紙の本
新書のロングセラーにはずれなし
2009/03/28 00:27
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投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
手元にあるものは、2004年29刷。1979年刊行なので、ほぼ毎年増刷していることになる。タイトルから推測して、新書に多い「知的生産」系列の本かと思い、ちょっと手をのばしてみた。
よく知られていることだとは思うのだが、梅棹『知的生産の技術』以来、新書には類書が多く、ロングセラーも多い。川喜田『発想法』、板坂『考える技術・書く技術』、野口『超整理法』など。先頃亡くなった加藤周一氏にも『読書術』という若い頃の名作ハウツー本があるが、これも最初はカッパの本である。いずれも、ハウツーの体裁をとりながらも、自身の考え方をきちんと書き込んでいるせいか、読むだけでも面白い。
本書もその系譜に属すようなものかと思ったら、著者の専門である社会学をベースに、「研究方法」についてまとめたものであった。また、冒頭から著者の研究歴以上に、運動遍歴も語られ、正直、思い入れたっぷりの話でも読まされるのかとつい感じてしまった。
しかし、そのはじまりを覆す面白さであった。日本での運動・研究者生活から、アメリカでの研究生活まで、その個人研究史にそって話は進められるものの、因果関係、理論と資料、デュルケームの「自殺論」、数量アプローチ、質的方法、ウェーバー、さらにはベラーやジャーナリズムまで、社会学徒に必要な方法論(もしくは考え方)のエッセンスを手際よくまとめてくれている。基本は社会学ではあるものの、社会学に関心はなくとも、この明快さは他の多くの分野の人にも役立つことだろう。
とりわけ感心したのは、二変量解析、多変量解析を説明する際に、パンチカードを使って説明していることである。本書刊行時にもすでにパンチカードは時代遅れのものになっていたようだが、「考え方」を解説するには視覚的でわかりやすくなっていることに驚いた。近年のPCとプログラムの普及とで多変量解析は劇的に広がっているが、その考え方が十分に理解されているかどうかはまた別の問題である。数式になじみのない文系学生には有り難い味方だろう。
当初の見込みとはずいぶんと異なる本ではあったのだが、新書のロングセラーにはずれなし、という感想はゆるぎのないものでもあった。ちなみに略歴をみると著者は81年に50歳で亡くなられている。本書がロングセラーとなることを見ることなく急逝されたのだろうか。合掌。
紙の本
素晴らしい
2017/07/31 20:46
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投稿者:なえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
研究の方法を学びたい方にとっては必読と言える本。
方法論に関してきれいにまとまって解説してあります。
方法論における1番の名著だと思います。素晴らしい古典。
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ゼミに入って最初に勉強したのがこの本でした。3年生当時は難しくてよくわからなかったけど、今年は多少理解できるようになった。概念はサーチライト★
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注意深く読むと、デカルトが近代科学の始祖とされる理由、つまり今日の主流の「科学」までのつながりがとてもよくわかる。
学術的な英語の復習にも役に立つ。
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著者の実体験を踏まえての、社会学の方法など、とても読みやすかった。渡辺深先生が、社会学だけではなく、生活のすべての場面で使えるというのも分かる。
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2回生の時のゼミの教科書。
持っている本の中で1番汚れているかも。
因果関係は社会科学の研究の基本!!
