紙の本
緻密に構成された一級品のミステリー。
2019/11/27 00:02
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
緻密に構成された一級品のミステリー。ほとんど手掛かりの無いなか特異な能力を持つ主人公が徐々に謎を解き明かしていく過程は嫌でも様々な想像を掻き立て、謎解き好きには堪らない。しかも妙な隠し玉を持ち出すことなく、ほぼ一直線で謎に突き進む展開も好感が持てる。但しあまりにも一直線では単調になるので、当然、様々な横道も作ってあるが、それらのいずれも犯人像を鮮明にするためや、犯人のしたたかさを描く役割をしっかりと果たしている。結末は悲劇的ではあるがそれ程悲壮感がないのは、犯人自体が復讐を終えた段階での自滅的運命を予想し受け入れていたためか。
<蛇足> この著者、「ニンジャ」「カラテチョップ」「カラオケバー」などかなりの日本好きらしい。骨董商という職業柄日本についての知識も豊富なせいかな?
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パッと見「リンカーン・ライムシリーズ」だが、中身は「ジョー・ピケット」寄りの
淡々と捜査していく
欧米社会の暗部が根底にある物語
海外ドラマ好きで
海外のスリラー読んでみようかな?
という人にはうってつけ。
慣れてるひとには
「あらこのパターンね」という感じの本
雪の吹き荒れるマンハッタンで
特殊な空間把握能力を持つ
元FBIの物理学教授 対 連続狙撃犯との頭脳戦
とある。
「見たものが全て数値に変換される」能力は
ドラマ「touch」にも似たような能力が出てきた(あちらは更に進んで事象の規則性も見えて過去や未来までまで予測する強力なモノ)のでそんなに違和感はなかったのですが
捜査に使われ始めると、やはりだんだん
「なんで?」となって読み返す事が何度かありました。説明が見当たらない。
冒頭の狙撃位置を特定する際
映像化を意識してるのか
ある時期から流行りのテレビドラマでよくある主人公の脳内で証拠が頭を駆け巡り、物事が全て数字に変換される
「推理してます感」のある描写が出てきたあたりで、おやおや…となり面白くならないかもと不安になりました…
ジェフリー・ディーヴァーの
「コフィン・ダンサー」の様な
探偵 対 暗殺者の攻防というイメージがタイトル見た時から頭にあって、比べてはいけない
と思うけどそれは不可能
隻眼、隻腕、片足が生身で義眼、義手、義足で
元FBIと来たらどうにも
リンカーン・ライムを思い浮かべてしまう…
なんだかライムが完治して、アメリアと暮らして養子を迎えたらこんな感じの夫婦になってしまうのかも?とか嫌な想像してしまい、このあたりで変な汗をかいてきました…
(もっと仕事だけの男になるだろうけど……今もそうか)
でも、読み進めると
辞めた人間を復帰させるとか…
傷を抱えた人間が再生に向かおうとする姿とか…
良さげな脇役、ヒリヒリする夫婦のやりとり(事件だけではない問題)
テンポよく余韻を残しつつの場面切り替え、ベタだけどだいたいの欲しい要素が詰まっててなかなかイケる。
外に出て捜査もできるので
「安楽椅子探偵」ではない。
たまに生身の方の足に痛みを感じる普通の捜査官と同じ。
(描写としてはアメリアの持病の方が痛そう)
特殊な能力も、最初に「彼にはこう見えていますよ」を示してくれただけで、能力で万事解決という展開にもならず一安心。
説明が無いのではなく一瞬で射程位置等が見てわかる。
読んでいるうちにアメリカの抱える問題(銃社会、白人至上主義、マスメディアが機能してない等)色々詰め込んでる印象を受けたが、主人公自体も障害者として理解されない場面にあったり、彼の相棒兼FBIのお目付役であるウィテカー捜査官もまた黒人として操作中に差別を受けるも、事件に向かう姿が好印象だった。
やはり「身体を失った過去」については触れられていないので続編を期待するが、この主人公の能力に対する敵として狙撃犯はベストだったので、このパタ��ンをいかに超える作品になるのか期待して待ちたい。
あと、やたら濃ゆい脇役が居て
解説を読むと別作品の主役達らしい
そちらも訳されたら読んでみたい。
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久しぶりにやらかした。金を払ったことを後悔する本に当たってしまった。
読み続けることができない。
私はレビューを書くときは、一応まがりなりにも読了してからにしているのだが、これは耐えがたい。
主人公がグズグズ野郎である。自分が賢いつもりでいる。
一つだけは誉めよう、事件はよかった。冒頭部は素晴しい。
マンハッタンの街中で、車中の人物が一発で射撃されたのだ。
巻き込まれた被害者が一人。
さあ、どんな話になるのだろう?
