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投稿者:めいりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
小川哲『嘘と正典』読了。『ゲームの王国』作者による短編集。駒場の博士課程出身とだけあって表題作筆頭に歴史や文化人類学的な題材の作品を高頻度かつ高クオリティで提供してくれるので自分のような人文系SF読みにとても刺さる。ぐいぐいと引き込ませ読ませる筆致が素晴らしい。
サラブレッドの血統を追う「ひとすじの光」の参考文献に本村凌二の名前があって思わずほっこりした
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「魔術師」★★★★
「ひとすじの光」★★★
「時の扉」★★★★
「ムジカ・ムンダーナ」★★★
「最後の不良」★★★
「嘘と正典」★★★
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「ゲームの王国」で現代史とSFという鉱脈を発見した著者の短編集。SF味が薄い物もあるが、特に最後の表題作が、共産主義の起源と冷戦下のCIAの活動をSF的にリンクさせて素晴らしい。
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ユニークな短篇集。
SFテイストが強いものから、そうでないものまで、作風の幅が広くて楽しめた。
『魔術師』『ムジカ・ムンダーナ』が気に入っている。
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標題作を含め6つの短編を収録した短編集。一応SFなんだけど,典型的なSFっぽくはないけど不思議な雰囲気の漂う話しが多い。すっきりいしない終わり方も多いけど不思議な余韻を楽しめる。全体を貫くSF要素は「時間」かな。個人的にはとても好きな小説ばかりだった。最初の「魔術師」も真相が気になるし,標題になっている「嘘と正典」は,こんな発想よくできるな,という内容。何か本物っぽい。映画にしても面白いかもしれないな,と思う。
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SFと聞いただけで「無理…」と避けてきたのですが、『なめらかな世界と、その敵』に続いて五つ星をつける作品に出会ってしまいました。こちらの方がSFを普段苦手とする者にとっては読みやすいと思います。
テーマは時間。
人生をかけた衝撃のトリック『魔術師』
ソビエトが舞台のスパイもの?個人的キラーワードのレッド・ツェッペリンがでてくる『嘘と正典』
が特に面白かったのですが、
競馬好きとしては、まるまるダービー馬スペシャルウィークの血統を辿る『ひとすじの光』は、思わず、初出は『優駿』なのでは⁈と一覧を見てしまいましたが『SFマガジン』でした…。そりゃそうだ。
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過去にSFマガジンに収録された作品を中心にした短編集。時間SFの成分が多いが、それだけではない。馬SFや音楽SFもある。ミステリー要素も大きく、どれも深く味わえる作品となっている。気に入った作品は、音楽を通貨とする「ムジカ・ムンダーナ」と米ソのスパイと時間SFを融合した「嘘と正典」だ。「魔術師」も様々な解釈ができる不思議な物語である。どれもSF好きなら必読だ。
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小川哲『嘘と正典』読了。『ゲームの王国』作者による短編集。駒場の博士課程出身とだけあって表題作筆頭に歴史や文化人類学的な題材の作品を高頻度かつ高クオリティで提供してくれるので自分のような人文系SF読みにとても刺さる。ぐいぐいと引き込ませ読ませる筆致が素晴らしい。
サラブレッドの血統を追う「ひとすじの光」の参考文献に本村凌二の名前があって思わずほっこりした
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SFマガジン掲載作は、これSFじゃないじゃん、と、SFか否かが価値判断の基準だったガキのころなら放り投げてたかもしれない代物ばかり。(特に競馬の話が)
まぁ、山尾悠子がJAにラインナップされていたのを思えば、ハヤカワ的にはさほど問題ではないのかもしれないけど。
書き下ろしの表題作は、技量は判るんだけど、60年代ならともかく今これなの、と思ってしまう。
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現在、未来、過去を横断的に扱った「時間」をテーマにした短編が揃った作品集である。
エンゲルスを消滅させる!といったうたい文句で知ったので、壮大なパラドックス物かと思って手に取ったのでそこはちょっと違っていた。
どれも、標準以上にまとまった作品ではあるのだが、『ゲームの王国』の大作感や、『ユートロニカのこちら側』の見事な未来世界設定を読んできていると、ちょっと物足りなく感じた。
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ネタバレなのかどうか、微妙なのですが、一応させていただきました。
色々な評判を聞いていたので、楽しみに読みました。
6つの短中編が納められていて、内容は、マジシャン、競走馬、ナチス、宇宙の音楽、流行、共産主義の歴史と、多彩でいて、かつ、専門性を高く感じました。
そのため、私には、ちょっと難しく感じて、内容を追っていくのに精一杯だったところもありました。
しかし、物語としては、まとまっていて、なるほどと感心いたしました。何回か読めば、また印象が変わるかもしれません。
最も、興味深く読めたのは、表題作の「嘘と正典」で、ものすごい一大プロジェクトに参加しているような気分になり、面白かったです。まさに、歴史がひっくり返る感覚で、すごいこと考えるなと思いました。
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短編集6編
SFやミステリータッチの作品.最後まで謎が残るような余韻の残るラスト.そしてどの作品も歴史の流れ時間の持つ意味のようなものに関わっている.表題作はもちろん良かったがサラブレッドの血の歴史を扱った「ひとすじの光」が好きだ.
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短篇集。1作目2作目とラストが読者に委ねる感じで好きじゃないなと思ったのだが、3作目からそんなこともなく、ラストの表題作まで楽しく読めた。
1.魔術師
マジシャンの父が最後のマジックとともに消え、それを姉が再び行ったところで終わる。
2.ひとすじの光
亡くなった父の残した競走馬にまつわる血縁のすこしふしぎな話。馬は結局どうなったんだろう。1作目2作目は収まりきらなくて端折ったような印象がある。
3.時の扉
千夜一夜物語風で話が進んでゆくごとにパズルの絵が完成してゆくような楽しさ。
4.ムジカ・ムンダーナ
過去に父のせいでピアノをやめている主人公、亡くなった父が残したカセットテープにあった音楽は音楽を所有する部族にかかわるものであった。父の残したものというモチーフが多いなと思ったものの、この短篇集の中で一番好き。
5.最後の不良
流行を追わずシンプルに生きるという風潮が流行してしまった世界。抗おうとした主人公が選んだやり方がスマートじゃなくて、もっとかっこいい不良があるのではと思いつつも大人のもの悲しさを感じられていいなと思う。
6.嘘と正典
スパイと科学者と時空間通信。歴史改変が成功するか否か最後まで楽しめた。これが一番面白かった。
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マジック・リアリズム的な独特の筆致。面白いけど、う〜ん微妙…と思いつつ読み進めたら、最後の表題作が直球ガチSFで、しかもSFとしては古典的なアイディアながらそこにこの世界観を、この価値観を載せますか!?
これはやられました。傑作。
相当読む人を選びますが。
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嘘と正典
著作者:小川哲
早川書房
デビューは2017年に発表した第2長篇「ゲームの王国」が吉川英治新人最終候補となりその後日本SF大賞と山本周五郎賞を受賞する。
タイムライン
https://booklog.jp/item/1/4152098864