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5篇の短編だが、全て読み応えがある作品。
人間の心の闇を良い意味で後味の悪さが
のこる様に描いたイヤミス作品。
姉のようには、よく読まないと真実が見えて来なかった。
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短編集。
どれも秀逸だけれど、「姉のように」の息苦しさ、生き苦しさとフィニッシュストロークはもはや滋味さえ感じる。
どの話にも、人生があった。
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読むのがキツい……でも、読まずにはいられない。芦沢央さんの作品には、そんな中毒性がある気がします。
収録作品は全五編。それらの作品に共通するのは息苦しさや閉塞感、そして人の心の闇です。
発注ミスをごまかそうとする営業マンが主人公の「目撃者はいなかった」
ミスを認めたくない、失望されたくない、だから誤魔化す。間違ったことではあるんですけど、気持ちは分かるんですよね……。
そのため、主人公がミスを誤魔化せるか、という点でついつい感情移入してしまいます。
様々なアクシデントがありハラハラしますし、さらにそこから思わぬ展開が待ち受け、読者である自分は主人公と同じように、自分の良心をこれでもか、と揺さぶられます。
この展開を思いついた芦沢さんは、相当意地悪なところのある方かもしれないですね(褒め言葉です)
オチも華麗に決まります!
「姉のように」は姉が犯罪を犯し、さらに育児に悩む主婦が主人公。
作中の閉塞感となると、この作品が圧倒的かも。姉の犯罪で夫とギクシャクし、ママ友との関係も元のようにはいかず、娘は言うことを聞いてくれない。でも、姉の犯罪で生まれた距離のせいで、相談もできない。
まさに四面楚歌な状況に置かれ、主人公は追い込まれていくわけですが、その描写たるや……。本当に読んでいて息苦しくなってきます。
ここまで状況をリアルに描けることもすごいですし、その後の展開もそうならざるを得なかったように思えてきます。
仕掛けについては違和感があるにはあったのですが、そういうことかあ。これも巧いなあ。
表題作「許されようとは思いません」は古い村が舞台の短編。
村特有の掟やルール、それの描き方も見事ですし、人間心理を巧みに描き物事の意味を反転させる技術は、これまたお見事の一言につきます!(さっきから同じようなことばっかり書いてる?)
全体的な作風は米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』に似ている気がします。
ただあちらは、語り口もあって邪悪さの中にもどこか優美さがあったような気がしますが、こちらはさらに刺激の強い劇薬といった感じでしょうか。
好き嫌いはあるとは思いますが、はまる人は絶対にはまります!
2017年版このミステリーがすごい! 5位
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初めてのこの作家の本を読んだが、文章がシンプルでとても読みやすかった。
短編集で、全体的に暗い雰囲気が漂う。
大抵の短編集は、この話はイマイチというものがあるが、これは全部面白かった。
特に、「姉のように」が秀逸。
自分も、2、3歳の子どもの壮絶な子育ては経験しているから主人公の追い詰められていく過程が痛いほどよく分かった。完全に感情移入して読み進めていたが…
あーそういう事だったのねのひと言。お見事でした。カンタンに誘導されてしまった。
最後の話。表題作「許されようとは思いません」も、とてもよくできた話だと思った。
自分も田舎育ちであるから、田舎の閉鎖的な雰囲気がよくわかるし、イメージしやすかった。
祖母の切実な願いも、無理なものとは全く思わない。
周りにも勧めたい一冊。
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粒ぞろいの短編集。イヤミスだなぁと思って読んでたら、ラストに収録された表題作→カバー裏掌編に救われる。
掌編は良い作品だから初版限定はもったいないよなー
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短編週。どれも面白かったが、一番最初のお話が印象に残った。営業で1つしか売り上げてないのに11個発注してしまい、それを隠すために隠ぺい工作をしようとする。日常のちょっとしたことでもはらはらどきどきする場面があるよなあ、といろいろ同感でした。
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ミステリーの短編集。
どれも読みやすくて面白かった。怖いな〜って話ばかり。でも実際にありそうっぽい話だからまた怖さが増す。
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どの短編も、最後にゾクっとくる面白さがあった。
なかでも「姉のように」はイヤイヤ期の子供の状態と、母親のイライラがリアルに感じられて心がざわついた。
追い詰められていく母親の気持ちに引きずられ、なぜか私が動揺してしまった。
子供を虐待してしまう親の心理が、手に取るようで怖い!!
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短編集なので、少し物足りない感。
どれも、最後には「あぁ、なるほど〜!!」と、納得。
さすがイヤミスなので、後味は悪いですけど…その点ではスッキリします。2つ目は、妙に「そーいうことかー」と、納得してしまいました。
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「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。
だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた──。
躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。
人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた 5 編、どれもこれもじっとりとした後味の秀逸な短編集。
オススメです!!
