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ミステリーとして読むか、冤罪を考えるで読むかで印象が少し変わる作品。冤罪を描くのであれば、この倍の文量でもっと緻密に描いて欲しかったのが率直な感想。ミステリーとしては最初から真犯人がミエミエではあるが、展開の妙味はある。面白かったが重厚さが足らない印象もあった。
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FB友だちから紹介していただき、2日で読んでしまいました。
母子殺人の罪に問われ死刑となった父親。その娘はある理由から父親の無罪を確信し、再審請求を求める。
刑を執行してしまったあとで冤罪などあってはならない検察は、なりふりかまわず再審つぶしに躍起となる。果たしてどうなるか…。死刑の是非、検察捜査の実態、請求審の進め方など、興味深い内容。ところどころに挟まれる現実の実際の事件が、小説をより現実味のあるものにしている。
読んでいるとノンフィクション、ルポに思えてきて、実際こういう事はあったのでは?と思わせる怖い。取り返しのつかない司法だけはあってはならないと思う。
唯一意外な犯人の人物像に違和感があった。
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冤罪をテーマにしたミステリー。
存じ上げない作家さんでしたがAmazonで割と評価がよかったので購入してみました。
感想を端的に言うと、文体が苦手でした。
読点がやたらと多く、また硬い描写や表現の中に突然くだけた言葉を用いるため一貫性に欠ける印象で、読み手の調子が乱されます。
途中からストーリーよりも読点が気になって仕方がないほどでした。
死刑が執行された事件について死刑囚の娘が再審請求を行い、その無実を明るみにしていくストーリーは面白く、真犯人もまずまずだっただけに、この文体のお粗末さが残念でなりません。
解説もイマイチでした。
人に薦めることはないでしょう。
2020年16冊目。
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私水谷豊のドラマ見てから(大昔の)無罪で死刑になるのが怖かった。日々の行いさえよければ誰か助けてくれると思って生きてきたけどこの主人公のお父さん、悪いことしていないのに死刑になっちゃった。最後の真犯人はなくても良かったな。フランス行きなさいは安易だなって思ってた。
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検察や裁判官、権力の闇を垣間見ることができた。
ただ、小説としてのストーリー性は展開も読めてしまったし、真実を追う記者や弁護士たちの努力の部分は表面的な部分しか描かれてなかったから、あまり深く伝わらなかった。
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国家権力と市民の対決。
これほどまでに卑劣な手を使ってでも、組織は自分たちを守ろうとするのか。
殺人を犯した者よりも自らのために事実を捻じ曲げて、保身に走る国家権力の体制が一番恐ろしい。
小説、エンターテイメントではあるが本当にこんなことが起きているのではないかと、疑いを持ってしまう。
二転三転し、読者を引き込むストーリーで面白かったです。
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強大な国家権力に対して猛然と戦い続ける個人の力に圧倒された。冤罪事件を紐解いていくストーリーも、権力との攻防も目を離すことが出来なかった。とても骨太な作品で面白かった。
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足利事件、飯塚事件、袴田事件と、現在も再審が行なわれている冤罪事件について、恐らくは飯塚事件を参照した内容で描かれた小説。とくにMCT118型と呼ばれるDNA鑑定について、その正確性が問われるものとなっている。
冤罪を晴らすことは難しい。警察や検察、裁判所といった各司法機関の判断を根底から覆す事態であり、それぞれの組織の論理やメンツ、人間関係が絡むために無謬性に支配されている。
一方で冤罪を晴らすのには決定的な方法がある。それは、「真犯人を見つけること」だ。そのためには、証拠となるネタを司法から取り戻して第三者機関に鑑定してもらう必要がある。
このロールプレイング的な流れと、真犯人は誰かといったミステリー要素が相まって、息詰まるストーリーが展開されていく。惜しむらくは、筆者がテレビ業界出身のせいかオチをつけることに終盤の展開を持っていってしまったことか。
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面白すぎて1日で読んでしまった。前半をメインに占める主人公的存在が、正義感みなぎる人間ではなく、むしろ葛藤しながら動く検察側というのも面白い。最後まで犯人が想像できなかった。
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既に死刑執行済みの事件の再審請求を巡るお話
冤罪で死刑にされた可能性が合った場合、検察、裁判所、警察はどういう方針で動くのか?を描いた作品
実際の事件(飯塚事件)を元にしており、その事件をテーマにしたノンフィクション「殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―」は、とある書店が表紙を隠して「文庫X」として売り出したのも有名
以下、公式のあらすじ
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真実は、ただひとつ。
偽造、隠蔽、証拠の廃棄……
こんな非道が国家のやり口か!?
