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イノベーションの専門家による、イノベーションについて述べた本。多くのトピックスをもとに論理を組み立てているが、本の多くの部分が、他の研究者の発表内容やデータで占められており、オリジナルの意見を述べている箇所が少ない。導き出された意見も、政府による積極投資や人材の集中などコストを政府が負うべきであるとか、正確な情報の共有等、わかりきった結論となってしまっており、あまり参考とならなかった。全体的に話の展開が幅広くバラバラで発散しているように感じられるので、もう少し学術的な論理性がほしいし、言いたいことをはっきり論理立てて説明してほしい。掲載されている情報も既知のことが多かった。やや期待はずれ。
「(紫陽花の花の色)土壌が酸性だと花の色が青色系になり、アルカリ性だと赤色系になり、根が吸い上げる水の量によってその度合いが変わる」p30
「(グレゴリー・クラーク)イギリスで産業革命が起きて蒸気機関が広まったことによって、325万頭の馬が失業した」p42
「(イノベーションによる恩恵と抵抗)恩恵は時間をかけて社会全体に広く薄く広がっていきます。そのために、どうしても、抵抗運動が先に現れます」p49
「ジョン・ケイが、後に「飛び杼」と呼ばれる手織機を発明し、布を織る生産性が一気に上がりました。布を織る生産性が上がると、布の材料である糸の提供が追いつかなくなりました。布を織る技術と糸を紡ぐ技術の生産性のバランスが崩れたのです。このことにより、紡糸の生産性を上げることがビジネス・チャンスになったのです。バランスが崩れているところがチャンスです」p53
「(ケインズ)アニマル・スピリッツがなくなり、自生的な楽観が挫け、数学的期待値以外にわれわれの頼るべきものがなくなれば、企業は衰え、死滅する」p64
「アメリカではイノベーションによって破壊され、生産性が低くなってしまったビジネスの整理をしやすくすることによって、企業がこのコストを負担しなくても良いような社会を作ってきたのです。その分、国民が社会的なコストを負担してきたのです。その反対に、日本では企業がこの社会的なコストをかなり負担しているわけです」p204
「(日本における所得格差拡大)日本では、ピケティが示したような高所得者への富の集中が起こったのではなく、むしろ低所得者層のさらなる低所得化が進行していったのです」p213
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日本が単にアメリカのシステムをまねただけでは危険。また、アメリカではイノベーションの種となる基礎研究のコストを、実は国が負担してきたことから、基礎研究が枯渇しつつある日本の大学の現状に警鐘を鳴らす。
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バズワードとなりがちな「イノベーション」に対し、学術的知見を用いながら、その特徴や現状をまとめた一冊。その不確実性故に、つかみどこのない議論となりがちなイノベーションであるが、本書ではイノベーションに以下のような定義を付与している。
「イノベーションとは、簡単に言えば、「経済的な価値を生み出す新しいモノゴトです。大切なのは、「経済的な価値」と「新しい」という二つの要素です。」(p.36)
つまり、単に「新しい」だけではなく、そこに「経済的な価値」が生み出されてようやく、イノベーションと言えるのである。
上記の定義のもと、著者はイノベーションにおける特徴として、「移動する」「飼いならせない」「破壊する」の3つを挙げている。ざっくりまとめると、イノベーションとは「ヒトを介し、機会のある市場に自ら移動する特徴があり、故にマネジメントによって生み出されるようなものではない。また、便益のみをもたらすような代物でもなく、時に労働を代替することにより、失業などの問題を生み出す、破壊的な側面も持ち合わすものである」ということである。