どこから捜査を進めるのか、狙撃者をどう追い詰めるのか、背景になにがあるのか?!
主人公の活躍はいかに?!
読者の期待はいやが上にも高まる。
ところが! その主人公とやらが、まったくさっぱり動かないのだ。
主人公ルーカスは、今は大学で講義をする身だ。自分でもくだらないと思う講義をしている。
そして、義手だ。義足だ。義眼だ。
ちなみにこれらの肉体的事情は、いっぺんには出てこない。話を展開させるべき時に、一個ずつ書かれて、長々と説明される。
しかし、なぜそうなったかは語られない。
事件のニュースをCNNで見ながら、主人公は動かない。
なぜなら、妻がいやがるから。子供達を優先させてほしいから。
子供5人は養子である。それぞれ事情があってここにいるが、主人公と直接の接触は描かれない。5人の個性なき登場人物である。
もと同僚(FBI)が登場して、ようやく主人公は現場へと向かう。妻にいやがられながら。
そして、事件現場で彼はついにその「能力」を発揮する。
なんと、彼が目をつぶり、そして改めて目を開くと、街中が別の世界となり、風景は数字の還元となり、狙撃犯がどこから撃ったのか、ピタリと当てるというのだ。
ええーーーー?!
どうせなら、ここで犯人までピタリと当てればいいのだ。
しかしそうはならない。なぜなら、彼は語りたいのである。
現政権へのあてこすりだとか、子供の作ったオブジェが誰それへのオマージュのようだとか、保守主義者は迷信深いだとか、
FBIはコーヒーがまずいとか、今は美味しいらしいとか、陰謀論者が嫌いだとか、
アールグレイのティーバッグを日本の茶碗でいれるとか、現政権へのあてこすりだとか、
妻とのなれそめ、前妻との別れ、居候との出会い、
陰謀論者が嫌い、現政権へのあてこすり、・・・・・・
はやく仕事をしろといいたい。
社会批判だとか政治的意見だとかは不要だ。
聞くに値しないことばかりなのだから。
いや。意見とも批判とも言えない。
あてこすりだ。「わかる人だけわかる」という、スノッブな意気地なしのスタイルだ。
文句があるなら、はっきり言えばよい。
「トランプ政権はくたばれ」
「支持者もバカだからくたばれ」
なのにトランプのトも言わない。言えない。
まっすぐものが言えないのだ。
だから、まっすぐ事件にむかうこともできない。
妻とも向き合えず、子供らとも向き合えず、はっきり断ることもできず��なににつけ肯定も否定もできない。
話をあっちこっちに向けて、ひとくさりふたくさりぬらくらと、なんやかやご説を述べてともかくグズグズしている。
そのご説とやらが、またつまらない。
CNNニュースキャスターのコメントを、まるごと引き写しなのである。
いやしくも小説である。読者が求めているのは、楽しみだ。娯楽だ。
独自性だ、切れだ、ユーモアだ。
それが読みたくて本を開いているというのに、なんだこれは。
CNNニュースのコメントが見たければ、人はCNNのニュースを見るのだ。
なぜ娯楽のための本でまで念入りに見なければならないのだ。
主人公は陰謀論者がよほど嫌いらしいが、はたしてご自身が彼らとどんな違いがあるというのか。
どこかで聞いたような話をまるごと、さも自分だけが「真実」を知っているかのように、物知らずと彼が見なす相手に、語ってさしあげようという、頭がよく見られたい人物がやらかすことだというのは、どちらも同じではないか。
作者は、カナダ出身で、アメリカ在住である。
SNSともメールとも距離を置いて、山小屋に籠もって執筆しているらしい。
しかしテレビはよく見るようだ。CNNニュースにどっぷりである。
そんなにCNNがお好きなら、主人公を「もとCNNのキャスター」にすればいいのだ。
義手義足義眼になってテレビに出られなくなったから、今は大学で教える身となった。
CNNのコーヒーはうまい、今はさらにうまくなったらしい。
この身は引退したけれど、心は、魂は今でもCNNキャスターだ。
CNNのみが持つ聡明さで、事件を見事に解決し、CNNで素敵に報じ、わかっていないトランプと的外れな政治と愚かな支持者を、まっすぐ名指しで批判すればよいのだ。
