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紙の本

ファルスの脈動

2011/05/29 13:24

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

坂口安吾の言うファルスの文学というのがなかなかピンと来なかったのだけど、考えてみたらラブレーがぴったりと来る。とはいえ安吾がアテネフランセに通っていた頃はまだ渡辺一夫訳も出てないし、安吾がラブレーを愛読したということはなさそうだが、フランス語が古くて読みこなすには至らなかったが大意は得たのか、その後継者たちの作品で着想を得たか。ヴォルテール「カンディード」のゆるーい笑いなどもその一つだろう。
いつのどことも知れぬ架空の舞台のようで、まあ16世紀初のフランスのどこかであり、当時の地名や人物もふんだんに出てくる。ある小さな領土の領主であるガルガンチュア王の息子のパンタグリュエルは、父と同じように巨躯の赤ん坊に生まれたと思うと、様々な才能を発揮して周囲を大混乱に引きずり込む。
やがて父と同じようにパリに留学するが、そこで奇人パニュルジュに出会う。このパニュルジュはトルコで捕虜になっていたところを逃げて来たという奇怪な経歴を持ち、それに相応しい自由すぎる思想の持ち主でもある。弁舌爽やかながら彼のキッツーイ悪戯の数々を、パンタグリュエルが温かい目で見守るのは、大人になってしまった彼の悪ガキ的側面をパニュルジュに託しているという訳者の指摘が当っていそうだ。
パンタグリュエルの方は、故郷が攻撃を受け、父ガルガンチュアが連れ去られたという知らせを受けて、急遽その救出のために妖精の国「ユートピア国」に向かう。ここで戦争大活劇が展開されるのだが、ふとしたことで「作者」は、パンタグリュエルの口の中に落ち込む(!)。するとそこには村があり、山々があり、都市があって多くの人々が住んでいる。「作者」は半年の間そこで暮らした後に出てくるという顛末。なんという破茶目茶具合。
もうこれは「風博士」どころでは無い、大江健三郎「同時代ゲーム」や、筒井康隆の超虚構小説などが系譜に連なる脈流だ。ラブレー自身はどんな文学的なアレがあったかは知らないが、エラスムス「痴愚神礼賛」や、トマス・モアなどに意識は連なっていたことだろう。当初は医学を学んでいたというラブレーは、解剖学的知識を暴走させてみたらこんな奇矯な空想に至ったのかもしれず、またギリシャ語にも堪能でその方面の文献にも詳しく、ローマ帝国、ギリシャ、小アジアまで一体と見ている世界観もフランス社会におけるアナーキーぶりに通じていそうに思える。
そしてこの巻では、話の大元になった「ガルガンチュア大年代記」なる戯作も収録されていて、当時の民衆のハジケっぷり、ラブレーが感じていた時代の風も感じられる。

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2023/12/25 22:54

投稿元:ブクログ

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