個人的に本書がよかった点は、2つある。1つ目は、上記のような、感覚的には分かっているけれど言語化されていない点に対し、経営学、経済学、社会学などの知見を用いながら、各概念の説明を明快に行っている点である。そして2つ目は、議論の中で登場する過去の知見が、非常に広範かつ濃密であるという点である。以下、メモ書きとして再読したい部分を記しておく。
・イノベーションに伴い、既存のモノの生産性が向上する「帆船効果」(p.46)
・EO(Entrepreneurship Orientation)の問題点。もともと個人が有していた性質なのか、イノベーションを起こすプロセスの中で育まれたそれなのか、判別がつかない(p.61)
・なぜ産業革命がイギリスで起きたのか(p.82)
・知識の反証可能性に関して(p.85)
・生産性のジレンマに関して(p.95)
・ポランニー「大転換」について(p.222)
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イノベーション系の本を読み漁ろうとしていて、手に取った本。
「野性化」という比喩的表現が、中々面白くもあり誤解を受ける側面もありそう。
というのも、もともとイノベーションが「(野生の反意語である)飼いならされたもの」だったのかというと少し疑問。
むしろ「野性的」なと表現する方が個人的にはよいような気もする。
(確かに、ヒト・モノ・カネが日本でさらに流動化すると、
イノベーションが破壊的になり、「野性化」するという意図も分からなくはないが…。)
アメリカと日本の社会構造の違いから、両国の環境因子にそもそも違いがあって、
イノベーションの発現しやすさが異なるという著者の指摘はとても興味深かった。
単に、アメリカの猿真似だけではダメだってことでしょうか。
では、どうするの?(特に、個人や企業として、どうするの?)について、
もっと考察してくれれば、より深い本になったような気がする。
(ま、そんな公式染みた方法論はないと思うのですがね。)
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「野生化するイノベーション」というタイトルは、“もともとイノベーションって野生でしょ?”と考えている向きには何だかピンと来ないタイトルだと思う。そういう意味であまり期待せずに読み始めたのだが、良い意味で予想を裏切る本であった。
まず著者自身、この企画は「イノベーションの歴史を書いてみませんか?」という新潮編集者の誘いに応じたとあるように、イノベーションの歴史や経済史の近年の知見(例えばジョエル・モキアの仕事など)がふんだんに取り入れられている。これはポイントが高かった。経済史や経営史のゼミなどで輪読するのにはちょうど良い感じである。
第一部はイノベーションとは何かについての説明が丁寧。とくに第三章の基本的ルールの説明が重要だと思うが、そこのところが丁寧なのは良かった。
第二部は戦後日本経済のイノベーションの歴史を辿りながら、常識を覆すような知見もふんだんにあり、もっとも興味深かった。
そして、第三部がラディカルなイノベーションを推進するために流動性を高めること(例えば規制緩和などの自由化政策)は重要だが、そこには大きな陥穽も潜んでいることが的確に指摘されている。最後にポランニーの『大転換』を引用しているのには、おっ!と思った。おっしゃる通り、ポランニーは重要である(笑)。
やや褒めすぎたかもしれないが、一読をお勧めしたい。
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これはビジネス系の本の中では久しぶりに超面白かった。
さすが、神戸大学の忽那先生の推薦。
イノベーションの歴史、イノベーションの生まれるメカニズム、イノベーションの及ぼす影響など、短いながらいろいろな角度からイノベーションを論じている。
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これからの日本のイノベーションを考える上で、踏まえるべきことは何か?
