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陽輝の下に音信不通の兄から届いた荷物は、他人のデバイスの検索履歴を見ることができるウィザードグラス。タブレットにはあらゆる人のGPS情報とSNSアカウントが表示されていた…。現実でも、悪意をもってすれば他人が簡単に見ることができてしまう情報は多いです。決して絵空事や未来のことではないのに現実味が少ないのは、物語が壮大に感じるからでしょうか。古いゲームの思い出等楽しく読みました。どんな知識や技術も使う人間次第。この便利な技術を手放せない以上、使う側の責任と知識は半端なものであってはいけないと改めて思います。
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今作も面白かった。ネット・リテラシーやらフェイクニュースに騙されるなやら色々と言うけれど、自分の望む正義や真実だけを選ぶことを促され、ことの真偽をどうやって見極めるのかその方法も定かではない。
本書で特に恐ろしかったのは、教授の痴漢冤罪事件。その場にいたとされる人が平然と「自分も見ていた」とネット上で発言すること。注目されたくて嘘を吐いた人はもちろん、本心から痴漢の瞬間を見たと思い込んでいる人もいるだろうことが恐ろしい。やっていないことを証明するのは難しい。
でもこの著者の作品は、小説らしく希望の持てる終わり方になっているのが良い。
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「……好きに殴っていいようなやつが出てくるとさ、急に『社会を糺す正義の味方』になっちまうやつっているんだよな。Twisterとか、そんなやつばっかだろ」
物語は主人公の元にずっと音信不通の兄から、突然荷物が届くことから始まる。
荷物の中身は他人の検索履歴を見ることができるAR機器「ウィザードグラス」だった。
最初は興味本位で使用してみるものの、次第にウィザード・グラスをめぐる予想外の事件へと巻き込まれていく。
検索履歴を他人に見せることに抵抗は無いだろうか?
ネットが発達した今、検索履歴ほどその人の人物像を表しているものはない。
人に言えない悩みについて検索していたり、SNSで裏垢を作っていたりする人も多いのではないかと思う。
検索履歴を含めた全ての個人情報を誰かが監視してたとしたら。
そんな恐ろしい事があたかも現実でも起きているかのように、今作品にも実在する大企業の名前を思わせる架空の会社が登場しドキリとした。
中でも興味深かったのがネットの炎上は現代の魔女狩りだというエピソードだ。
人は自分の見たいものしか見ない。
フェイクニュースや印象操作により、いとも簡単に誘導されてしまう。
フィクションとして楽しむにはいささかスリリングではあるが、ネットリテラシーについて考えさせられた。
今作からでも十分に楽しめるが、全作の【プロパガンダゲーム】を読んでからこちらの作品を読むのがおすすめ。
思えば私たちはYouTubeで音楽を掛けながらApple製品で本のレビューを見て、Amazonで本を買ったりしている。
巨大IT企業が個人情報を収集する現代へ警鐘を鳴らしている一冊だ。
こんなひとにおすすめ .ᐟ.ᐟ
・ネットリテラシーについて興味があるひと
・ITがテーマの作品が好きなひと
・世にも奇妙な物語が好きなひと
・社会問題について考える作品が好きなひと
・アクションが好きなひと
・ミステリーが好きなひと
・朝井リョウ作品が好きなひと
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ストーリーの序盤は、壮大な舞台の話が展開されるような内容で期待していた。物語としては面白かったけど、思っていたほど壮大な話ではなく身近な範囲で終わったので、インパクトや展開が少し物足りない感覚があった。