一番の友人という点が大きかったのだろうな。
「絆の在り処」
彼の友人になった時期は。
始まりはどんな理由であったとしても彼は一人の友人として傍にいるのであり、可哀想などの気持ちが無いと言えば嘘かもしれないが友情に偽りはないだろう。
彼の母親の精神状態が気になるが、簡単に踏み込める内容ではないだろうし一波乱ありそうな予感がするが以前の様な家族間に戻れると一番いいだろうな。
「失われた灯火」
良かれと思い行った言動。
彼女から見たら虐めにしか見えず気弱な彼だからこそ標的にされていると思ったから行動に移したのだろうが、先にどちらか一方にきちんと話を聞くべきだったな。
強引なやり方で彼等を引き離す事に成功した際に、騙されていると分かっていながらも口出ししなかった彼も同罪とまではいかないが少しは非があるのでは。
「心の揺動」
彼の母親が地震を怖がる理由。
過去の出来事はどれだけ時が経とうと記憶に残り続けるだろうし、彼女の様に身内を亡くした際に自分のせいかもしれないと思い込むと尚更傷として深く残るだろうな。
両親に話した事はあるのか分からないが作文の書き方からして、一人でずっと抱え込み再び大切な人が亡くならぬ様にと日々恐怖と戦っていたのだろうな。
「少年たちを揺らすのは」
全ての終わりは彼等の想い。
これまでの事を考えると確かに学内を通し彼等の関係を知っているのは教師であるだろうが、あの場面を見ても夏の間からの付き合いの彼等以上の行動をとれたのだろうか。
彼が自分の想いを言葉に出しあの場でさらけ出したからこそ、相手を煽る様な危険な行為ではあるが彼も自分の行いを反省しあの二択を迫ったのだろうな。
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「ほかの誰かが苦しいからって、あなたが苦しんでいないことにはならない」
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お寺で育つ中学3年生の双子のランとレン。善意を信じるランと悪意に敏感なレンの前に、熊本地震の被害から逃れてきた少年が現れる。
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シリーズ2作目。今作は長編で、ある少年との関わりを通じて双子探偵や一海さんの心境にも変化がある。実際に起こった熊本地震を取り入れて、地震の恐怖やそれに伴う人間関係や環境の変化が描かれていて、考えながら読んだ。過酷な状況でも、周りとどうしても比較してしまい、自分は苦しむべきでないと思ってしまうかもしれない。でも「ほかの誰かが苦しいからって、あなたが苦しんでいないことにはならない」という台詞から、もっと自分の心に素直になってもいい、助けを求めてもいいのではないかと気付かされる。今のこの時世もそうかもしれないな。
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ネタバレは避けたいけど、色んな人が出てくるが完全な悪人がいないのもこの物語の良さ。
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考え方の合わない教師に対しても、優れていた点を述べていたり自分自身の未熟さを振り返れる一海さんに幸あれ。
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シリーズ2作目。
今回道然寺の双子というよりは副題の揺れる少年、雄哉と司の2人が中心。
震災の影響、トラウマ。そして非行といじめ問題。
様々な要素が絡み合って重い作品になっていました。
衝撃的な事件を経てラストに進む。
最後は救われたかな。
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岡崎琢磨さんの作品。
熊本地震で被災した人たちで、それぞれに傷ついている人がいる。
助けたい思いがなかなかうまく回らない悲しさと言うか世知辛さも感じた。
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「道然寺さんの双子探偵」の二冊目。日常の謎ミステリーですね。
2016年4月の震度7の熊本地震に天啓を受けて、書き下ろした小説だそうです。
岡崎さんは東京にいて、郷里の九州の地震の報に愕然とされたとの事。あまり大きな地震を経験することが無い九州地方の事なので、想像を絶した想いにいたって作品に導かれたようです。
物語は熊本地震によって、転校を余儀なくされた少年が、双子の中学校の同学年で転校してきた事から始まる。
レンとランそして新たに加わった、捨て子の赤ちゃんのリンと、一海をはじめとする道然寺の大人たちの人間模様が、岡崎さんの愛情あふれる筆で描き出されています。
「きみが誰かに守られたと感じたとき、そこにはきみを守りたいという、誰かの思いがあったんだよ」の言葉がささりました。
あとがきで岡崎は「それでも私は、震災を忘れてしまわないため、物語の中に書きとどめることに何か意味があることを信じたいのです」とつづられています。
作家さんも読者のわたしたちも、物語を通して復興の想いをあらたにできますね。いまだに復興は進行中ですから。