経営資源(ヒト・モノ・カネ)の流動性という観点からイノベーションの歩みを検証し、向き合い方を考えた書籍。
産業革命は、個人の発明家や企業家が牽引した。つまり、イノベーションは組織的に生み出されてきたわけではなく、元来イノベーションは極めて野生的なものであった。
20世紀に入ると、米国の大企業は研究開発機能などを内部化し、自社でイノベーションを管理し始めた。だが、本来は野性的であるイノベーションを「飼いならす」のは難しい。
そのため近年、企業はベンチャー・キャピタルを設立するなど、イノベーションが生まれやすい環境を整える方向ヘシフトしている。
人や資本などの経営資源の流動性が高いほど、イノベーションに良いと考えられている。
実際、米国は経営資源の流動性が高い社会を構築してイノベーションを生み出している。
経営資源の流動性が高いことは問題もある。例えば以下など。
・資金の流動性が高いと、生産性の低い既存企業が生き残る。
・人の流動性が高いと、優秀な研究者がスピンアウトするため、既存企業の既存の技術開発の水準が低減する。
イノベーションには、ポジティブな面だけでなく、次の2つのコストが存在する。
・プライベートなコスト:研究開発費など企業が支出する費用。
・社会的なコスト:企業が負担しないコスト(基礎的な研究にかかるコストなど)。多くの場合は国民が負担する。
近年、格差の拡大が問題化しているが、その原因がイノベーションにあるとの指摘がある。
人間のタスクを代替する機械が登場すると、人が失職したり、賃金が低下したりするためだ。今後、経営資源の流動化が進むと、イノベーションの破壊的な側面はますます強まる(野生化が進む)だろう。
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野生化するイノベーション
日本経済「失われた20年」を超える
著者:清水洋
発行:2019年8月20日
新潮社
経営学の学者の本。ハウツー本ではない、という断りがある。
人工物であるイノベーションが野生化しているというメタファーをもって言いたいこと、それはなんだったのかイマイチはっきりしなかった。後半になると、結構、ハウツー本っぽくなっていく。
イノベーションは野生動物が餌を求めて障壁を乗り越え、どんどん移動していくように、チャンスを求めて自由に移動する。飼い慣らすのは無理、飼い慣らそうとすると本質を失う。
人や資本などの両道性が高まると、スタートアップは増えるが、イノベーションだけを追求していくと「野蛮な社会」になり、「破壊的な側面」が強くなる。野生動物も、山に食べ物がなくなると人里を襲う。
こうしたことに関する分析、説明は面白かったが、ではどうするかということを考え出す時、ハウツー本化していくように感じた。
日本のイノベーションがなぜうまく進まないのか、失われた20年はなぜ生まれたのか?
投資の源流が銀行系のため、自己資本比率を上げるために有望だが不確実な企業には貸し渋りをする一方、潰れそうな既存融資企業に潰れないように追い融資をしたこと。
日本企業の集団主義。
その他、いろいろと分析している。
そして、今後、イノベーションが野生化してくると、経済格差はますます広がり、そこに破壊すらもたらすと警鐘も鳴らしている。
基礎的な経営学の単位は大学で取得したが、経営には、冷静な分析、冷徹な判断、人間性、ひらめきなどが必要なんだなあと感じた。これも、失われた20年があったからこそ、結果論で言えることかもしれない。
******(メモ)******
特許のうちで、経済的な価値を生み出しているものはごくわずか。新しさがあればいいというものではない。
蒸気機関が生み出されると水車に新材料(鉄)が用いられて向上、電球が登場するとガス灯が進歩、ハイブリッド車が普及するとガソリン車の燃費が向上。イノベーションは既存物の生産性も高める。
収穫逓減:ある農地に1キロの種を植え付けると1トンの作物が獲れる。種を増やしていく。2キロで2トン、3キロで3トン、5キロで5トン・・・とはならない、得られるものは徐々に少なくなる。
新規性が高い試みにとって、経済的に合理的な計算に基づく意思決定より、ある信念や自信、楽観的な期待に基づく意思決定するマニアル・スピリッツが重要。
(ニュー・ケインジアンと呼ばれる研究者)
日本のGDPは平安時代からペリー来航までほとんど成長しなかった。
「営業成績が上がらないのはターゲットの設定が間違っている」という仮説の立て方はいいが、「営業努力が足りない」という仮説の立て方はダメ。前者はターゲットを少しずつ変えればその仮説の正否が分かるが、後者は「成果が上がらないのは努力が足りないからだ、もっと努力せよ」となってしまい、仮説の正否が不明��まま。
