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著者は「STAP細胞の真実を追求する会」の渋谷一郎氏で、本書のプロフィールによれば、科学ライター、編集者。(ネットで見たところ、過去の著作等はない模様)
STAP細胞については、2014年1月28日の電撃的な発表記者会見以降、目まぐるしい展開を見せ、その真偽を巡っては、当事者である理化学研究所の調査をはじめ、様々な報道がなされてきた。その中で、出版物を大きな拠り所とする人間のひとりとして、私には、毎日新聞社記者の須田桃子氏の著書『捏造の科学者』が、大宅壮一ノンフィクション賞(2015年)を受賞したことは、ひとつの結論に近いものと思えたし、本年1月に出版された小保方晴子氏本人による『あの日』についても、スキャンダル的な話題にありがちな、著者が典型的な反応として示した佐藤優氏の「自己愛の書・錬金術の書」と同じような見方をしていた(『あの日』は読んでもいない)。
しかし、著者は本書の冒頭で、「STAP細胞は存在する。『あの日』に書かれていることは本当のことだ。小保方晴子氏のSTAP細胞の発見は事実だった。これが本書の結論である」と明言し、STAP細胞は存在すると言える理由、STAP細胞の何が問題になったのか、問題箇所は本当に問題だったのか、STAP細胞の捏造報道の検証、早稲田大学の博士論文取り消しの正否、そして、小保方氏以外の主要登場人物である若山照彦山梨大学教授と理化学研究所の故・笹井芳樹副センター長の果たした役割(特に若山氏の)、STAP細胞肯定派と否定派の思惑などについて、詳しく考察の上、示している。
専門外の私としては、学問的な正否を判断する材料は持たないし、一部には著者の小保方氏に対する肩入れともとれる表現は見られるものの、本書における著者の主張は十分に理解できる。
そして、STAP細胞を否定した人々には、本書を読んだ多くの読者が抱くに違いない疑問に対して、納得できる説明をして欲しいと思うのである。特に、否定派のスタンスの背景に、著者が懸念するような日本の(医)科学界、ジャーナリズム界、産業界、更には政治の世界を支配する何らかの“空気”があるのだとすれば、断じて看過できない問題である。
利害関係を持たない大多数の国民が知りたいのは“真実は何か”の一点に尽きる。
(2016年5月了)
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痛快である。はじめにのところに、
STAP細胞は存在する。
「あの日」に書かれていることは本当のことだ。
小保方晴子氏のSTAP細胞の発見は事実だ。
これが本書の結論である。
と書いてある。
本当にそう思う。
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文字通り、一連のSTAP細胞騒動と『あの日』を検証する一冊。
冒頭で著者は「STAP細胞はある」と断定してから進めるこの本、小保方氏及び彼女の著作『あの日』についてかなり肯定的。
『あの日』ではわかりにくい個所について丹念に説明している。
安易な陰謀論には組しないけど、これを読むとやっぱり内部の人間やマスコミに潰されたのだと思わざるを得ない。
特に旗色が悪いと分かった途端に豹変する若山氏が酷い。
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STAP細胞というよりも小保方晴子はなぜ潰されたのか?というのが相応しい内容。小保方晴子に敵対する勢力があったのは間違いないだろう。かと言って、STAP細胞(的なものも含めて)の有無はまだ良くわからない。一応論文撤回で業界的には無い事になっているようだが、今後第3者による検証が進めば存在が明らかになる可能性は秘めているようには思える。小保方晴子が『あの日』だけでなくwebサイトまで立ち上げて反論活動を継続しているのは知らなかった。
興味深い騒動だし、科学的な真理よりも、合理的・論理的と言われる科学者達の嫉妬や保身、権力闘争や名誉欲の方に興味があるので、人間ドラマの観点から顛末をもっと知りたいんだが、この件の関心も薄れ風化しつつあるので、STAP細胞の存在が確認されるまでは無理かな。
『捏造の科学者』大宅賞のデキレースへのツッコミは面白い。佐藤優が小保方叩きをしていたのは知っていたが、宮部みゆきまでもが叩き行動していたのはちょっとイガイだったな。
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小保方晴子著「あの日」をベースに、STAP細胞騒動の初めから終わりまでを解説した本。著者はSTAP細胞存在派。「あの日」の内容をより細かく解説しているのでわかりやすいが、イラストや図等があれば、より深い理解の助けになったと思う。
「あの日」と本書を読む限りでは、STAP細胞は実際に存在するが、いろいろな利害関係者の思惑、STAPとは直接関係ない勢力争い等々のさまざまな力が複雑に絡み合い、大騒ぎするほどでもないSTAP作成側のミスにつけ込まれ、また、再現実験が難しいSTAP細胞の性質も相まって闇に葬られた、との印象を得た。
ただ、日本ではSTAPは既にねつ造ということで一件落着となったので、海外からでもSTAP細胞の存在が証明でもされない限り、この件の真相が明らかになることはないとも思う。
本当にSTAP細胞は存在しないのかどうか、真相が明らかになる日が来ることを切に願う。
あ、あと、須田桃子著「捏造の科学者」の出版タイミングに関する考察が「なるほど」と思った。
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小保方擁護論.主な主張は.STAP細胞論文は捏造ではなく単なるうっかりミス.なぜそれがわかるかというと「あの日」にそう書いてあるから.