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やっぱ芦沢さんうまい!長編、短編どっちもうまい!
今作は独立した5編の短編。私はなかでも「ありがとう、ばあば」と「姉のように」が好き。というか怖い。
「ありがとう、ばあば」は9歳ながらにして、いや、子どもだからこその、迷いのない悪意が本当に怖い。てっきりおばあちゃんが嫌いなんだと思っていたのに。まさかおばあちゃんが嫌いなわけではなく、自分が大好きなだけだったとは。
そして「姉のように」はまんまとはめられた。長崎と福岡が舞台という、個人的にニヤリとする舞台設定なのもいい。犯罪者になった姉のようになりたくない。なってしまったらどうしよう。そう怯えるあまり、精神のバランスを崩してしまった母親の悲哀。そして起こる悲劇。そして明かされる衝撃の大逆転劇。
芦沢さん、本当にすごい。
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ミステリ短編集、ちょっと久々の芦沢央。
本来注文の11倍もの誤受注をしてしまった営業マン、躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、
姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年・・・「心の闇」を主軸に5編の短編で綴っています。
なかなかにイヤミス感満載で読み進めましたが・・・最後の一編が救いでした。私的には満足な一冊です。
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5編収録の短編集。『ありがとう、ばあば』。孫を溺愛している祖母。孫のことを誰よりもわかっているという思い込みが取り返しのつかないことに。理解したと思った時から見えなくなってしまうもの。タイトルの意味がわかった時の怖さが見事。
『姉のように』。憧れだった姉が事件を起こす。それから取り憑かれように自分も同じことをしてしまうのではとなる。子どもへ向かう暴力的な感情は読んでいて辛くなるほど。母親の心情、孤独が痛いほどに迫ってくる。そしてラストのどんでん返しも綺麗にきまっている。
『許されようとは思いません』。閉鎖的な慣習が残っている村。よそ者を差別する場所で暮らした祖母の耐える日々の描写が辛い。人の醜さ、祖母の優しさ、そして事件。祖母の言葉が反転する瞬間やラストに至るまでのドラマがいい。
どの短編も仕掛けがあるけれどそれだけではなく人の心の暗い部分や追い詰められたりパニックになったりする感情も描かれていてそこがとくに読み応えがあった。
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最後の二つが良かった
序盤から中盤まではオチというオチがなく退屈でしばらく読むのをやめていたが、久々に再開し、表題を読んだら評価が変わった
村十分と言う言葉、初めて聞いた
大人のいじめも陰湿
大人がいじめをし続ける限り子供に連鎖し続ける
虐めている側も自分の子供はいじめられる側になるかもしれないことを片隅に置いておくべき
田舎は良いなと思うが…怖い
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〇帯文「このどんでん返しがヤバい!!」の通り、ヤバいイヤミスがやって来た
表題作を含めた5つの短編集。
イヤミスの女王、は言い過ぎだろうか。しかしこの芦沢氏の本にはそれを言わせるだけの力がある。
・目撃者はいなかった
営業職の葛木は発注ミスのために営業成績好調となる。その発注ミスを隠そうとするもその移動中交通事故に遭遇。そのまま通過してかわそうと思うが、その遺族が目撃者を欲していて…
・ありがとう、ばあば
閉じ込められた、ベランダに。杏ちゃんどうして?早く開けて?ばあばはあなたのためにやってきたじゃない―――ばあばの苦悩と、杏ちゃんの苦悩は、違った。
・絵の中の男
わたしが従事してきた浅宮二月先生が最後に描いた絵の意味とは。その絵を書かなければならなかった理由とは。
・姉のように
なぜ姉さんはあんな事件を犯してしまったのか、なぜ相談できなかったのかと考えているうちに―――人間は知らず知らずにうちに、誰か最も信頼している相手をトレースしてしまうものなのだろうか。
・許されようとは思いません
彼女である水絵と、亡くなった祖母の家に来た諒一。そこで亡くなった祖母が置かれた、不思議な状況について回想する。祖母が曽祖父を殺してしまった理由とは。
この5編を突き通すのは、やはり「イヤなミステリ性」だ。後味が悪い、とにかく悪い。「目撃者は~」はサラリーマンの私にとっては、身につまされるような話である。いつでも生身の人間が起こしかねない、そんな物語たちばかりだ。
ただ最後の表題作「許されようとは思いません」だけは、少し違った。解説で池上冬樹氏も言う通り、"温かい余韻が残る(p309)"。人間らしい嫌な部分だけでなく、人間らしい温かい面も見てほしいという、筆者が与えてくれたせめてもの救い、だろうか。