世界で最初の株式会社は実際はよく分かっていないが、イギリス王室が1248年に羊毛取引管理会社ステイプル・オブ・ロンドンを設立したことは確認されている。1602年東インド会社は、最初の近代的な株式会社としては最初、ということ。
生産性のジレンマ:プロダクト・イノベーション(新製品やサービスを生み出す)と、プロセス・イノベーション(生産工程を新しくする)には重要なトレードオフが存在。前者が増えると後者は減り、後者が増えると前者は減る。
イノベーションのジレンマ:リーダー企業が他社によるイノベーションについていけず、競争優位を失ってしまう現象。イーストマン・コダック社など。それは慢心が原因ではなく、生真面目に顧客に向けて経営資源の最適化を進めているから。
ポートフォリオ・マネージメント
市場の成長性が高く、自社のシェアも高い=花形部門
市場の成長性が高く、自社のシェアが低い=問題児部門
市場の成長性が低く、自社のシェアが高い=金のなる木
市場の成長性が低く、自社のシェアも低い=負け犬
企業にとって問題児が大切
フレミングがリゾチームとペニシリンを発見できたのは、彼の部屋が雑然としていたから(偶然カビが広がった)。このような偶然をセレンディピティと言う。もし研究チームの一員でマネージャーがしっかり管理していたら、その発見はなかった。
銀行は自己資本比率を上げるため、不確実性が高い新規顧客に対して貸し渋りをする一方で、取引相手が潰れないように潰れそうな企業に追い貸しを行って延命させ、傷口が広がった。
勤勉革命:江戸起きた生産性向上現象。経済学者の速水融(あきら)命名。イギリスの産業革命と異なる生産性の上げ方。
電子レンジ、ATM、クオーツなど、日本が生んだと思われがちな技術は、アメリカやイギリス、スイスがイノベーションし、日本が改良して普及させたもの。
日本企業が集団主義的である社会心理学的バイアス2つ。
(ベネディクトの分析)
対応バイアス:なぜ集団的行動を取るのか?本当はその人が置かれた状況が原因なのに、その人の性格だと考えられてしまう
確証バイアス:自分がそうだと思い込むと、それと適合的な情報ばかりを集めたり、ある観点からしか物事を見なくなってしまう傾向
100歳を超える企業、日米の違い
アメリカ企業は稼ぐ力(ROA)が最初から40代まで高く上がり、100歳を超えるまでほとんど落ちない。日本企業は10代前半でピークを迎え、以後はどんどん落ちる。
スピンオフは親企業から資本の提供を受けて独立、スピンアウトは資本提供を受けない。
経営資源の流動性が高まると、サブマーケット開拓のためスピンアウト競争が前倒しで行われるため、技術開発の水準にマイナス影響が出る。
基礎研究の割合、日米大学の違い
アメリカの大学は1975年に63.7%、1990年に末に70%を超える
日本の大学は1975年に72~73%、1980年に58%ほど、以後、どんどん減っている
イノベーションが野生化すると、思ってもいないような変化が非常に早いスピードでやってくる。イノベーションのおかげで職を失った人��対しての安易な自己責任論は間違っている。
新自由主義的な考え方を推し進めると、保護主義や全体主義が生じる
(カール・ポランニーの学説)
規制緩和で自由競争になり、経済的格差が広がり、貧困層が増えて大票田になる。そこに保護主義、全体主義的な政策をかかげる政治家を現れ、ブロック経済化が進んで世界大戦へと突入した。
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日本では失われた20年といわれ、経済的に停滞する一方で、米国、中国では主にデジタル技術を活用したイノベーションにより飛躍的に成長する企業が生まれてきた。経済成長が全てではないかも知れないが、少なくともプライマリーバランスの赤字を上回るくらいのGDP成長は必要だろう。低成長からの脱却のため、あるいは社会課題の解決のため、国も企業も個人も渇望するのがイノベーションである。
本書は三部構成。第一部は基礎知識として、イノベーションの歴史、社会制度的な背景、イノベーションを仕組み化するための最近の研究を説明する。第二部では、日本のイノベーションに関する研究。世間一般に言われるように、日本人は改善型イノベーションが得意なのか、横並び主義が斬新なイノベーションを阻害しているのか。著者は終身雇用と年功序列がその原因だと主張する。
…と、ここまでは割と普通の内容で、日本でも米国のようにベンチャー投資を推進し、人材流動性を高め、次々と起業できる社会にすれば、イノベーションが活性化して万事オーケー、という陳腐な内容かと思いきや、本書の要諦は第三部にあった。