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この本で著者が言いたいことは次のことだろう。
①STAP細胞は存在する
②山梨大学の若山照彦教授があやしい(著者は黒とは言い切っていないが)
③理研/同性(女性)科学者などの陰謀だろう
こんな本を書くを科学ライターとして信用されなくなるよ~。
ジャーナリストとして、報道の仕方について問題視する本を書くつもりなら別だけど、STAP細胞があると言い切るのは余分だね。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/472425973.html
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STAP細胞あった派の本。
小保方さんの「あの日」の専門用語などわかりにくかった部分を引用してわかりやすく説明してある。
この本と小保方さんの本を読んだ時点では本当にSTAP細胞があったかどうかは疑わしいままだったし、特に最後の一行にはとても同意できない。
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先日「あの日」を読んで
一連の事件の概略は 掴んでみましたが
もう少し読んでみたくて
この本を読んでみました。
この本は 小保方さん側の本ですが
私が 疑問に思った事を 解説してくれていたので
こちらの方が 正しいのではと思いました。
この本にも 書かれていましたが
そもそも 論文の疑惑という 誰の命も傷つけていないし
国民の税金を無駄遣いしたという話でもないのに
どうして パパラッチじゃないけど 小保方さんを追っかけまわしたのでしょうか。
私は知らなかったけど、「あの日」を発売した後に
ある本の販売するサイトの 評価に 沢山の最低のポイントがつけられて 買わないように と 誰かが しくんだようです。
でも、そんな事とは 反するように 多くの人が 読みたいと思ったようですね。
(だから 図書館で予約してから 手にするまで 半年以上かかりました)
背後にどろどろとしたものが あったとしても
それに 踊らされて メディアが 大騒ぎして
一人の人を自殺に追い込んだのは 罪にならないのは とても不思議です。
メディアは もう少し きちんと 考えて行動して欲しいと思いました。
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報道の暴力性や、それに煽動される大衆の危うさが不気味。誤りや不正を徹底して許さず、首を絞め合う社会性も辛い。法治国家は、その罪を法律に基づき裁くのであって、数や報道による私刑を許せば、それはノイジーな奴らの手ごころ次第。
パトロンのような大企業は叩かれにくいし、使い捨ての芸能人は潰しやすい。二毛作、三毛作とはまさに、マスコミの遣り口。コンプライアンス違反を徹底して叩く、その叩く側の暴力=リンチを取り締まらぬのが民主主義なのだろうか。私人逮捕とか自粛警察とか、炎上とか精神の逮捕権、刑罰権の濫用である。
正義漢を気取るつもりはないが、やり過ぎだ。シャーデンフロイデの下卑た涎が週刊誌に滲む。私自身には、この事件を裁いたり、STAP細胞論争に決着をつける専門知識はないが、素朴な視点で言える事は「小保方晴子は決して無能ではないので、この件で潰されたのは損失である」「大多数が専門知に参加できる能力を持たない」「衆目集めのエネルギーをお金に変える目的が果たされた」という点だけだ。
「スタップ細胞論文に書かれた実験のうち、小保方氏の担当パートである多能性細胞特異的分子マーカーが発現したSTAP様細胞塊までは確認できたが、STAP幹細胞、FI幹細胞およびキメラマウスが成功しなかった」
公平な視点で言えば、著者は、調査委が若山研の研究員の証言を聞けば疑問が氷解されるはずと言うので、この点に関しては、著者が本気で取材して欲しかった。だから、結局STAP細胞は、ES細胞だった?という点が分からない。参加する能力を持たない論争を「なんとなく」でどちらが正しいか選択するのは疲れる。人類は月に降り立っていない、地球は平面だ、などなど。科学者ではない大多数は、教えられた事を信じるしかないではないか。その弱点をついたように社会を掻き回す企みがある。せめて、陰謀論の綻びを見抜く力は身に付けなければ自衛が出来ない。境界領域を狙った大衆操作に、いつしか大多数も絡め取られてしまう。だから、本を読むのかも知れない。