私が読めたのは500と数十ページある中、八十余ページまでだった。
主人公の相棒として、人の心が読めるという人物が登場したのだ。
ハヤカワ文庫にお願いしたい。
超能力捜査官による政治あてこすり本ならば、帯にそう書いておいてほしい。
ならば読みたい人は手に取れる。
うっかり手にした私が、こんなにも呆れたり怒ったりすることもない。
私はこの作者の本は二度と読まない。
「NV」とあるハヤカワ文庫も、今後用心する。
それが私の心と懐のためのようだ。
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面白かった!主人公が立派なところが俺好み。読む人によっては超能力みたいな主人公の能力とか、神がかったスナイパーの技量とかに鼻白んじゃうと楽しめなさそう。
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記録的な寒波に見舞われるマンハッタンで連続狙撃事件が発生。天才的な空間把握能力を持つ元FBI捜査官の物理学者ルーカスは、かつての同僚の要請で捜査の前線に舞い戻る。犯行が移動中の被害者の頭部を正確に撃ち抜いた長距離狙撃であることを突き止めるがその直後、さらなる犠牲者が出てしまう。犯人に関する憶測が飛び交う中、ルーカスが辿り着いた真相とは…摩天楼で繰り広げられる頭脳戦を鮮やかに描いた傑作!
もっと話題になってもよさそうな、テンポの良い物語。ぐいぐい読ませます。
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超感覚で弾道解析ができる主人公。
相手の考えを予測できる相棒捜査官。
極寒の地に何日でも潜伏できる狙撃手。
一見非現実的な人物設定ですが、そんなことを感じさせないほど良く練られたプロットと心理描写が物語にのめり込ませます。
そしてお約束のどんでん返し(笑)
犯人の動機や犯行に対する主人公の言動も非常に理知的で、好感が持てます。
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ニューヨークで起きた狙撃事件は、すでに引退した元捜査官ルーカスの相棒が標的だった。二度と戻らないはずだった捜査現場に復帰することになったルーカス。大雪に見舞われる大都会で狙撃を続ける犯人の狙いは?
読みやすい。面白かったです。
よく見かける性格の悪い主人公笑、のようでいて、実は強い信念と公正な判断力を持っている。
事件の真相解明の合間に、恵まれない生い立ちながら運良くチャンスを得たこと、そのエピソードが最後の犯人との対決で不意に効いてくるあたりなど良かったです。
アメリカの銃問題のことや、その背景にある社会的な問題、人種差別のことなどもうまく織り交ぜられています。
まだ、FBIを退職するきっかけになった事件のことが書かれてないから、続きがあるのかなー。
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P51 ルーカスのこども=養子
P84 ルーカスの前妻ナンシーは、ルーカスの臓器提供に同意した自分が許せなくて離婚かと。エリンは小児外科医。
P94 犯行の弾丸は、.300ウィンチェスター・マグナム徹甲弾
P105 二人目の犠牲者。ATF
P134 フロワッサン、シロなんだろうけど、見つからないのも不自然。
P138 ルーカス、正規でFBI復帰。
P163 ベンチローデッド bench loaded:カタカナだとヒットしませんでした。"ハンドロード"に置き換えた方が良かったかと。
P165 オスカー(ガンスミス)協力せず。
P177 キーホーはブレゲ。個人的には、ロレックス以外の高級時計というか、御三家は初。
P196 マーゴリスの恋人。詳細わからず。後のルビー(犯人)
P213 3人めの被害者。
P222- ルーカスの過去
P264- エリンというかルーカス宅が襲われるけど、室内が想定されるのに、アサルトライフルは使い勝手が悪いかと。あるいは、論外な広さ?