司法権力に、個人は抗えるかーー骨太ミステリ小説。
札幌地検に激震が走った。
30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件に前代未聞の再審請求審が起こされたのである。
被告の死刑はすでに執行済みだ。
もし冤罪なら、国家は無実の人間を殺めたことになってしまう。
司法の威信を賭けた攻防に、曰く付きエース検事が指名された。
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冤罪死刑は絶対にあってはならない
まぁ冤罪事件自体あってはならないし、どんな状況であれ失われた時間や何もかもは戻っては来ないけれども
とりわけ無辜の人の命を誤謬で奪ってしまうというのは絶対にあってはいけない
だからこそ冤罪事件ではなかった事にするという逆説的な論証も意味がわからんな
実際の飯塚事件との類似点
無実を訴えながら死刑判決が下され、2年で死刑執行された
DNA鑑定で用いられた手法がMCT118で、後にこの方法は確率的な信頼性が十分ではない事や、実験の状況により結果のブレがある事が判明するなど
前述の通り、「検察という組織の権威を守るために不正を働かなければならない」という論理は矛盾している
国家権力としての司法の信頼性が大事なのはわかるが、だからといって真実を捻じ曲げたらそれは正義ではなかろうよ……
再審請求の判断にしても、裁判官が変われば結果も変わるのであれば、絶対的な正義などない事がわかる
人が裁くのだから、過ちがある可能性を考慮しておく必要がある
だからこそ検察は確実に有罪な事件しか立件しないという方針だけれども
そこにもまた思い込みが入り込む余地があるという現実
また、権力者による司法への介入は大阪地検の証拠改竄事件によって明らかになり
検察への不信感は現実のものとなっている
死刑判決なんて、よほど確かな証拠がない限りは下されないと思っているけど、実際はそうでもないのかもとも思った
読み始めた当初は、冤罪死刑という状況でも受け入れられる筋書きは何だろうと考え
身内の誰かを庇っていたという可能性を考えたけど、結局はそうではなかったですね
メタ的推理で、登場人物の中で怪しい人は目星をつけてた
作中で疑われている人もそうだし、弁護士や検察内部の人とかも
なので、真犯人が明らかになるところでは、想定していた
然程の驚きはなかった
重ね重ね、冤罪死刑は誰にとっても好ましくないので、現実では起こってほしくないなぁ……
DNA鑑���の方法
詳しくは知らないけど、MCT118って結局は一部分の繰り返しの長さしか見てないという事でいいのだろうか
だとしたら、他人同士が偶然一致する可能性は否定できないよな
さらに、PCRで増幅して鑑定するので、短い方のバンドが強く出る上に当時の電気泳動のだと長い配列の方はブレが大きくて精度は高くなかったのだろうと思う
せめて単一の部位ではなく、複数のマイクロサテライトで一致するくらいの証拠でなければ、司法として求める精度には達していない気がする
何というか、それなりに衝撃を受けたし中々評価の高い小説だけど、後味が悪いなぁという印象でした
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ジャケ買い。
冒頭、死刑執行のシーンがすごかった。文章の勢いが凄まじくて、一気に引き込まれた。死刑囚の叫び声と、その後に滴る水の音のコントラストにゾワっと鳥肌が立った。
映像化に向いてそうな作品だなーと思った!!!