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STAP細胞はなぜ潰されたのか
小保方晴子「あの日」の真実
渋谷一郎
誤謬か、それとも、故意か、焦点はそこだとおもっています
そして、組織としての肚のくくり方だとおもいます
山一の最後の社長が、ぶざまに泣きながら社員をかばって、その最後を全うした
かたや、部下を見殺しにして、その責に耐えきれず、自殺して、事を放り出した
どちらが、組織の長として正しい道なのであろうか
戦前から、日本の科学行政を司ってきた、天下の理研のやることではない
京大IPS細胞vs理研STAP細胞、その熾烈な戦い
論文発表の過程での再現性のチェックをどこまでやったのか
そして、問題になったあとに、再びその再現性をどこまでチェックしたのか
再現するにも、非常な労力とコストがかかってしまうこと、どちらも中途半端におわったのではないか
そこは、再現性の再検証をやり遂げたかった小保方氏の無念は理解できる
小保方氏が、再現するといったのであれば、そう、再現するのではと考えてしまう
論文は記録として残ってしまうのだ、言葉は限りなく重い
先陣争いにあせっていた理研は、「学問に王道なし」ということ知らなかったのだろうか
そして、我々、素人にも、内容を詳しく分かりやすく説明する義務があったのではないかと思います。
目次
はじめに
第1章 STAP細胞を発見するまで
第2章 小保方氏のもっとも幸せな時間
第3章 STAP細胞は存在すると言える4つの理由
第4章 STAP細胞の何が問題になったのか
第5章 問題箇所は本当に問題だったのか
第6章 STAP細胞の捏造報道を検証する
第7章 早稲田大学の博士論文取り消しは正しかったのか
第8章 『あの日』出版の衝撃
参考資料
ISBN:9784828418728
出版社:ビジネス社
判型:単行本
ページ数:255ページ
定価:1400円(本体)
2016年05月03日第1刷発行
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小保方氏の著書『あの日』を小保方氏の立場から解説している本です。
『あの日』からの引用が多いので、「じゃ『あの日』読めばよくね?」とも思うのですが、『あの日』を読んでいないのでなんとも言えないです。
本書の主張としては、STAP細胞は存在しているというということ。「STAP様細胞塊」は小保方氏により実験に成功しているが、確認できなかったのは「STAP幹細胞」や「キメラマウス」などであり、これは若山氏の実験パートであるということらしい。その他の理由も紹介されてあります。
若山氏の裏切りや保身行為、ずさんな管理状態なども細かく言及されており、「きちんと調べればわかるはずのこと」が調べたり検証されておらず、バイアスのためか小保方氏の反論ははほとんど聞き入れてもらえなかったようなことが印象的でした。
結論、なぜSTAP細胞は潰されたのか?という問いには、マスコミの過剰な報道や魔女狩りはわかりやすいところですが、理研のスタッフの妬みなどからによるリークや、STAP細胞が認められてしまったら不都合になる研究者たち(予算が減らされてしまう)の力が働いたということです。
STAP細胞は再生医療に役立つ「第3の万能細胞」になる可能性を秘めていると言われており、本当に存在するならば医療の発展に貢献するでしょうし、助かる命が増える未来が見えます。若き女性研究者、しかも日本人がそれを成功させたとなれば、本当に誇らしいことなのに、それを完膚なきまでたたき潰した人たち。人間というのは本当に自分本位で愚かなものだとしみじみ感じました。
そもそも小保方氏も「ただただ実験が好き」という自分本位っていうのもあるわな。
「STAP細胞の真実を追求する会」の著者が書いた本書。小保方氏が受けた理不尽や彼女の真実をいろんな角度から説明してくれていますが、読めば読むほど、「結局何が真実かは本人たちしか知り得ない」という感覚になりました。何を信じればいいのか不安になるけど、この感覚はこれからの日本で生活するためには必ず持っておくべき感覚だと思います。