第三部では、人や資金の流動性を高めることが、逆に大きなイノベーションを妨げる可能性や、イノベーションによる格差、その反動の保護主義化のリスクにつながるという研究を紹介。ただ米国や中国を真似ても、他のさまざまな制度や文化が違えば、結果は違うことを示唆する。
現時点で分かっていないことは主張せず、控えめな態度は学問的に正しいだろうが、どうすれば良いのか、迷いは消えない。
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<目次>
はじめに 野生化するイノベーション
序章あなたがスレーターだったらなら旅立ちますか
第1章イノベーションとは何か
第2章企業家がなぜ必要なのか
第3章3つの基本ルール
第4章イノベーションをめぐるトレードオフ
第5章イノベーションはマネジメントできるか
第6章成長を停滞させた犯人な誰か
第7章日本人はイノベーションに不向きなのか
第8章閉じ込められるイノベーション
第9章野生化と手近な果実
第10章格差はイノベーションの結果なのか
終章野生化にどう向き合うか
あとがき イノベーションと幸福
p36イノベーションとは、経済的な価値を生む出す新しい
モノゴト
p82知識が、実験や観察によって生みだされるというのは
18世紀に入るまでは宗教の概念があるためふつうでは
なかった、それこそイノベーション
p127トータルエコノミーデーターベース、経済成長の要因を、
労働の投入量、資本の投入量、全要素生産性(tfp)の
3つに分けて考える、さらに労働を質と量で分ける、
(これでイノベーションが起こった状況を把握する)
p225(この本のまとめは)ヒト、モノ、カネといった
経営資源の流動性が上がっていくと、イノベーションの
破壊的な側面が強くなる(野生化)が進む
破壊したいのか、破壊されたのか、代替えされて
しまったのか、イノベーションはデジタルな技術革新にしか
いないのか。。。
野生化する、破壊するのは、経営資源の流動化にある
と書いていあるが、それに加えて情報の流動化も
イノベーションの野生化にかかせないものであろう。
情報こそ流動化しやすいので、イノベーションはもっと
野生化しやすくななるのだ。
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【イノベーションとは目指すものというよりも、あくまでも課題解決の結果です。イノベーションを起こすことが目標になるということ自体、本末転倒ぎみです】(文中より引用)
すっかり巷間に定着した「イノベーション」という言葉。その光と影に焦点を当てつつ、イノベーションの生態について掘り下げた一冊です。著者は、日本人2人目となるシュンペーター賞を受賞した清水洋。
イノベーションという現象が具体的にどういうことなのかを説明するとともに、どういった影響を与えていくのかが非常にわかりやすく示された作品でした。普段何気なく使ってしまう・目にする言葉だからこそ、その実際のところを知ることは有益だなと再確認。
コダックと富士フィルムの話は目からウロコでした☆5つ
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イノベーションの負の面まで明確明瞭に解説してくれている。読んだからと言ってイノベーションをポンポン出せるわけではないが、先々の障害や注意点まで気が回りそう。最後半の規制の話がいちばん印象的。良書。
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(イノベーション等の)ビジネス史を広く取り扱う著作はある種のロマン的な物語や悲喜劇が散見されるのでエンタメとしても楽しめるものが多いように思うが
表題や装丁からはかなり学術寄りに見えていたので敬遠気味だった。
研究対象としての扱いの難しさもあり、銀の弾丸としてのイノベーションの確立には困難を伴うが
イノベーションの歴史にまつわるストーリーをたどりながら、野生化という主題を追う形で議論が確と進められている。
新潮選書はほどほどに骨太でありながら読み進めるに苦がない作品が多い印象。
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この本のここがお気に入り
「破壊的なイノベーションを増やしたければ、例えば、規制緩和を行う際にも、政府は新規参入を促進するような政策を行うことが大切になります。規制を緩和したとしても、プレイヤーがいつまでたっても同じ顔ぶれだと、破壊的なイノベーションは期待できません」