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およそ30年前の本だが、内容的には問題なし。
社会科学の方法のエッセンスがコンパクトにまとまっている。
学部学生が卒論を始める前に熟読するといいかも。
政治学者の久米先生がお薦めだった、と記憶。
仮説を如何に検証していくのか…
ボブにとっても非常に参考になりました。
もっと早く知っていれば…という本でした。
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▼2009/03/10購入@Amazon
▼2009/04/13読了。
▼研究と実務、そのどちらにおいても、ある科学の原則が適用されているという。それは「因果関係の推論における3原則」と言えるもので、
(1)独立変数の先行
(2)独立変数と従属変数の共変
(3)他の変数の統制
である。原因とは独立した変数であり、結果とは原因に従属した変数である。そこで第3の変数の存在が独立変数と従属変数の共変に影響を与えないように、第3の変数に対しては統制をかける、というもの。
我々は、文系であるとか理系であるとか、定性的であるとか定量的であるとかといったことがらに関係せず、この3原則を意識しなければならない、と著者は言ってるんじゃないでしょうか。違ってたらどうしよー。
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社会学の方法論を記した本。
普段、数的調査や理学・工学を勉強・活用していない人間にとっては非常にためになるかもしれない。一方で、理学系・工学系の人間にとっては、むしろ当たり前な感がある。
原因と結果を、独立変数と従属変数、すなわち関数(正確には写像とか、むしろ対応)としてとらえるという方法である。まぁ、普通かな。。
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アマゾンのレビューによればビジネススクールの教科書になったりしているとか。因果関係を発見するための地道な調査・分析がどんなものなのか分かりやすく書かれています。現代新書はリニューアルされたので、青色ベースのカバーがかかっています。
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【創造の方法学】
*この本を一言で表すと、
*セルフコントロールに役立つ本。
【この本を読む目的、動機】
この本はゼミの先生に、2年生の時に紹介された本。
ある程度の知識と経験が身に付いた今、何を意図して先生が学生にこの本を紹介したのか、それを知りたくてこの本を読むことにしました。
また前回読んだ、【思考の整理学】
そこでは知識をどのように生かすかが述べられていた。
それを元に、今回はこの本を読んで、知識をもとに生む、創造の方法を学びたいと思いました♪
【この本から得られること】
①自らの力で方程式を作り出し、実践するためのやり方。
→要は、原因と結果を結びつけるやり方を学ぶ本。
経験知から理論を作り出し、
理論から仮説を立て、普遍の原理、概念を創造する。
そのための方法が書かれているのがこの本。
論文だとこれに加えて、自ら作り出した仮説=原理を、証明することが求められるよね。
この力を、著者は知識社会に生きる現代の大学生や社会人が身につけなければならないものであると述べ、実体験を基にその有効性を記述している。
【どのように生かすか】
この本は、要は原因と結果を結び付けるやり方を示した本。
だから、生活を改善するために役に立つよね。
*セルフコントロールに役立つ本。
自分の習慣や癖、考え方、成果。
それがなぜ起こるのか、なぜにそうなるのか分析し、
仕組みを変えることが可能となる。
その観点に気づかせてくれるのがこの本の良いところだと感じました。
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高校生から社会人まで幅広くお勧めできる一冊。
分野的には社会調査法といったところか。一見非科学的に見える社会科学を、関数という数学的な概念を用いることにより論証可能なものにしていく手法が描かれている。
ゼミでは本当にお世話になりました。卒論までこいつと心中するつもり。
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社会科学系の研究を行う上での方法論について書かれている。科学的に分析するという事はどういうことか、定量的分析と定性的分析の違いなど、研究手法について理解することが出来る。
これから研究をすることになる大学院生や学部生におすすめ。
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■概要
論理学の本です。筆者の経験などが随所に混ぜ込まれていて、面白いです。
■こんな人におすすめ
論理学について一度じっくり考えてみたい人。
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本書は社会学における方法論、つまり計量データに基づいてその因果関係を解明すべく、仮説を建て数的に検討する行程について取り扱う。やや古い本であるが、アメリカにおける社会学の発展期に留学し学んだ著者の経験に基づいた記述であり、また方法論という性格上未だその記述は色あせてはいない。
学問においては事実を淡々と記した「記述的」な論文は当時アメリカのアメリカにおいては既に認められず、因果律に基づいたWhy?の文脈の論文こそ創造的とされたのは興味深い。あくまで基礎的な積み重ねは通過点であって、学術的成果ではない。一部の偉大な先輩を除いて西洋からの翻訳と移入で我が国の西洋歴史学(他にも……)には、耳が痛い話ではないだろうか。
また、社会学においては倫理上限定される実験的手法以外は概念操作によって因果を明らかにするのだが、ここではともすれば実際は繋がりのない「見せかけ」の因果に引っかかってしまうこともある。この誤謬を見破るのがより複雑に変数を組み合わせる印多変量解析である。またウェーバーのプロ倫ような歴史的文脈から因果を見いだす手法をとった場合は、えてして都合の良い事例を取り上げがちなため反証となる事例が現れやすく、弁証法的に論理は否定と再構築を繰り返していく。
まあある意味で当たり前なことではあるんですがw、人文学系の学問をやりたい人にはお勧めです。