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紙の本
花房観音さんも新潮文庫の常連にあるつつあります
2019/07/17 17:51
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
花房観音さんは女性官能作家という肩書になるのだろうが、女性読者にも支持される人気作家というべきかもしれない。
そんな花房さんは新潮文庫でオリジナル短編集をすでに2冊刊行していて、本書が3作めとなる。
先の2作、『花びらめくり』『くちびる遊び』でもそうだが、今回も有名な近代文学を題材にした短編が6つ収められている。
「桜の里」は坂口安吾の「桜の森の満開の下」、「ボッちゃん」は夏目漱石の「坊っちゃん」、「枯れ菊」は林芙美子の「晩菊」、「オンナの友情」は武者小路実篤の「友情」、そして「残月記」は中島敦の「山月記」というふうに。
オリジナルをみれば、まるで「新潮文庫の100冊」から抜け出したような名作ぞろいだ。
それを花房流の官能味付けとなるのだから、作品によっては文豪たちもあ然となりそうだ。
例えば、「ボッちゃん」。元の作品があまりに有名だから、花房さんの作品の「ボッちゃん」という青年講師のあだ名がストリップ劇場で常に勃起させていたところからついたもの、しかもそのあだ名をつけたのがマドンナを模したヒロイン、というのだから、官能を通り越して喜劇になってしまう。
官能小説だからといって、笑いがあっておかしいということはない。
私が気にいったのは「枯れ菊」。
55歳になる主人公の絹子にはかつてお金持ちのパトロンがいたが、その相手はすでになく、今は残してもらった資産で優雅に暮している。そんな彼女の前に昔関係を持ったことのある男はしぶい40歳の男となって現れる。
二人はふたたび肉体関係をもとうとするが。
元となった林芙美子の作品は知らないが、それを知らなくても、読ませる力がこれにはあるように感じた。
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