P271 レミー(ルーカスの犬)は、吠えるのが手遅れな駄犬。
P276 ディンゴの剣は模造刀かと思ってました。
P294 自宅+家族が襲われて、ルーカス復帰。
P321- ウィテカーのHDDは暗号化された証拠品かと思ったら、犯行の関連情報のビッグデータ。ルーカスの教え子が解析。
P344 アッチソンの銃=ディンゴ、オスカーの凶器。
P353 5人目
P367- P321のビッグデータをスプレッドシートへ展開は、上限値的に無理かと。
「バイブル・ヒル」で、とりあえず収束できそうな感じに。
P373 最初の犠牲者ハートキーは、「バイブル・ヒル」事件の責任者だった。
P374- 当該事件の顛末
P388 マーナ・マーサー(72)がSG551という不釣り合いなライフル。
P391- マーナはステレオタイプな老婦人ではなく、ネットも使えるし教養もありそう。
P415 グレーブズ死亡
P430 クリボン=犯人?
P434 クリボン逮捕
P450 ルーカスが豪邸住まいなわけ。養母ペイジの母の肖像画の売却益だった。
P454 ルーカス、クリボンは犯人じゃない。
P459 ラロッシュ(NRA)死亡
P464 犯人は女性で特定
P477 エントリー ルビー=コニー=ドリーン
P480 ルーカスの時計が"ロレックス"。前は"サブマリーナー"だったような。
P482 犯行というか逃走のトリック解説。SWATの制服を着てまぎれて逃走。NYPDのSWATを想定したんですかね?FBIかもしれないのに。
P492 犯人主観は初かと。
P521 丸腰のルーカスとルビーがモントーク灯台内で対峙。ルビーを感電死させて決着。まあ、銃は使ってないけどね。
P529 劇中解説。「バイブル・ヒル」事件で、実は実子を失っていたマーナが、我が子としてルビーを育てた末の犯行でした。このあたりは、横溝作品的。
犯行が途中から無差別化するのはどうなの?
ルーカスの銃使用への抵抗はいいとして、結局ルビーは殺しましたよね。
ルーカスが半身になったわけはスルーですか。
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どこかのレビューで信頼できる誰かが紹介していた。ニューヨークに現れた連続狙撃犯を元FBIの大学教授(体にハンデあり)が現場復帰して追い詰める、という話。とてもわかりやすくストレートに物語は進むのだが、なんだか「オカズがない」というか深みが足りない。後半はものすごいスピードで飛ばしながら読了。シリーズ化を意識しているのか主人公のハンデの背景などもまったく明かされず消化不良も残る。続編があるのだろうけど、たぶん読まないな。2.8
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数学(天文学)の天才的頭脳を持つハンディキャップのあるFBI捜査官が狙撃手の犯人を追跡するストーリーは捜査の進展に沿って淡々と語られていくが、中盤に至っていきなり衝撃的な展開となり一気にギアを上げていく。作者は事件を巡る報道(FOX、CNN)や関係者(反イスラム、反銃規制)のおぞましさも容赦なくさらけだすが、同時に真実を見いだすこと、家族を持つことの大切さを説いている。
ちなみに続編が昨年出ており、来年には第三作の出版が予定されているそうです。
【蛇足】訳者はトランプ政権下の社会状況を描写していると言っているが、作者は黒人大統領誕生以降の社会現象(白人ナショナリズム)と書いており、ミスリードと勘ぐられるかも‥…
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映像が見えるよう。特殊能力をもつ主人公は、ちょっとずるい設定だなと思いつつも、なかなか面白い人物像になっていて嫌みではなかった。コンビを組んだ人物も、賢く強い。どうしても破滅に向かっていくのが仕方なかった。養親の愛情と言葉は深い。